まだない記憶を思い出して泣くな
たった数週間の忙しさに、あっけなく体調と情緒の舵をとられた。忙しくなり始めた数日後にひいた風邪はぐずぐずと治らず、眠さで頭のすみっこがずっと重たくて、行き帰りの電車の中はケータイを触る気力もなくぼーっとしていた。からだがしんどいと自ずとこころもしんどくなってきて、突然わけもなく涙が流れていて驚くことが増えていた。一方で、そんなふうになっているのは周りを見渡してみても自分ひとりだけで、そのことにもただただ焦りが募った。自分だけおかしい、ということは分かっていて、だけど何をどうし