【釈迦堂遺跡博物館】企画展「やまなし土偶探訪」を見に行く
はじめに
釈迦堂遺跡博物館では、企画展「やまなし土偶探訪」(2024.9.18~12.23)が始まりました。
県内各地から秀逸ではないものの普段はお目にかかることの少ない個性的な土偶たちが集まりました。釈迦堂と同じようにバラバラに壊された土偶が多く、全体像のある土偶は少ないです。展示は頭部中心に展示されているためいろいな表情の土偶を楽しめます。
トップ画像は展示のうち北杜市の土偶です。
やまなし土偶探訪
企画展「やまなし土偶探訪」(2024.9.18~12.23)は県内各地から土偶を集めた展示です。それも有名な土偶ではなく、普段お目にかかる機会のない土偶を200点も集めています。常設展と併せて土偶にどっぷり浸れる展示です。
想像するに、県内各地から有名な土偶というと貸し出しは難しいので、わりと地味な土偶になったのだと思ます。でもそこは釈迦堂遺跡博物館です。なかなか面白い土偶を借りてきたと思います。バラバラの土偶がずらりと並ぶ姿は常設展の土偶ともたいへんよく似ています。
0 山梨県の土偶
山梨の土偶は縄文時代前期(およそ7000年前)から晩期(およそ2400年前)まで各地で作られていました。とくに縄文時代中期(およそ5500年~4500年前)は土器とともに土偶も精巧で立体的なものが多いといいます。
山梨は全国的に見て土偶が多く出土する地域です。山梨からは3000点の土偶が出土しているといいます。地域別に内訳をみるとかなり偏りがみられます。八ヶ岳南麓の峡北地域と甲府盆地の東部である峡東地域に多く出土していることが分かります。釈迦堂遺跡も峡東地域にあります。
土偶は出土した地域別にケースを分けて展示しています。ほとんどがバラバラに壊された状態で出土しており、数も多いため土偶や遺跡の解説はありません。
1 北杜市、韮崎市、南アルプス市の土偶
まず、八ヶ岳南麓の峡北地域(北杜市、韮崎市)と南アルプス市の土偶です。県内の土偶のその半分近くが峡北地域からの出土しています。その数1300点です。展示のほうもケース2つ分を占有するほどの大所帯です。
1_1 北杜市
地域ごとに展示土偶の出土した遺跡の分布図が用意されています。北杜市自体が広い(8町村合併)のですが、遺跡も多いことが分かります。
もともと出土数が多いことから展示ケースも2つにまたがります。
頭部を中心に展示されています。
後ろから見てみました。後ろ姿も土偶ごとに特徴があります。
あまりの多さに2つ目のケースに突入です。
1_2 韮崎市と南アルプス市
北杜市の隣で少し肩身が狭そうに、韮崎市と南アルプス市の土偶が並びます。画像の左側が韮崎市、右側が南アルプス市です。
韮崎市、南アルプス市には有名な土偶(鋳物師屋遺跡の「ラヴィ」とか)があるのですが、さすがに登場願えなかったようです。
2 市川三郷町、南部町、都留市、大月市の土偶
続いては、もともと出土数が少ない地域なので複数で1つのケースに展示されています。市川三郷町、南部町は峡南地域で、都留市、大月市は郡内地域なので全く別の地域の「連合」ケースです。
2_1 市川三郷町、南部町
もともと峡南地域(市川三郷町、南部町)の土偶は15点と大変に少ないです。山が険しく縄文時代に適した環境がほとんどなかったのでしょう。
全15点の出展です。小さい胴体や脚がほとんどです。顔なのは1点だけでしょうか。
2_2 都留市、大月市の土偶
郡内地域(都留市、大月市、上野原市、西桂町)と呼ばれる山梨の東部地域だけで約50点とこちらも少ないです。展示は都留市、大月市からの出品です。もっとも都留市といえば中谷遺跡の全国的にも珍しい耳飾りをつけた土偶が有名なはずです。
3 甲府市、甲斐市の土偶
続いてのケースは甲府市と甲斐市の土偶です。
峡中地域(甲府市、甲斐市、中央市)と呼ばれる盆地の中央部からは約90点の土偶が出土しています。その中で甲府市、甲斐市の土偶を展示しています。
3_1 甲府市
甲府市は山地に近いところでないと縄文の遺跡はないのですが、それも少な目です。
3_2 甲斐市
甲斐市も山地の始まりのようなところに遺跡があります。
4 笛吹市、山梨市、甲州市の土偶
峡東地域(笛吹市、山梨市、甲州市)は盆地の東側の地域ですが、約1570点と峡北地域を超える出土数です。このうちの1116点が釈迦堂遺跡のものなので、数字からも釈迦堂遺跡が土偶がいかに多いのかが分かります。
4_1 笛吹市
笛吹市はもともと遺跡が多い地域です。釈迦堂遺跡も笛吹市と甲州市にまがっています。
笛吹市は「てらたん」「ハチマキ土偶」「肩こり土偶」など有名どころも登場しています。市が常設の展示施設(春日居郷土館は常設でない)を持たないので借用できたのでしょうか。
これだけの土偶の頭を後ろから見られるのはちょっと新鮮です。
4_2 山梨市、甲州市
山梨市、甲州市は遺跡は少ないながらも重要な遺跡があるところです。
5 土器に表現された土偶の顔
3点の土器、あるいは土器の一部を展示しています。
ハート型の頭部がついています。
こちらは、深鉢を逆さにして使ったようです。顔と腕がついています。
こちらは奥の壁にふたつ離れて並びます。
縁にちょこっとした顔面がついています。
顔ごてごてした把手の中にある顔が笑っています。
おわりに
土偶ばかりを集めた企画展の紹介でした。細かな説明がないことで誰でも見て楽しめる展示のように思います。訪問時は3連休ということもあり家族連れなどが多く訪れていました。
しかし土偶もこれだけ見ればお腹いっぱいです。普段なら「土偶ガチャ」(500円)を回して帰るのですが今回は辞めて帰りました。
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