課題シナリオがかけません
ずっと魚の骨のように喉に引っかかっている問題の一つが、「シナリオ講座」の課題シナリオの一回目が未だに書けていない、ということだ。
書かなければ、筋肉が落ちる。
一度書き出せば、はずみがつく。
それらは経験則としてわかっていたのだが、「こなさなければならない仕事」や「ネタがない」などの理由でうやむやになり続けていた。
最近は、美術書の執筆協力もあった。
が、「シナリオ」のことが頭から消えた日はない。一応講座にも籍は置き続けていたが、時折「切った方が良いのでは?」と考えたこともある。
それでも、切れば後悔する気がした。それに、ネタが全く無いわけじゃない。うやむやにして、ぽしゃる、というのが我慢できない。とまあ、ようは意地になっている。
だが、今、何となく空っぽになってしまっている自分を埋めるためにも、ちゃんと次に大きな波が来た時に、すみやかに動けるようになるためにも、ささやかでも何か書く目標が要る。
第一回の課題シナリオ。お題は「ハンカチ」。
これをこの夏に仕上げたい。
「課題」は、小道具として「ハンカチ」を使うこと。
どんなハンカチなのか。どう使うのか…。
ずっと迷ってきた。
手やこぼした水を拭く。
あるいは、おしゃれとして、バッグの持ち手に結ぶのはどうだろう?
https://classics-the-small-luxury.com/blogs/featured-article/someco-column
https://hhinfo.jp/blog/hs01/03/00680122/?catCode=161027&subCode=162088
使い方はある程度決まった。
色や柄はどうする?
10分のストーリーの中でどう見せる?
たとえば、ゴッホの絵をプリントしたハンカチにするのはどうか?
作品は、<夜のカフェテラス>。
選んだ理由は、ゴッホの作品の中で、一番好きなのが「青と黄を活かした作品」だから。
一枚の絵として見れば、具象的な風景画。
これをたとえば折りたたんだり、くしゃくしゃにしたら、色の組み合わせやコントラストが一番目立つ。何が描いているかはわからなくなるが、抽象的な不思議な文様に見えてなんとなく面白いのではないか。
特にこの屋根の裏側の黄色の鮮やかなこと。
これをバッグに結ぶか、あるいはこれを使って簡易なエコバッグを作って登場させるか。
それを見て、主人公が嫉妬する。
彼女は、目標らしい目標もなく、何となく生きていて、「留学」に、「独立に向けた準備」に、と「充実した」人生を送っているように見える周囲が妬ましい。ハンカチの持ち主である従姉にも、劣等感に似た思いを抱いている。
何か興味を持てるものもなく、ただ流れに乗って「受験勉強」らしきものをしている。
そんな中でも、夢中になれるものがある人々が羨ましい。が、自分の鬱屈を知られたくなくて、いつもふてくされている。
悪態をついたり、人を小ばかにして、憂さを晴らそうとするが、一時的なものに過ぎず、また自分の空虚さを実感せずにいられない。
親が心配して口をはさんでくるのもうっとうしい。特に母親は、「夏休みの宿題」にかこつけて、従姉にアドバイスを頼む、というお節介まで働く始末。(「余計な事すんな!」)
「宿題」の内容は、美術展に行って、感想をレポートにまとめること。美術に詳しい従姉は、早速話題になっている展覧会の一つのチケットを譲ってくれる。
「レポートの代筆をしてもいいけど、ちゃんと自分で一度は見てきなよ」くらいは言われたかもしれない。
そして、主人公は面倒くさがりながらも、一応足を運ぶ。行ったフリをして「サボる」という発想はなかったらしい。サボったところで、他に行きたいと思える場所もなかったし、やりたいことも無かったのかもしれない。
展覧会の内容―――ゴッホの回顧展はやはり気に入らない。絵も、会場で紹介されていたゴッホの生涯も。それを見に押し寄せている人々も。何でこんなものが好きなのか。
後で、従姉とスタバで会った時に、ゴッホの悪口を言いまくる。
従姉はニコニコしながら聞いているが、若干その笑顔は引きつっている。
彼女のバッグの持ち手には、青いハンカチが結ばれていて、それが気になる。(このシーンの前後に、同じハンカチをエコバッグとして使っているのを見せた方が良い)
「別に特別大きなものを手に入れなくても、持っているものでオシャレすれば良いんじゃない?」
と従姉。
ふてくされる主人公。従姉が席を外した隙に、腹いせにハンカチを盗み、自分のバッグに入れてしまう。
帰宅後はすっかり忘れていたが、後でバッグの中身を整理していた時に、丸めたハンカチが出て来て、思い出す。
まずいな、とさすがに思うが、何も言ってきていないのが不気味。
捨てようかとも思ったが、やはりもったいない。逡巡しながら広げると、そこには、先日散々にくさしたゴッホの<夜のカフェテラス>がプリントされていた。
思いっきり趣味に走りまくっているし、話の流れも自然とも思えない。
それに、規定枚数を満たせるのか、それともはみ出すのか。
足踏みするよりも書け、と怒鳴られるか、蹴りでも入れられるだろうか。
まずは、一番要のシーンだけでも書き起こしたい。
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