スーダンの戦闘での邦人退避作戦の成功の教訓と課題について
スーダンで発生したスーダン国軍(SAF)とかつてダルフール地方で
民族浄化で悪名を轟かせた民兵組織・ジャンジャウィードの
後継組織である準軍事組織・即応支援部隊(RSF)と戦闘により、スーダン在留の
外国人とその家族、現地スタッフの退避作戦が各国で行われた。
本邦も例外ではなく空自航空支援集団司令官をトップとする陸自と空自で
構成された統合任務部隊が組織され、空自のC-130Hが1機が最初に海賊対策の自衛隊の拠点てあるジブチに派遣され、
後にC-2とKC-767も1機ずつやはりジブチ派遣された。そしてスーダン東部の港町である
ポート・スーダンの国際空港にC-2が最初に派遣されハルツームから陸路で
ポート・スーダン国際空港まで移動してきた退避希望の邦人と現地スタッフ、
外国人合わせて48人全員をC-2に乗せてジブチに退避に成功した。
何人かはハルツーム郊外のワディ・セイドナ空軍基地から
フランス空軍の輸送機(おそらくA400M)や同じポート・スーダン国際空港から
韓国空軍のC-130Jでサウジアラビアのジェッタに退避した。
新たな退避希望者もやはりワディ・セイドナ空軍基地からカナダ空軍の輸送機
(おそらくC-17)で退避が完了した。
自衛隊はもとより韓国、フランス、カナダ、UAE、サウジアラビアには心より感謝したい。
外務省も感謝の意を述べている。
今回の退避作戦の成功の背景には2021年のアフガニスタン・カブールでの
退避作戦が後手後手に回ったり自爆テロで多くの現地スタッフを
退避できなかった苦い経験を教訓にしたのが功を奏した。初動対応が
とても早く、いち早く退避作戦を表明し実行に移した。この教訓は今後も
邦人退避が必要な時に生かされるのは間違いない。
日本や韓国、ASEAN、インド、EU以外では米英がいち早く退避作戦を敢行している。
とは言っても最初に退避させたのは外交官とその家族。陸軍のMH-47が3機、
MC-130、HC-130、更にはガンシップのAC-130も作戦に投入し
アメリカ大使館にMH-47が降下して海軍特殊部隊SEALs(DEVGRUとも)と
陸軍特殊部隊群(通称グリーンベレー)が警護の任務に就き、
大使以下外交官とその家族全員を退避させた。またイギリス軍も陸軍特殊部隊(SAS)が
その米陸軍のMH-47に搭乗し、降下した後はイギリス大使館に向かい、
やはり大使以下外交官とその家族を1200名もの兵士を投入して退避に成功させている。
在留邦人を後回しにしたのでこれには米英共に批判が相次いだが
TANK2ROW氏の話によれば米国は非戦闘員退避活動(NEO)と日本の
在外邦人等の保護措置及び輸送(RJNO)の違いを指摘する。
NEOは政府関係者の退避を、RJNOは政府関係者を含む邦人全員の退避を目的としている。
場合によっては日本とは違い費用請求も来る。日本では救難活動も含めて
税金で賄うので費用請求はめったに来ないが米英では来ることは珍しくない。
なおアメリカはカブール退避の教訓から自国民や同盟国民の退避作戦は
行わないとしているがイギリスは後に自国民の退避作戦を開始している。
アメリカやイギリスは徹底した個人主義故に自己責任社会でもある。
この点は本邦とは歴史的経緯も違いも含めて認識するべきである。
公式発表はないがミリレポ氏の動画が指摘するように米陸軍のMH-47には
陸自の特殊作戦群も搭乗し降下後には日本大使館に合流、ポート・スーダンへの
陸路移動の警備に同行したと見られている。恐らく
韓国陸軍の特殊部隊(第707特別任務部隊)も同じと考えられているが
それを知る術も知る由もない。あくまでも憶測に過ぎない。
今回の教訓ではスーダンが自衛隊の拠点であるジブチに近かったのも
作戦成功の要因の一つとなっている。西アフリカや南米なら困難を極めた可能性もある。
そこで空自所属でV-22を再調達し、日本とジブチにそれぞれ配備しておくべきではないか。
V-22ならCH-47とは違い戦闘行動半径は広く速度も早い。
またISR(情報・監視・目標捕捉および偵察)装備も搭載されてるから
海賊や海上テロリストの監視にも運用可能である。C-130Hも対地攻撃や
ISR装備を搭載したKC-130Jに更新すれば平時はやはり海賊やテロの監視、
有事には邦人退避やV-22への給油などに運用可能である。
ただ南米についてはどうするかの課題はまだ残っている。確かにフランス政府に頼んで
フランス領ギアナに自衛隊を駐留させるのは可能かもしれないが
平時の任務はどうするのかの問題がある。中南米は
我が国の重要なシーレーンとは言い難い一面があるのは否めない。
本土からの輸送機も欧州に比べて距離があるために時間がかかる。
V-22に至っては絶望的である。
防衛省は南米での騒乱での邦人退避作戦を想定した計画の立案が求められる。
■ソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/c8638f6fd335712b7b53d06f92c16017ea72f002
https://grandfleet.info/japan-related/japanese-who-escaped-from-khartoum-are-traveling-from-sudan-to-djibouti-in-japan-self-defense-forces-plane/
https://s.japanese.joins.com/JArticle/303600
https://grandfleet.info/japan-related/asdf-c-2-took-off-from-djibouti-likely-headed-for-port-sudan-international-airport/
https://news.yahoo.co.jp/articles/c3d99eba3ddc6ecd8d8b026082ba38dee8488e72
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b34d2b66904d046bf51cd57a99f99dc014db10f
https://news.yahoo.co.jp/articles/fab230dd5dc553644a64892a695264dc1868f38c
https://grandfleet.info/middle-east-afria-related/franco-german-transport-planes-arrive-on-the-outskirts-of-sudans-capital-as-european-evacuations-begin-in-earnest/
https://twitter.com/TANK2ROW/status/1650638766951006209?t=okRrBJBf6GRNxGkWn9OOZQ&s=19
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b50795f3af05fa64e7a3b4dd4f00c8bfadbeaa1?page=3
https://youtu.be/VwTx3V3SHdY
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb997465d4585cb6b94e17f20b33f8725bc92cac
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_001454.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/KC-130_%28%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%29?wprov=sfla1