CH-47は何故今も運用し続けるのか
CH-47は原型のYCH-1Bが初飛行してから63年経つが派生型は今も開発・生産されており
最新型のCH-47Fや特殊作戦型のMH-47Gが生産され
米陸軍やアメリカの同盟国を含めて
各国で導入されている。このCH-47を凌駕する後継機種は2024年現在開発されていない。
それは何故だろうか?
一つにはその信頼性による。軍事ブロガー・JSF氏が提示した米側資料によれば
CH-47は米海軍のH-53やH-3に比べても事故率が少ない。JSF氏によれば
UH-1とCH-47は平均値だと言われている。もちろん米海兵隊のCH-53は海軍のH-53に比べたら事故率は低いがCH-53も度々不時着などの
事故を起こしてるのに比べてもCH-47の事故はあまり聞かない(戦闘での被害を除く)。
以下の経緯からするとCH-47は大型ヘリとしては信頼性に優れてるのがわかる。
そしてこの信頼性こそCH-47が今日に至るまでアメリカを含めて
各国で運用され、派生型も開発されている最大の理由ではないだろうか。
兵器は性能もそうだがそれ以上に信頼性もまた求められる。パイロットやクルーの安全が第一で
その安全が保証されない機体は第二次世界大戦以降は認められない。
故障しにくい、敵の攻撃になるたけ耐えられる、いかなる環境でも耐えられる事が求められる。
こうした信頼性がある装備は改良を加えながらも長期、または現在にも渡って
運用される。CH-47はローターが前後に1基ずつ配置されるタンデムローター方式なので
ローターブレードの一つが何らかの理由で破損しても破損したブレードのあるローターと
もう一つのローターで安定性を保てるので事故を抑える事が可能になる。
陸海空自衛隊でV-107が長期に渡って運用されたのもそのためである。
こうした信頼性持つCH-47を凌駕する大型ヘリはなかなか登場できないのが実情だろう。
なおH-53やCH-53の後継にはシコルスキーS-92やアグスタウェストランドEH-101が
存在するがやはり老舗の信頼性を持つCH-47の後釜にはなり得ないようである。
なお陸自と空自のCH-47は調達が進められており今後も増加するのが予想される。
最近の調達分はCH-47Fか仕様になる可能性が高い。恐らくだがGPSやFLIR、
空中給油プローブが搭載されている、MH-47G仕様になるものと見られる。
他のCH-47J/JAもMH-47G仕様に改修されるだろう。空自ではレーダー・サイトや
通信基地への補給輸送の他に前線航空管制要員輸送、CSAR(災害派遣任務)の増援から
今後も増やされたり去年のスーダンやイスラエルからの邦人退避から
ジブチなどに派遣されるかもしれない。U-125Aの用途廃止で人員が確保できるからによる。
■信頼性から長く運用された装備品はまだある
信頼性のある装備品として代表的なのはB-52、C-130などがある。B-52は8基のエンジンが
装備されているのでエンジンの一つが故障しても7基のエンジンでカバー出来る。
C-130も4基のターボプロップエンジンがあり、やはりバックアップは可能な上に
ターボプロップエンジンなので不整地での不時着も可能。今も派生型の開発や改修、
生産が行われている。
戦闘機でもF-15やF-16は信頼性に優れた装備品である。ここではF-15シリーズを取り上げるが
F-15シリーズは事故率は平均未満、パイロットの生存性はアメリカ、イスラエル、
日本、韓国、サウジアラビアで証明されている。アメリカはイスラエルへの
F-15シリーズ(F-15IA)の輸出を決定したがこれもF-15シリーズの信頼性によるものと見ていい。
F-14Aも生存性は高いが可変翼ゆえに整備コストが高騰し結局退役した。
もっとも整備コスト以外にもB-1の事故率の高さや北朝鮮空軍のMiG23の整備の複雑さによる
事故率の高さから可変翼機は信頼性に乏しいのかもしれない。F-111シリーズの早期退役や
トーネードを退役させたがっている英独伊やサウジアラビアを見ればよくわかる。
なおこの信頼性のある装備品にF-35も加わるだろう。生産数に比べて低い事故率であり
その信頼性が短期間でベストセラーになった要因なのだろう。
他にもM2、FN MAG、M60、M134(ミニガン)など信頼性を持つ装備品は枚挙に暇がない。
そんな信頼性に優れたF-15シリーズのF-15Jを改修せずにそのまま使い潰せと提言した
軍事ライターの記事に開いた口が塞がらなかった。F-15Jの信頼性やF-15EXの生産を見れば
それが誤りなのは一目瞭然であり、新機種を導入すればコストもあがる。
何より信頼性を無視してる時点で話にならない。この方は元海自幹部との事だが
こんな認識がもし海自に蔓延してるとなれば先の裏金事件やパワハラも含めて
海自は大丈夫なのかと本気で心配になってしまう。