【旅エッセイ4】秋田、寒風山の眺め
感動するような景色を、今までに何度か見たことがある。
この写真も、感動した景色のひとつ。秋田県の男鹿半島、寒風山で撮った一枚。
秋田は母の出身地で、子供の頃から何度か訪れていた。寒風山にも行ったことはある。
昔は、ナマハゲの格好をした人が観光客をもてなしていて、子供だった私はナマハゲを見て怖くて泣いていた。
寒風山で覚えていたのは、それだけ。
大人になってから、改めて寒風山を訪れた。昔は盛況していたお土産屋さんは軒並み潰れてすっかりと寂れてしまっている。
でも、寒風山ではどこにも負けない絶景が見えた。男鹿半島に沿って湾曲する日本海、平野に青々と広がる田園風景、大潟村の「潟(かた)」。
「潟」とは、かつて海だった部分が切り離されて内陸に残ったもので、湖のようなもの。
それらの景色が、寒風山では一望できる。
標高が高いから雲が目線の高さに見えて、雲の落とす影まで見て取れる。こんなにも美しい景色があったのだと、私は感動した。
子供だった私も、同じ景色を見ていたはず。それなのに覚えていなかったのは、それだけナマハゲの恐ろしさが印象深かったのだろうか。
子供の頃に行った場所を改めて訪れるのも、旅行の楽しみのひとつ。あの頃とは違った感覚で見られるから。
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また新しい山に登ります。