#4クラス会議
クラス会議のセミナーに参加してきました
先日、深見太一先生をメイン講師としたクラス会議のセミナーに参加してきました。僕はクラス会議について、6年前に一度実践したことはあるものの、その時はなかなかうまくいかず、次の年からは実践を断念してしまったという経験がある。でも、クラス会議の実践は、僕にはとても魅力的に見えていて、いつかまた、実践してみたいなと思っていたところ、友人から教えてもらい、今回のセミナーに参加することにした。
クラス会議を自分が体験してみる
特にこのセミナーで僕が楽しかったのが、「クラス会議を体験しよう」という場面だ。Zoomでのセミナーだったので、ブレイクアウトルームにて、6人の参加者の方と体験した。その場の流れは下のような感じ。
アイスブレイク「自分がほめてほしいことを他の人からほめてもらう」
自分の悩みや困っていることを議題として出す(参加者から一人)
参加者から議題提案者へ質問
参加者から議題の解決策を出し合う
議題の提案者が解決策を踏まえて、これからどうしていくかを話す
30分の時間が割り当てられていたけれど、本当に丁度良いって感じで、最初から最後まで、スムーズに流れていった。アイスブレイクの力もあったけど、参加者の方々それぞれがユーモアを交えつつ、上手に進行してくれたり、場面場面で盛り上げたりしてくれたので、とっても話しやすかった。
ちなみに議題は「うちの子が、ママには懐いているけど、自分にはイヤイヤしてくる・・・」というもの。僕自身も同じ経験があったので、思わず「分かる!」とつぶやいてしまった。他の参加者もそれぞれ経験があるとのことで、話が弾みました。
体験する中で、僕の心に残ったことは以下の3つ。
その人自身の経験や体験を語ることができる
提案者ではない人にも気付きがある
同じ悩みを持っている人がいることに気付ける
以下、それぞれについて、より詳しく自分の感じたことを書いてみる。
1.その人自身の経験や体験を語ることができる
これは、一番大事なのかもと思ったところ。クラス会議では、個人的な悩み・困りを議題として提出することができる。この「個人的な」という部分がポイント。「個人的な」ことを語るので、周りの参加者も含め、変に身構えたりせずに、それぞれが自分の経験や体験をもとに話し合うことができる。
僕は、ついつい話し合いに「論理」を求めてしまう。
「これこれ、こういう場合には、こういう風にすべき」
「その解決方法は、こちらのデメリットと比べると・・・」
「それだと、○○の立場の人が□□で・・・」
etc…
こんな風に、僕自身が考えてしまうし、子ども達にもそういう発言の在り方を求めてしまう。要するに、話し合いが堅い。
でも、今回僕が体験したクラス会議には、それぞれが自分の経験や体験をもとに自分の思ったことを出し合っていく。形式張った話し合いの型とか、話し合いをどうかみ合わせていくかとかそんなことは一才考えないで、とにかく自分自身を思いを語っていくことになる。
そうすると、発言者自身が自分で自分のことに気づいていくようになる。今回、議題提案者になってくれた参加者の方も、他の参加者からの質問に答えている内に、自分自身でだんだんと納得していくような場面があった。その瞬間、僕の目にも「あっ、この方、自分で自分の頭の中を整理し始めているんだろうな」と感じることができた。
たぶん、ここにクラス会議の一番の強みがあるのだと思う。きっと、「悩み」を作り出しているのは自分自身だし、その答えを持っているのも自分自身。だから、自分自身のことをありのままに語ることで、自分の中に答えを探しにいく時間を作り出しているのが、「クラス会議」という時間なのではないかなと僕は感じることができた。
品の無いたとえかもしれないけど、飲み会で自分の悩みを聞いてもらっているような感覚。僕自身も、先輩とか仲間内で話を聞いてもらっていたけど、あれって結局、自分の中で自分のことを整理している時間だったんじゃないかな。そんな感覚を子ども達にも触れさせているのかもしれない。
2.提案者じゃない人にも気付きがある
これは、僕が提案者の方の悩みに共感できたということが大きいのかもしれない。今回の議題は、僕自身も経験してきたことだから、他の人が質問をしていたり、解決策を話している時も、「そっかぁ。自分もそうすれば良かったなぁ」とか、「あぁそういう捉え方も確かに出来るなぁ」と心の中で思っていた。
僕は、悩みを議題としてあげた人ではなかったのだけれど、まるで僕自身の悩みを他の人からアドバイスをしてもらっている感覚になっていた。これも、先ほどの書いたけれど、悩みが「個人的」という部分がポイントなのだと思う。「個人的」なんだけれど、「それって僕も悩んだことをあるなぁ」って思えるところに、共感が広がる可能性がある。
これが例えば、
「クラス会議をもっとよくするためにはどうしたらいいだろう?」
なんて議題だったとしたら、「僕はクラス会議に今は取り組んでいないからなぁ・・・。」となっていたと思うし、心がそうなってしまったら、多分、僕の頭も考えるモードに切り替わらなかったと思う。
つくづく、「個人的」な悩みを出し合えるということの重要性を感じずにはいられなかった。
3.同じ悩みを持っている人がいることに気付ける
これについても、上の二つに関連する。
「あぁ、僕だけの悩みかと思ってたけど、みんな悩むんだなぁ」
この感覚があるだけで、初対面の人だったのだけれど、親近感が湧いてきた。ちょっと大げさかも知れないけど、「僕と同じで、人間なんだなぁ」っていう感覚。勝手に、自分とのつながりを感じてしまう感覚が僕の中にはあった。
僕は今まで、自分の学級の中で、子ども達同士をつなげる手段として、「ほめる」ということを多用してきた。互いにほめ合う活動を取り入れたり、子ども同士がつながりを大切にしている行動を僕自身がほめたりしてきた。
でも、それは、なんというか、担任である僕が勝手に「つなげよう」としていたのだけだったのかも知れないし、実際に子ども達同士が「つながっていた」かどうかは、結局のところ、わからない。
今回、提案者の方が「個人的な」悩みをみんなの前にさらしてくれた。それを聞いた僕は、僕自身がその方とつながろうとしていた。それは、「同じ悩みを持っているんだ」、「自分と同じで、人間なんだなぁ」という共感からつながることができた。そういう共感の輪を作り出す空間が、「クラス会議」という場が持つ力なのかもしれないと感じることができた。
学びが大きかった!
という具合で、自分の感じたことを整理してみたのだけれど、これは、実践していったら、それはそれで、「うまくやってやろう」とか「こうしてやろう」とか、僕の中に潜む欲が出てくるんだろうなと思う。その欲とどう折り合いをつけていって、「クラス会議」という実践の持つ力を引き出すかが、課題だろうなとも思う。
とはいえ、やっぱり体験してみて面白かった。これから「クラス会議」についても勉強を重ねていって、自分のものにしていけるようにがんばっていきたいな。