那波多目功一展:かっこつけないかっこいいおじさまでした
先日、中目黒にある郷さくら美術館で那波多目功一さんという方の個展を見てきました。
人生初めてのことを3つやる、という年初の目標の1つ、なるべく数多くカルチャーに触れるという試みの1つです。
今月3回目の美術館になります。
美術館には、予約もせずにふらっと行ける気楽さがありますね。
那波多目功一さんという絵描きさんは知らなかったのですが、E テレのアートシーンという番組で亡くなったお母様を思って書いたという絵の紹介があり、ちょっと興味を持って行ってみました。
絵はとっても格調高い感じなのですが、ご本人が語られるお話は、あちこちの方面に忖度しない本音の方で笑、絵を書いたりしない私のようなものでも、そうだよねと思えるような内容で、ちょっと一緒にお茶でも飲んでお話したいようなとても魅力的なおじ様でした。
絵を描き始めた動機は…
フロアの一角に、ご本人へのインタビューが流されていました。
お父様が日本画の絵描きさんでしたが、絵が好きだったわけではなく、絵を描き始めた動機は、まだ中学生だった頃、親友だと思っていたお父様の絵描きのお友達が先に入選したことで、立場に上下関係ができ、悔しくてお父様の気持ちを晴らしたいと思ったからだそうです。
初めてなのに入選してしまい、さすが天才的。
それでも絵は好きではなくて、いつでもやめようと思っていたそうです。笑
そんなこと公に言ってしまっていいの?と思わず笑ってしまい、お人柄を好きになってしまいました。
毎日 絵筆を握る
それでも続けていた絵ですが、師匠に絵を描きたいのであれば、毎日少しでも絵筆を握ることが大切だよと言われ、それを実行していたそうです。
ここまでなら、普通なのですが、やっぱり人間なので何もせずに寝てしまうこともあり、それでもふと起きて布団を抜け出し、絵筆を握るということをやっていたそうです。
そんなリアルなエピソードを教えてくれるなんて、ますます惚れてまうやろ笑。
失敗をたくさんして、そこから学ぶことができるようになった
色々な描き方に挑戦してみたそうです。「さざ波」という絵の下の方に芦という植物が書かれているのですが、それは書かない方が良かったとか、説明に書かれてあって、カッコつけない正直さがそのまま絵の魅力になっているのかなと思います。
そしてインタビューでも、「色々なことを試してみて、たくさん失敗しました。最初はできなかったけれども次第にその失敗を次に生かすことができるようになってきました。絵は難しいと思うけれど、一方でそんなに難しいものでもないとも思うのです。誰でも描いてみたらいいと思います。」とおっしゃっていて、絵の好きな一般の人に向けて、あなたも気軽にやってみなはれ!とおっしゃっているようで、心が暖かくなって帰ってきました。
終わりに
絵描きさんなのに、絵はあまり好きではない、いつやめてもいいと思っていたとか、失敗をいっぱいしたけれど、それを生かす方法が分かってきたとか、難しいけれど、そんなに難しいものでもないと思うとか、本音をさらっとおっしゃって、本当に面白い。
実は、後年まで会社を経営されていたようで、ビジネスの厳しさもよくわかってらっしゃるからこそ、みんなに分かりやすい、普遍的なお話ができるのかなと思いました。
音声ガイドは無料サービスで、インタビューのビデオも上記の通り面白いので、オススメです。