『ハーブ&ドロシー』~折を見て、ちゃんと語りたい映画
数年前、あるいはもう少し最近でも、「なんとなく」流し見てしまった映画は多い。
今でも、「とにかく量をこなしたい」という気持ちが強く、一応スマホのアプリに、見た映画について記録する習慣をつけてはいるが、「記事(コンテンツ)」として通用するものが書けることは、数本見て一回あるかどうか。(おい)
このような記録を始める前、TSUTAYAの棚から「なんとなく」直感で選んで、見てみた作品で、頭の中に引っかかって忘れられない作品、折を見てちゃんと語る機会を設けたい、と思う作品がある。
・ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
http://www.herbanddorothy.com/jp/archives/index.html
アメリカの美術コレクター、ヴォーゲル夫妻(ハーブとドロシー)を扱ったドキュメンタリー映画。
主人公である二人の職業は、それぞれ「郵便配達人(夫)」と「図書館司書(妻)」。
つつましい生活の中で、二人の楽しみは、アート作品を集めること。
①自分たちのお給料で買える値段であること
②自分たちが住む1LDKのアパートにおさまるサイズであること
そして、もちろん自分たちが「いいな」「好きだな」と感じること。
この条件下で、二人が約30年間かけてコツコツと集めた作品は、建造物の梱包で有名なクロード夫妻(先日亡くなったとニュースで聞いた)、チャック=クロースなど、錚々たる面々のものばかりだった!
アートを集める、というと、お金持ちのイメージがあるが、二人はごくごく普通の老夫妻。
彼らが約30年かけて、2000点以上もの作品を集め、そしてアメリカの国立美術館に寄付した。
それが事実だ、と言ったら驚くだろうか?
ハーブとドロシーは、アートを愛し、背伸びすることなく、手の届く範囲で、そして自分たちの感性に従って、集めただけだ。
「有名だから」
「自慢したい」
などという理由ではなく、「良いと思ったから」。そして、自分たちにも手の届く範囲の作品だから。
ただそれだけ。
夫婦の絆もほっこりする。
「美術が好きな人」に勧めたい一作。