葉桜を味わいたくて谷中霊園に行った日
満開の桜より、葉桜のほうが好きなのは私だけでしょうか。
白い花びら、桃色の花弁、新緑の葉……満開の桜よりよっぽどたくさんの色が混じるから、桜のいいとこ詰め合わせみたいな、お得感を感じるのかもしれません。「お得」とか言ったら風情もくそもありませんね。すみません。
とある晴れた昼下がり、ひとりふらりと遅めの花見さんぽに行ってきました。今年は旅行してる間に満開のシーズンが過ぎて、いつのまにか終わってしまっていたので、ちゃんと桜見納めしたいなあと。
実は谷中霊園、私には思い出の地です。その名の通りお墓なんですが、祖先が埋まってるとかそういうことではありません。
コロナ禍、初めての緊急事態宣言が出たとき。ちょうど桜の季節でしたね。
私の会社では、「半分休業」の状態となり、週2日勤務となりました。
通常時に週2勤務になったらそりゃ誰しも喜ぶでしょうけど、この時は違いました。
県はおろか、区を跨ぐのも、家から出るのも憚れるムード。私は見ての通り旅も散歩も好きなので、これが封じられるのは結構きつかったものです。
だんだんと「散歩はOK」くらいのムードになってきてから、ご近所で見つけたのがこの「谷中霊園」でした。
ご近所といっても、ここにくるまで歩いて30分ほど、街道の一本道をまっすぐ抜けて、日暮里駅から霊園に入ります。
ひとけのない霊園から桜の花道を辿れば、いつのまにか上野公園につきます。
ぽかぼかとした陽気のなか、霊園からつづく落ち着いた雰囲気の道をまったり歩き、気づいたら大きな公園についている……
あの頃はガラガラの谷中霊園〜上野公園ルートを通り、Uターンして帰ってくるこの散歩道をほんとうに毎日のように、飽きずに歩いていました。生きがいだったのかもしれません。
いつ来ても、お腹いっぱいになるほどの桜で迎えてくれた谷中霊園。
あのころ、「ご近所でおすすめはどこ?」と聞かれたら、迷わず谷中霊園と答えたでしょう。
もう引越してしまいましたが、山手線半周以上遠くなってしまった今でも、わざわざ桜を見るために行きたいと思える、そしてこうやって行っている、そんな圧倒的お花見スポットです。
そんなお花見スポット、見つけたのが緊急事態宣言下であり、今はほぼアフターコロナです。そんなわけあって最初の印象と比べて人が爆増している。
上野公園はそりゃ、連日のニュースで混んでると覚悟してたけど、谷中霊園にもまあまあ人がいたのはびっくりでした。みんな知ってるんだこっち。外国人もすんごいいたな。ほんとうにインバウンドでたくさん旅行しに来てるんだなぁ。
今日の暴風で桜は全部散ってしまっていそうだけど、また多分、来年も行くことでしょう、谷中霊園。ただの思い出さんぽ日記でした。
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