【アノーミューテーショネム】のトロコン
2Dサイバーパンクアクションアドベンチャーゲーム
「アノー・ミューテーショネム」をトロコンクリアーしたのでレビューしていく。
◯はじめに
アノーはLightning Gamesという中国のメーカーが作ったゲームで、2Dアクションを基本としながら2D+3D的に構成された街やダンジョンを探索していくスタイルのゲームだ。
近未来風のサイバーパンクな世界観に日本のゲームアニメ文化に強く影響を受けた感じのストーリー(特にエヴァ味がかなり強い)で、独特な2Dグラフィックも相まって非常に個性的で魅力ある雰囲気があり、個人的に記憶に残る1本になった。
◯サイバーな雰囲気とパンクなシナリオ
特に街の作り込みが非常に素晴らしく、探索したり住人と話したり、無意味なオブジェクトにインタラクトするだけでもサイバーパンク感を十分味わえる。
街の数自体は少なく、それぞれこじんまりした広さでではあるもののインディーズゲームとして、この作り込みは異常といえるレベルだ。
また、日本語ローカライズや吹き替えは丁寧に出来ているものの、随所に若干おかしな翻訳があったりして意味不明だったりすることが多少あり、これが逆にサイバーパンク味を増しているという効果を生んだりしている。
シナリオに関しては、冒頭からプレイヤーを惹きこみつつ、置いてけぼりにしていく世界設定と黒幕?達のよく分からない会話劇からはじまり、家族や周りの人を助けるべく行動する主人公の日常が徐々に黒幕たちと絡み合っていくような作りとなっている。
メカウイルスや世界を滅ぼすゲートの存在など独自の世界観の説明はストーリー上ではあまり語られず、街やダンジョン内でアクセス出来る書類や端末などのテキストメッセージを読んで理解を深めていく感じだ。エヴァンゲリオン(特に新劇場版エヴァQ)にかなり影響されているだろう世界設定は非常に魅力的だが、もう少しストーリー上で丁寧な説明が欲しかったところ。
ただし、主人公(アン)自体は当初、世界の事はあまりよく分かっておらず、とにかく行方不明になった家族を助けたいというシンプルな行動原理で動いており、目的も明確なので、感情移入出来る。クリアーした時は、なんだかよく分からない事もいろいろ残っている気がするけどまぁ良かったな!という気持ちと達成感があった。
◯シンプルに楽しいアクションアドベンチャー
ゲーム操作としては6割が探索や謎解きのアドベンチャー部分で、残りの4割は2D横スクロールのメトロイドヴァニア的なアクションゲームとなっている。マップの作り込みが細かいので探索や謎解きで歩き回っているだけでも楽しいし、複数のサブクエストやミニゲームなんかもある。
アクションゲーム部分では爽快感重視のズバスパ系アクションが小気味良く、経験値を溜めて好きなスキルを取得していくスキルパークシステムや、お金や素材を集めて武器を買ったり作ったりする事が出来、シンプルながらなかなか奥深く非常に楽しい。思ったより敵と戦闘するシーンが少ないので勿体無さすら感じる。
個人的に普段2Dゲームというものはほぼプレイしないのだが、アクションゲームとして非常に気持ちよく楽しめた。
◯トロコンについて
基本的にトロフィーはゲーム進行と共にほとんど取得出来る。プラチナトロフィー取得難易度は非常に低いと思える。
ただし、一度クリアーすると雑魚敵と戦えるシーンが非常に少なくなってしまう為、戦闘系のトロフィーは早めに意識して取得していった方が良いだろう。特に「悪魔の仕業」(変身中に20人の敵を倒した)のトロフィーは変身出来るようになり次第、勿体ぶらずにガンガン使ったほうがよい。
自分はクリアー後にこのトロフィーだけが残ってしまい、どうしても取れないので2週目の変身可能になるパートまで進める事になってしまった。
あと、地味にバーテンダーのミニゲームが難しかった。
◯とにかく丁寧な作りが好印象の良ゲー
このゲーム、発売されてから短期間で複数回のアップデートが入っている。バグ修正だけではなく、エンディングや衣装の追加、最高難易度「地獄」の追加、スクショモードの搭載、プレイヤーの意見をフィードバックした戦闘バランスの調整などが行われた。
元々の作り込みも丁寧だし、発売後のサポートも非常に丁寧で素晴らしい。だからこそプレイ体験もとても心地よく楽しめる。周回プレイして世界観の理解を一層高めればもっと魅力を発見出来るのかもしれない。このメーカーの新作や続編が出たら必ずチェックしたいと思えるほどには良作なゲームだった。