弊研究室の新たな研究テーマ紹介
研究の柱を再定義して新たな研究テーマを立てた背景
私は普通の人と異なる目線でマイナーな意見を言うタイプの人間なので、普通じゃない人間と自覚しています。そういう人間ではありますが、今は大学の研究室を運営している一人のサラリーマンです。
更に、私は1つの分野をじっくり専門としている人間ではなく、薄く広い研究分野を渡り歩いております。
情報工学
音楽音響学
人間工学/人間計測
自動車工学/機械設計学
リスク工学
…と、これらの研究分野を組み合わせて、今まで学術的に一般論を定義できていなかった分野を開拓して、学術的な知見を公益として世の中に残すことを研究目的としています。
今回は、学生達にキャリアプランの授業で示した弊研究室の柱となる「真・専門領域3選」を掲載します。学生達に示した具体的な研究テーマ案は伏せさせて頂きます。
(柱の元ネタは、P戦国乙女7の「真乙女BONUS3000」をオマージュしています)
真・専門領域3選にこめた思い
新たに立てた専門領域に基づいた研究に対する私の思いは2つあります。
自分も学生も楽しい研究テーマで社会問題解決に資する公益な一般解を世に送り出したい
遊技機をはじめとするエンターテイメントの「のめりこみ」による社会問題を、リスク工学の観点から解決したい
です。特に、後者の思いについて示します。
遊技機…いわゆる、パチンコ・パチスロは、決して良いイメージを持っていない方が世の中に多いのは承知の上です。射幸性も公営ギャンブル(投資額と”最大の”リターン金額が青天井)に近づき、パチンコ・パチスロ史上最大になっています。日本全国におけるホールの多さや遊技人口の多さ(25年前と比較して大幅に減少しているが)から、ギャンブル等依存症のやり玉に挙げられているのも、さもありなんでしょう。法律で合法化されている公営ギャンブルはスルーされ、風適法の範疇にあるパチンコ・パチスロは批判される。これはこれで論理的な批判ではない、主観の暴走ではないでしょうか。
とはいえ、これらは良作のコンテンツも存在する「ゲームの一種」なのも事実です。そういう良作のコンテンツを「のめりこみすぎによる社会問題(=ギャンブル等依存症問題)」を大義名分に、世の中の敵と扱われる事態が続くことは、公正なエンターテイメントの発展という観点ではあってはならないものと考えています。
そのため、私はリスク工学と人間工学の根本である「人間はリスクテイキングをしやすい生き物」に基づき、
過信(⇒社会生活を維持出来ない程にのめりこむ)に陥らない
不信(⇒結果に納得出来ない遊技者が遊技そのものを全否定し、自己責任を放棄して業界全体を糾弾する行動に陥る)も引き起こさない
バランスを持ったゲーム性を、リスク工学と人間工学の観点から公益として示すことを究極のゴールとして研究に臨みたいと考えた次第です。なぜなら、のめりこみすぎというのは、人間のリスクテイキングが引き金となって発症するという仮説を持っているからです。疫学的にはすでに脳内活動の変化の観点から研究されている分野ではありますが、日本では依存症重症者への薬物治療が禁止されているため、認知療法が唯一の選択肢となります。そのため、人間の遊技中の様々な観点から過信と不信のメカニズムについて研究し、認知療法が必要な依存症の重症者を無くすことを目指す次第です。
研究の遂行に不可欠なこと
研究の遂行に不可欠なことを挙げます。
遊技機に対する世間の皆様の偏見を解消したい
遊技機業界の皆様からのお力添え(特に、共同研究)をいただきたい
の2点です。これらの実現のためにも、まずは意思表明としてこの日記を書いた次第です。
余談ですが、遊技機の中には、ノベライズやコミカライズをして残すべきオリジナルの名作がいくつもあると私はとらえています。例えば、平和さんの戦国乙女シリーズです。史実をアレンジした作品で一部はすでにコミカライズされており、遊技機のストーリーはその延長線上にあります。しかし、全機種をとおした全編のノベライズやコミカライズはまだ実現されておりません。このまま遊技機のプレイヤーのみに留める作品になるのは大変惜しい事だと思っています。このような事態を変えるために自分が出来る事は、遊技機に対する世間の偏見を解消し、作品を世に送り出せる社会的風潮にしたい。そのために、自分の研究が貢献できるようになりたい。かなり飛躍的なロジックですが、それが、私の思いです。
また、このテーマは、インタフェースおよび人間工学の延長線としての遊技機分野へのチャレンジとなります。まずは、遊技者が感じる演出への信頼度、プレイヤーの行動や生態信号計測による解析、等々、メーカー各社が試行錯誤で決めている部分の一般解を学術的に示すことが身近の目標です。
そんな変わり者の研究室ですが、一人でも強い関心を持った能力のある学生が、私がいる大学および私の研究室に入ってくれることを切に願っております。