「おもてなしの重要なポイント」1度でいいから読んでみて
誰かを招く、または招かれる場合にどのような準備をしたらよいのでしょうか。仕事中の急な来客、上司の特別なお客様が急にお見えになる・・・!そんな時、どうしたらよいかわからないと固まって慌ててしまたことはありませんか?おもてなしのこころは公私ともにあらゆるシーンで重要ですし、1度読んでおくだけで、そういった場面でに出くわした時に役に立ちます。そこで今回は、いざというときに焦らない「おもてなしのポイント」について書いていきます。
まえがき
作法と調べたとき”小笠原流礼法”という言葉が検索結果に出てきたことはありませんか?小笠原流礼法は小笠原家に代々伝えられた、現代唯一のこっているの武家礼法です。その奥義は一子相伝(いちしそうでん)とされ、礼法書「三議一統」、「小笠原礼書七冊」にまとめられています。江戸時代には将軍家のお止め流とされていました。 小笠原流礼法は丁寧な振る舞いや作法、美しい装飾などを重視し、日本の美意識を体現しています。心身の調和と均衡を大切にし、相手への敬意や思いやりを表現します。手の動きや姿勢、目線の使い方など、細部にまでこだわった作法が特徴であり、独自の美しさと緻密さがあります。また、自然や四季の移り変わりに敏感であり、それを作品や空間に取り入れることも特徴的です。私は以前小笠原流礼法を学び奥傳を取得、多くの場面で役立っています。本記事でも私が学んだ礼儀作法の知識も取り入れ、おもてなしについて書きつづってゆきます。
おもてなしとは
おもてなしの語源
おもてなしの語源は動詞の「もてなす」です。意味は「モノを持って成し遂げる」ことです。ここでのモノとは、目に見える物体のモノ・見えない事象のモノの2つを指します。つまりは物や心のこと。そして「モノ」を使い成し遂げることは「物や心を使い、お客様に対応する際の待遇・姿勢を良いものにする」ということです。この語源から、おもてなしの意味には「敬意を持ち接することで相手に満足してもらう」という意味も込められているそう。
また「おもてなし」はもうひとつ語源があります。それは「表なし」。「表なし」というのは心のあり方を示しており、心の表がないということは、すなわち、裏側もないということに繋がります。つまり『心の裏表がない状態』という意味があります。
この2つの語源から、おもてなしとは「対価を求めなず、表裏ない心で、相手に敬意を持ち接する」ということです。
おもてなしの歴史
おもてなしの歴史は深く、平安時代中期に編纂された「源氏物語」にもすでに「もてなし」という言葉が登場します。(『桐壺』より)
奈良時代から平安時代にかけて、宮廷や貴族の間で儀式や宴会が行われ、もてなしの文化が根付いていきました。特に平安時代には、貴族の間で雅な文化が発展し、茶の湯や能楽などがおもてなしの一環として重要な役割を果たしました。
千利休に学ぶおもてなし
おもてなしは、茶道とも深い関わりがあります。
茶道が平安時代から室町時代にかけて発展すると同時に、おもてなしの精神もまた広まったのです。現代に伝わる茶道は、商人階級出身の千利休が安土桃山時代(1573〜1603年)に完成させた「わび茶」が礎になったといわれています。
千利休の「わび茶」は、上流階級の豪華な茶の湯とは異なり、無駄を省いた簡素・閑寂の境地を追求しました。わびさびの精神を重んじ、茶室の造りや茶器の選び方、お点前の作法などに深い意味を込めました。利休が考案した茶室の入り口「にじり口」は、間口が非常に狭く、低い位置にあります。そのため、たとえ身分の高い方であっても、外に刀を置き、頭を下げるようにして入らなければなりません。ここを通るものは武士も商人も身分差がない、お茶を嗜む者は誰もが平等であるという利休の思想からきているものです。利休が弟子たちに残した「利休七則」には「茶は服のよきように点て(お客が飲みやすいように心を込めてお茶を点て)」「降らずとも傘の用意」など、客人をもてなすときの7つの心得が記されている。
「利休七則(りきゅうしちそく)」
茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き、花は野にあるように、 さて、夏は涼しく冬は温かに、刻限は早めに、降らずとも傘の用意、相客に心せよ。
茶は服のように点てる
飲む人にとって、飲みやすい丁度よい加減を、良く考えて、たてなさい。炭は湯の沸くように置く
炭はお湯が沸くように置きなさい。当たり前のことのように聞こえますが、その言葉が意味するのは「要点を押さえて、準備をしなさい」ということです。お茶を点てるときは、炭を使ってお湯を沸かします。おいしいお茶を点てるには湯加減が大切であり、それを左右するのが炭の置き方です。どのように置けば、上手に湯が沸くのか。決められた通りに置くのではなく、要点を理解したうえで置くことが何よりも大切だということを言っています。花は野にあるように
「野にあるように」すなわち、その花が咲いていた状態を感じさせる姿に生けることを意図しています。咲いていた状態を再現することではありません。夏は涼しく冬は温かに
季節の変化に合わせて、お茶室の温度や環境を調整し、快適な空間を作ることを意味します。夏は涼しく冬は暖かく、これは気温のみならず”涼を感じる””暖を感じる”工夫もふくみます。刻限は早めに
間に余裕を持ち、早めに準備を整えることで、お茶を点てる際の心の余裕や落ち着きを保つことが大切です。時間に余裕をもって、焦ることなく行動できるよう、自分のなかの時計の針を早めてその物事の開始をまえもって準備することの大切さを説いています。降らずとも傘の用意
備えを怠らない心掛けをしましょうということです。これは自分の心配を消すということをさしているのではなく、招く側が客に対して行う気遣いをさします。つまり、その時他者に「憂い」を持たせないため、自分が不測の事態を想定しておくことが大切なのです。雨が降ってきちゃったどうしようと不安にさせないよう「お帰りの際、傘をご用意しますね」という一言をそえることで、安心していただけますよね。相客に心せよ
同じ場所に居合わせたら、お互いに気遣い、思いやる心を持つように気を配りなさいということです。
お客様を迎え、特別な作法や場が必要となる茶道。ここでは正しい振る舞いや態度、待遇が求められます。そしてその振る舞いこそがおもてなしのもとになりました。茶道の世界で活躍した「千利休」は、「利休七則(りきゅうしちそく)」というおもてなしの原則をまとめたのです。
そのお客様1人1人に合わせた最高の空間を提供することこそが、おもてなしであると考えた千利休。その精神は引き継がれ、現代のおもてなしの原点となりました。
おもてなしの4つのポイント
落ち着いた心
「利休七則」の5.にも書かれている刻限は早めにですね。
まず落ち着いた心はおもてなしにとって非常に重要です。冷静であれば、不測の事態にも対応できます。また落ち着きは、相手にも安心をあたえます。
笑顔
笑顔はおもてなしにおいて不可欠な要素です。笑顔はポジティブな印象与え、円滑なコミュニケーションを促進します。また自身の心も笑顔にします。余談ですが、落ち込んでいるときに笑わずとも広角をあげることで脳にハッピーと伝達することができるといわれています。
笑顔はその空間を和ませてくれる重要な要素です。
挨拶
挨拶はコミュニケーションのスタートを切るものです。
適切な挨拶が重要です。挨拶が重要と言っても大勢お客様がいる場所で大きな声で、長々と挨拶をするのは、心地が良いものではありません。まずコミュニケーションをスタートさせ、会議室へ誘導するなど適宜判断し、落ち着いた状態で”お越しいただけてうれしい”という気持ちを伝えましょう。
相手の立場になる
全てにおいて言えるのが、招かれた側になって考えてみましょうということです。
帰りたくなりませんか?来ないほうがよかったかなーって気持ちになります。
まとめ
どう迎えられたら心地が良いか、それを想像しうる限りしてみましょう。おもてなしにはそれが不可欠です。「自分がされたら嬉しい」を基準に考えてみるのがよいでしょう。そこから「派手」をそぎ落とします。「派手」すなわち、私は好きだけど、万人受けはしないかも、をやらないのです。
落ち着いた心と笑顔で、気持ちよく挨拶をし、相手の立場にたった行動をすることがおもてなし重要なポイントです。
以前「インタビューは恋のはじまり」という記事を書きました。
おもてなしも「初デート」や「最愛の人がはじめて家にやってくる」ときのモチベーション、シチュエーションに似ていると思います。ドキドキを悟られたくない、平常心を装いたい。うれしい気持ちを笑顔でつたえたい。一緒に過ごす時間を心地いいと思ってもらいたい。おもてなしも、恋のはじまりです。
最後に1つ、千利休の言葉「一座一會ノ心、只コノ火相・湯相ノミナリ」がもととなった「一期一会」。私はこの言葉を自分の中の”大事な言葉”としています。「これから何度もお会いだろうけど、もしかしたら二度とは会えないかもしれないという覚悟で人には接しなさい」という教えです。迎える際、去る際、「一期一会」を思い出してみるのはいかがでしょうか。
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