隠れた涙(詩)
森の中で声が響く
鳥が鳥を傷つける声
その羽根はまだ幼くて
風に逆らう力も知らない
だけど、その声をあげた鳥も
深く胸に小石を抱えている
誰にも見せぬように隠して
痛みをそっと隠している
海の底で魚たちが泳ぐ
一匹が他の魚を突き放す
その鱗は光を失って
ただ暗い海に沈むだけ
でも、その魚も心に波を抱え
誰にも見せられぬ影を持つ
その波は止まらず揺れ続けて
静かな海の奥で泣いている
いじめるその手は
実は震えているのかもしれない
痛みを知らぬふりして
本当は、自分が一番泣いている