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アイデンティティの核
【セリアンスロピー/Therianthropy】及び【アザーキニティ/Otherkinity】とは、「自分のアイデンティティの中核を為すものが何なのか」を自分自身の手で探り当てていく実践と言えます。
そのため、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の中には自己分析が進んだ段階で自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】の認識が改まる方もいらっしゃいます。
或いは、他の【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】と対話を重ねるうちに、自分自身が【セリアン/Therian】でも【アザーキン/Otherkin】でもなく【アザーハーテッド/Otherhearted】や【コーピングリンク/Copinglink】である事に気付く方もいらっしゃいます。
どれも「間違い」でも「悪い事」でもありません。むしろ「正解」で「良い事」です。自分の本質にそれだけ近付けるという事は、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】であろうとなかろうと素晴らしい事だと私は考えます。
「何が自分のアイデンティティの核なのか」を考えるにあたって、大切な事は無欲になる事だと個人的には思います。
お金がなくなっても自分は自分でいられるか。
有名でなくなっても自分は自分でいられるか。
仕事がなくなっても自分は自分でいられるか。
趣味がなくなっても自分は自分でいられるか。
そのように自分を構成する色々な要素を一つ一つ取り払っていって、それでも最後に残る究極の一つが自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】であった場合、あなたはおそらく「本物の」【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の当事者だと思われます。
逆に、自分自身の種族である【キン/Kin】がそこまで大切なものではないのであれば、あなたをより幸せへと導く他の何かがあるかもしれません。
その場合は【セリアンスロピー/Therianthropy】や【アザーキニティ/Otherkinity】に早い段階で見切りをつけて、「自分にとって本当に大切なもの」を探せるよう方向転換した方が良いかもしれません。少なくとも自分自身を騙して生きるよりはよほど健全な生き方が出来ると私は思います。
病気の分離
他の記事でもお伝えしましたが、辛い状況に置かれ続けた場合、その状況から脱する事にむしろ恐怖を覚えてしまう心理作用が働く事があります。
また、「学習性無力感 /Learned Helplessness」の心理作用によって「何をしてもどうせ無駄だ、自分は救われない」と強く思い込んでしまっている場合、「予言の自己成就/Self-fulfilling Prophecy」という別の心理作用が働いて本当に物事がうまくいかなくなってしまう事もあります。
結果として「どうせ上手くいかない」という体験を強化してしまう事になり、だからこそ次に何か挑戦しても最初から「どうせ上手くいかない」という思い込みがあるため本当に失敗してしまうという悪循環に陥りがちです。
どこかでこの負の連鎖を断ち切らなければなりません。
ですから、最初のステップとして肝心なのは、自分のアイデンティティから負の体験をパージすることです。
もしもあなたが「病気だから自分は自分でいられる」のだと思い込んでいるのなら、それこそをまずは最優先で自分のアイデンティティから切り離してください。病気であろうがなかろうが、自分は自分です。
他の項でも触れましたが、心の病も体の病も生きていく上での天敵です。
「自分は何をやってもダメだ」という思い込みは、逆説的に言うなら「何をやってもダメな人間こそが自分だ」という負の体験を自分のアイデンティティに組み込んでしまっている現象とも言えます。「失敗する事=自分」という自己イメージをまずは破壊しなければなりません。
そのためにも、「失敗しようが成功しようが自分は自分」という強力な自己イメージが必要になります。【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の場合、自分の【キン/Kin】こそがこの強力な自己イメージとして優位に作用する事がままあります。
逆に言うなら、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】に限らずとも、強力な自己イメージがあれば逆境に強くなれるとも言えます。
以前お話した「条件付き自己像/Conditional Self-Concept」に「成功体験」や「社会的立場」が組み込まれてしまった場合、「成功しなければ自分ではなくなってしまう」、「仕事や影響力を失ったら自分ではなくなってしまう」というアイデンティティの危機を招くリスクがあります。
成功しようが失敗しようが自分は自分、そう泰然と構えていられれば、人生何があっても自分を見失わずに生きていけるのではないかと思います。
まとめ
自身のアイデンティティの核が何であるかは、自分自身にしか分かりません。
何度も繰り返し申し上げますが、【セリアンスロピー/Therianthropy】や【アザーキニティ/Otherkinity】が自分のアイデンティティの核ではなくとも、それは決して「悪い事」ではありません。本当の自分を探す上で「これは違っていた」という経験が一つ増えただけです。違う場所を探せば「本当の自分」が見つかるかもしれません。
逆に、「これこそが自分のアイデンティティの核だ!」と確信するものが自分の【キン/Kin】であるならば、動物学(Zoology) や 動物行動学(Ethology) の文献を調べる事をお勧めします
【セリオタイプ/Theriotype】の動物の特性を知る事こそが、【セリアン/Therian】としてどう生きるべきかの道標になることでしょう。
ただ、くれぐれも【セリアンスロピー/Therianthropy】を言い訳にしないようにお願いします。
「自分は人間ではないのだから出来なくて当たり前」と思うのではなく、「人間ではない自分がどうやって問題を解決しよう」と自分なりの答えを導き出すのが【セリアンスロピー/Therianthropy】です。