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私とミソフォニア
誰しも嫌いな音があると思う。
特定の人の声に嫌悪感を抱いたり、黒板を爪で引っ掻く音など。
ミソフォニア。日本語訳は音嫌悪症、音恐怖症。
特定の音に対して異常なほどの恐怖感を示したり、攻撃的になる症状だ。
私には発狂しそうになる程嫌いな音がある。
除夜の鐘が響く音。音叉を鳴らす音。葬式で鳴らされるチーンという音。
ぐわんぐわんと体を揺らすように響く音がどうしても嫌いだ。
きっかけは小学生ぐらいの頃だったと思う。
たまたまつけていたテレビ番組に、音叉療法というセラピーが紹介されていた。身体中に点々と音叉を置き、一気に鳴らすというものだ。
音叉が複数あれば共鳴しあってさらにうねる様な音を奏でる。
その音を聞いた瞬間、もがき苦しみ、耐えられなくなった。
聞いてしまってから一週間ほど音叉の響く音が鼓膜から離れず、床についても身体中に揺れる様な響きが駆け巡り、汗が噴き出して眠れなかった。
怖い、というよりは私にとっては攻撃的になる方が強いかもしれない。
生物が危険に晒されて牙を向くような、そんな感覚だ。
真面目な言葉を使っても、発狂しそうになる。
否、何者かに発狂させられそうになる。身体中が掻き乱される。
身体中に響くあの音が、自分の体を丸ごと乗っ取ろうとしている様な感覚に襲われる。音にそのまま飲み込まれて帰って来られなくなりそうになる。
日常的に響く音を聞く事はそう多くない。
けれど聞く機会が訪れれば、大体耳を塞ぐ事が憚られる様な場所なのだ。
お葬式もそうだし、除夜の鐘だって耳を塞いでいたら滑稽だろう。
外出時にイヤホンをする癖がついたのは、その影響もあるかもしれない。
元々HSPという事もあって音には敏感だった。嫌な音を聞きたくなくて音楽に助けてもらった様なものなのだけれど、今になってもそれは変わらない。
最近は秀逸なノイズキャンセリング機能がついたAirpords proが欲しいと思っている。なるべくうまく生きていくためにも、遮断は大切ですね。