「芝桜」に描かれた芸妓の美しい着物と、18歳の莫迦な私。
18歳の時だった。
友人と京都旅行に行った際、ひょんな事から、愉快な大人たちに一見さんお断りの店に連れて行ってもらうことになった。
深夜に古都の静かな路地へ誘われ、看板もなく薄明かりの中に佇む引き戸を開けると、店の中はカウンターのみの上品な和風の設えだった。
末席にちょこんと腰掛け、カウンターの向こうを見る。着物姿で凛と立つ、美しく気の強そうな女性と目が合った。この店の女将だ。私は圧倒されてどう振舞えばいいのかわからず、うつむくしかなかった。黒く光るカウンターには、自分の丸