イギリスの学校 登校日初日 その4
うん十年も前のことですが、英語もできないのに、親の転勤に同行して、現地の小学校に転入させられた11歳。登校日の初日、色々ありましたが、ようやく一日が終わろうとしています。
イギリスの小学校では掃除をせず、机の上に椅子を逆さにして乗せて帰ります。帰ろうとするとバーバラと自己紹介した女の子が近づいてきて、話しかけてきました。
何を言っているのかは全く分かりません。でも、何か質問をされているようです。「明日も来る?」みたいなことでしょうか?わからないけど、うなずいてみます。
家に向かって歩き出すとバーバラも一緒に歩き出しました。家が同じ方向なのかもしれません。言葉はわかりませんが、帰り道を一緒に歩いてくれる人がいるのは、うれしいものです。
いつの間にか私の家までやってきました。バーバラはまだ一緒です。
「あれ?遊びに行っていい?っていう質問だったのかな。」ま、いっか。特に予定もないし。
家に入るとバーバラもついてきます。「やっぱり遊びに来たんだ。」母は初日からお友達ができたと喜んでいます。
私は日本に住んでいた頃のように、おもちゃで、一緒に遊び始めました。言葉がわかなくても、遊んでいるときには、なんだかどうにかなるものです。
夕方になってきました。私もそろそろ遊ぶのに飽きてきました。
「そろそろ帰ったら?」といいたくても、言い方がわかりません。そこで、日本の友達のように、目で会話しようと思いました。
一生懸命彼女の目を見て言葉を使わず「もう、帰る時間だよ。そろそろ帰ったら?」と伝えてみます。
全く伝わりません。
もう一度挑戦。でも伝わりません。彼女は不思議そうに見つめ返すだけ。
伝わらないまましばらく遊び続けて、それからバーバラは帰っていきました。
イギリス人って目で話せないんだと思った一件でした。もちろん、その後できたイギリス人の友達とは以心伝心が可能でしたので、あくまでも彼女との間では、ということです。
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