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【なるさわ富士山博物館】博物館というよりも商業施設

はじめに

 山梨県鳴沢村は、夏の河口湖方面の観光でにぎわうエリアです。鳴沢村を東西に走る国道139号には「道の駅なるさわ」があり、その中に「なるさわ富士山博物館」(以下、博物館)があります。
 この博物館は鳴沢村が1995年(平7年)開館したもので、さらに2008年(平20年)にリニューアルしています。
 筆者の感想は、観光地の物品販売が目的の施設であり、博物館というにはやや無理があると思いますが、何かの参考になればとあえて紹介いたします。

道の駅は観光シーズンで混雑しています

指定管理者

 指定管理者制度は2003年(平15年)より開始された制度です。地方自治体の施設を民間事業者に管理してもらうというものです。指定管理者制度のメリットとしては、民間の企画やアイデアを活かせることや経費節減に寄与できることが挙げられます。一方、デメリットとしては、自治体の責任感の希薄化、サービスの質の問題、サービスの継続性などが挙げられます。
 メリット、デメリットはそれぞれありますが、多くの自治体が施設の運営に取り入れている方法となっています。

富士山博物館

 さて、この博物館は2008年(平20年)のリニューアルしておりますが、指定管理者制度導入により「なるさわ富士山博物館 鉱石ミュージアム」へと移行したことによるものです。ちなみに、指定管理者は甲州市勝沼町と富士河口湖町にハーブ庭園旅日記という観光庭園を運営している企業グループです。
 建物は、内部に360人収容のイベントホール(フジエポックホール)もあるため大きなものです。富士山の形に宝石をあしらったような壁面デザインです。そして、その建物の前の広場には海外産の巨大な原石が飾られ、物販のテントがいくつも並んでいます。

こちらは「宝石発掘」のテント
博物館側から、巨大な原石のとなりではブルーベリーの呼び込み販売

 無料施設のため、特にチケットカウンターもなく、道の駅の駐車場から流れてきた人たちが入っていきます。人の流れに乗って進むと洞窟の入口のような入口ゲートがあります。自動改札のようなゲートはかつては有料施設だったことが伺えます。

自動改札は有料施設時代のなごり

 まず、地下へ向かう階段を進むと巨大なティラノサウルスの頭部の模型が出迎えてくれます。子どもたちは喜ぶか、その迫力に怖がられるかどちらかでしょう。しかし遊園地のアトラクションとは違って動きません。ところで、富士山と恐竜は関係ありますか。

いきなりのティラノサウルス・・・

 さらに進みますと、こんどは隕石が展示されています。隕石についても富士山との関わりはあるようには思えません。

もはや富士山はどこへ

 隕石の隣は「マウント富士シアター」になっていて、CGによる富士山上空の映像を見られます。やっと富士山になってきました。
 明るいフロアに出ました。中央に富士山の断面のジオラマが鎮座しています。だんだん富士山の博物館らしくなってきました。「誰も見ること無かった富士山の内部」とうたっていますが、むしろ誰も立ち止まって見ていません。

ジオラマを囲む原石の数々

 富士山の気象や動植物などに関するクイズがあり、子どもたちは富士山の学習ができそうですが。壁面には大型の鉱石の原石が展示されていて、結局富士山に対する展示内容が希薄です。

健康にいい石の説明を経て健康体験コーナーにいざないます

鉱石ミュージアム

 展示を出ると物販コーナーに直結しています。お土産やパワーストーンを販売する大きな販売スペースです。健康器具の体験もあります。
 「富士山博物館」なのか「鉱石ミュージアム」なのか看板には複数の表記が散見されて分かりにくかったのですが、どうやら、このお土産やパワーストーンを販売するここが「鉱石ミュージアム」のようです。
 防犯の関係上、写真撮影はできません。

おわりに

 観光業の指定管理者が営業しているため、商業施設化はある程度は仕方ないのですが、「富士山のことがわかる博物館」(博物館HPより)というキャッチコピーの印象とはだいぶ離れているように思います。
 山梨の地場産業は水晶をルーツとする宝飾加工です。加工ですから原石をデザインにカットしたり磨いたりと地味なものです。そういった地味なところを通り越して山梨=宝石と結び付けて、拡販営業するところが観光地にはあまりに多いのです。

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