【八ヶ岳美術館】3館企画展示「縄文いきものがたり」を見に行く
はじめに
長野県原村の八ヶ岳美術館は、林の木々のに中にある白いドームが連なる独特の建物が特徴の美術館です。開館した時期は1980年(昭和55年)と古く、村の規模でそれだけ昔から美術館を運営しているところは珍しいです。
白いドームの建物
駐車場から美術館まで林の中の遊歩道をしばらく歩くと白い建物とその入口が見えてきます。遊歩道の途中に信玄の棒道との分岐があって看板が雑草に埋もれていました。
受付を済ませ(消毒、チェックシート)、抗菌消毒済みのスリッパに履き替えます。
展示室へ入るとすぐに白いドームが連なる特徴ある建築は戦前から戦後に活躍した著名な建築家、村野藤吾(1891~1984)の設計によるものです。建物の内部は窓から光が取り入れられ天井からは白いカーテンが吊られています。
清水多嘉示、津金寉仙
原村出身の書家津金寉仙(1900~1960)の書が並びます。そして、一番目を引くのは、同村出身の画家、彫刻家の清水多嘉示(1897~1981)のブロンズ像と絵画が所狭しと並びます。屋外展示のブロンズ像も氏によるものです。氏が作品を寄贈したことからこの美術館の建設が決まったという経緯もあり、この美術館の中心的な作品展示です。
考古展示
中央自動車道建設で発見され、国指定史跡となった環状集石群、阿久遺跡に関する展示と説明が中心です。阿久遺跡は中部高地の中期に栄えた縄文文化の原型となったムラです。
また、原村の考古資料として18体が長野県宝(県の重要文化財)に指定されているのですが、18体すべてがこの機会に館内に展示されているとのこと。でも、すべての確認はできませんでした。
原村の遺跡の出土品ですが、阿久遺跡に隣接する収蔵庫に保管されています。また、文化財係は「文化財整理室」にいて、2年ほど前に元JA支所の建物を利用した新しい「文化財整理室」に移転しています。
縄文いきものがたり
毎年恒例となっている3館共同企画の企画展示です。
井戸尻考古館、北杜市考古資料館に続いて、3館目として訪問しました。
3館とは
・長野県原村・八ヶ岳美術館
・長野県富士見町・井戸尻考古館
・山梨県北杜市・北杜市考古資料館
今年のテーマは「縄文いきものがたり」(2022.7.7~11.23)として土器などに描かれた、いきものたちにスポットライトをあてます。
八ヶ岳美術館の展示は「縄文人といきものたち」として食料、あるいは道具、また信仰としてと用途別に関わりを解説しています。イノシシ、ヘビ、イヌについてとくに取り上げています。土器の文様のいきものについても原村の出土品を中心に見ていくのですが、展示内容は土器が壁面ケースと独立ケースに12点で、ここが3館のうちで展示ボリュームはいちばん少ないです。
スタンプラリーが完成しました。各館で特典の缶バッチかマグネットがもらえます。図柄はいろいろあります。筆者は、ふうちゃん(八ヶ岳)、ちびーなす(北杜市)のマグネットと蛙文の缶バッジ(井戸尻)をいただきました。
寺坂公雄個展―山麓、風と光の交響―
考古展示の隣と一番奥の企画展示室を使って個展も行われていました。
山梨県北杜市にアトリエを構える洋画家寺坂公雄氏(1933~)の作品です。会期は2022.7.2~9.11
八ヶ岳地域の風景を切り取った絵がすばらしいです。
おわりに
八ヶ岳美術館の展示は柱となる美術と考古をフロアを隔てずに展示している独自な展示でした。清水多嘉示氏の彫刻の量には圧倒されました。
ちなみに「原村歴史民俗資料館」との名称も併記されているのですが、民俗資料に関するものはありませんでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?