『教養として知っておきたい名画BEST100』を振り返る
9月に発売された、『教養として知っておきたい名画BEST100』。
先日、発売記念イベントとして、Twitterスペースで少しその時のことについて話す機会があった。
「執筆で苦労したこと」
「特にお勧めしたい画家」
など、話したが、後から考え直すと、「こっち挙げた方が良かったのでは~」などと、そんな事が頭に浮かんでくる。
例えば、「お勧めしたい画家」では、私がその時挙げたのは、第28位のカラヴァッジョ<聖マタイの召命>。
同じく100位以内にランクインしている、ベラスケスの<ラス=メニーナス>や、レンブラントの<夜警>の源流は、ここにある!
当時の絵画の「常識」、「当たり前」を塗り替えた作品として、是非見てほしい。
その気持ちは今でも変わらない。
が、こちらを挙げても良かったのでは、と思っている作品が実はもう一つある。
それが、第49位のマリー・ローランサン<ココ・シャネルの肖像>だ。
作品画像もそうだが、何より注目して欲しいのは、解説にも書き込んだ、絵をめぐるドラマである。
シャネルといえば、ブランドの創始者。
その生涯を題材にした映画もいくつか作られ、そのうち二本を見ている。
幼少期に父親に捨てられ、反骨精神を武器に、貧しいお針子から必死に這い上がったシャネル。
彼女の顧客となっていた上流階級の女性たちの間で、ローランサンに肖像画を描いてもらうのが流行っているのを知り、自分も、と乗っかった気持ちはわからなくもない。
が、できあがった作品は、シャネルのセルフイメージからあまりにもかけ離れていた。(そもそもローランサンのパステルカラーを主とする画風が、シャネルの好みに合っているように思えない)
「似てない!」と作品を突き返すシャネル。
しかし、ローランサンも負けてはいない。
正直言って、彼女の反応を見ると、もはや笑うしかない。
自分の才能を信じ、腕一本で道を切り拓いていった点では共通しているのに…。
ローランサンのコメントーーーシャネル評については、詳しくは、『名画BEST100』の該当ページの中で。