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【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(6) ぶどう畑のアートギャラリー

はじめに

 ぶどう畑の中にある山梨最古の美術館こと笛吹市青楓せいふう美術館の周囲では農家さんが忙しくぶどうの袋掛けの作業がされていました。おいしいぶどうが実り、8月から収穫が始まります。
 さて、津田青楓の作品は半年ごとに入れ替えますが「ぶどう畑のアートギャラリー」は毎月展示を入れ替えています。7月から9月の作品を紹介します。

おなじみ、ぶどう畑の美術館

 現在の津田青楓の作品はこちら。
 2023年度前期の展示「花のあるくらし~津田青楓が描く花の世界~」(2023.4.19~9.3)


ぶどう畑のアートギャラリーの歴史

 「ぶどう畑のアートギャラリー」は、受付前のエントランススペースをサークルや個人の作品の発表の場として月替わりで提供する小さなギャラリーです。本ギャラリーのみの観覧であれば無料です。

 折に触れ扱ってきましたが、青楓美術館は2009年(平成21年)に入館者の減少を理由に閉館を決めたことがあります。しかし、それまでの市の取り組みの無さを指摘され、入館者数の増加に向けた取り組みを行ったところ入館者数は回復し閉館の方針を撤回したという経緯があります。
 入館者数の増加のために始めた企画が「しあわせ絵手紙展」と「ぶどう畑のアートギャラリー」でした。
 感染症対策により中止していた「ぶどう畑のアートギャラリー」は2022年夏から再開し、1年先まで予定が決まっている状況です。小さいながらも、笛吹市における個人作品の発信施設になっています。

ぶどう畑のアートギャラリー「吉田マイケル作品展」

 7月の作品展は「吉田マイケル作品展」(2023.7.2~7.30)です。
 2003年生まれの若いアーティストさんです。青楓美術館のアートギャラリーでは最年少のアーティストさんではないでしょうか。ふとどこかで見たことのあるかわいらしい作品に興味がわきました。

 吉田マイケル氏は略歴をみると甲府市出身、高校時代に独学で画家を目指し始めています。2021年より本格的に活動を始め現在SNSで注目されているアーティストです。

「吉田マイケル作品展」
《帰る場所》をメインに据えたチラシ

 マイケル氏の作品には子どもたちが登場します。添えられた言葉には哲学的な深さを感じます。

展示の概観

 中央にあるひと際おおきな作品は《無幻》とあります。10月個展を予定されており、先行公開の作品とのこと。

《無幻》

 花の登場する作品、楽しくもあり、一方の作品は内面に迫るようでもあり。

《Flower Soul》
《君と照らす世界》

 陰と陽のバランス感の作品

《闇見明感》

 ふと立ち止まることも。

《羽休め》

 蛙も登場するモチーフですね。《帰る場所》《自由と平等》ちょっと哲学です。

《帰る場所》
《自由と平等》

6人の子供たち。それぞれが「感覚」をつかさどっている。

全員集まった《6人の子供》
《視覚》、《触覚》、《感覚》
《聴覚》、《嗅覚》、《味覚》

  個展をされるとのことで案内チラシがありました。山梨県立美術館県民ギャラリーにて、御伽おとぎの大地の物語展(2023.10.5~10.11)です。

10月山梨県立美術館で個展

ぶどう畑のアートギャラリー「中島敏夫作品展(似顔絵)」

 8月の作品展は「中島敏夫作品展(似顔絵)」(2023.8.2~8.30)です。サブタイトルは「歴史を作った世界の女性リーダー」とのことですべて著名な女性のみを似顔絵の題材として扱っている面白いテーマです。

「中島敏夫作品展(似顔絵)」
チラシは救国の乙女ジャンヌダルク

 中島敏夫氏は笛吹市御坂町の在住で、青楓美術館での展示は2回目になるそうです。
 作品は全部で20点、つまり20人の女性を1枚ずつ描いています。

展示の概観

 主に外国の政治家が多いですが有名な方以外は分かりませんでした。あと、歴史上の人物(ジャンヌダルク、日野富子)は似顔絵といえるか微妙ではありますが、細かいことは気にしません。
 作品は鉛筆で下書きをして水彩で着色しているようです。

アウンサン・スー・チー氏
ジャンヌダルク

 左上より(数字は、このあと掲載している配布資料の作品番号です)
1  メイ元首相(イギリス)
2 メルケル前首相(ドイツ)
3 アウンサン・スー・チー氏(ミャンマー)
4 ヒラリー・クリントン元国務長官(アメリカ)

 下段に行って
9 インディラ・ガンジー元首相(インド)
10 ミシェル・オバマ氏(アメリカ)、オバマ元大統領の妻
11 グリバウスカイテ前大統領(リトアニア)
12 アーダーン前首相(ニュージーランド)

このカットはほぼ政治家たちです

 左上より
5 サッチャー元首相(イギリス)
6 フェルメール作「真珠の首飾りの女」
7 エリザベス女王(イギリス王室)
8 ラーラ・サルマ(モロッコ王妃)

 下段に行って
13 ジャンヌ・ダルク(フランス)
14 カリュライド前大統領(エストニア)
15 ソルベルク前首相(ノルウェー)
16 コリンダ前首相(クロアチア)

政治以外の有名人も

17 ワセド前首相(バングラディシュ)
18 ファキム元大,統領(モーリシアス)

存じていませんでした

19 蔡英文総統(台湾)
20 日野富子、足利義政の妻(大河ドラマ「花の乱」で三田佳子が演じました)

台湾総統と室町へ

 出品リストで人物も分かるようになっています。こうやってみると現役も過去も含め大統領や首相を務めた女性がけっこういるのですね。

20点の作品の配布資料
裏面は、略歴を載せる丁寧さ

 作者中島敏夫氏も似顔絵で登場です。

展示スペースのベンチに片隅に

ぶどう畑のアートギャラリー「2023アート松下塾の仲間たち」

 9月の作品展は「2023アート松下宿の仲間たち~アートの力でつながる~」(2023.9.2~9.30)です。昨年9月に続いてのアートギャラリー登場です。アート松下塾しょうかじゅくは笛吹市石和町にある絵画教室です。障がいのあるなしに関わらずアートの能力を引き出す指導をされているとのこと。
 昨年の様子は下記リンクにて紹介しております。
【笛吹市青楓美術館】ぶどう畑の中の最古の美術館(2)「小池唯則と津田青楓」を見に行く

「2023アート松下宿の仲間たち」

 19点の力作が展示されています。ふと、《カメ》《ひまわり》など色合いがチラシと実際で印象が異なります。実際の作品はずっと鮮やかで力強い色です。

タイトル
展示の概観
別角度から

 海の作品を描かれる方です。今回は大型の作品です。

《海ものがたり》
《カメ》

 ろうけつ染めの見事な富士山。

《富士》

 ふと、薮内正幸(ヤブさん)の野鳥画みたいです。いやすごい。

《鳥(バード)》

 昨年はキングコングでお目にかかった方ですね。怪獣の作家さんです。

《ウルトラ怪獣たち》

 三重に咲いたひまわり。そうそう、ひまわりって虫が集まるんです。フラミンゴはグラデーションがきれい。

《ひまわり》《フラミンゴ》

 鑑賞したあとは、ひとこと感想を残してください。

 塾長からのメッセージ

おわりに

 今回は7月から9月までの「ぶどう畑のアートギャラリー」の紹介になりました。
 エントランスを利用したたいへん小さいスペースですが、月ごとにテーマも年代も異なるアーティストさんの作品発表の場になっています。
 9月に展示替えとなる津田青楓の作品は、次回紹介したいと思います。

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