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HollowKnight-考察-胞子の森・キノキン
チャーム「スポアシュルーム」装着時だけ閲覧できる碑文
膨大なテキストのある作品だけに見落として全部読んでない人もいるのでは?せっかくなので場所の紹介がてら内容を掘り下げてみようと思います。
碑文①・暗闇の巣
設置場所:暗闇の巣近くの、スポアシュルームのある部屋の右上
ここは歪み、ひっかく者とを隔てる境界。
死んだ彼らの長は、かつて誇り高き地位にあった。
しかし封印された彼らの母は、ありふれた存在だった。
彼らとの間に、我らはいかなる平和も結ばない。
設置場所と境界という文言から暗闇の巣と獣達についての話と推測される。封印された彼らの母は、どう読んでもヘラー以外が思いつかない。一方ここで突然出てきた死んだ彼らの長は誰のことなのか?
母とは別にいる長ということになるからヘラーの夫だろうか?暗闇の巣にはヘラーとは別に長がいた、というのは結構大事な情報です。
2人が婚姻関係にあったとすれば誇り高き地位・ありふれた存在との表現から出身階級に差のある結婚であったことが推測されます。ヘラーも紡ぐ者の一族っぽいので獣達のなかでは異郷ムシとして階級外の外様身分だったとかだと昼ドラ感溢れる話が広がりそうです。
夫の死亡時期不明だから双方公認の不倫だった可能性まであるのでホーネットの情操教育に大変よろしくない凄まじくドロドロした家庭事情……
後半にはいかなる平和も結ばないとあるので敵対関係だったことが窺えますが、捕食対象ではなさそうなのにキノキン族とも敵対してたんですね。
碑文②・汚染
設置場所:胞子の中枢の2部屋目の右端の隠し通路下
哀れなムシたちよ。
精神は閉じられ、思考は囚われ、隔離された。
その口から発せられるのは、思考の影の断片のみ。
特に解釈に苦しむ文
汚染拡大に伴う文言として解釈するならば、汚染によって精神を蝕まれてしまい個を重んじてきたムシたちが個を失うさまを哀れんでいるのだろうか
ハロウネストのあちこちにいる汚染済みのムシたちは死体が動き出してるとあるが黄泉返り損ねてゾンビ化しているイメージなのかも……かゆうま?
碑文③・王国への従属
設置場所:女王の駅から右へ行った突き当りの部屋
我らは注意深くウィルムの意思を受け入れる。
その先見は我らの盾となり、
我らは運命と未来をからみ合わせる。
ハロウネストの支配を受け入れた歴史がある、と読みとってよいだろうか?ムシ=虫とするならば完全にムシの範疇ではないキノキン族ですが、支配するにせよハロウネスト(あるいは王)は王国の一員として認めたようです。
運命の原語表記Fateは、いささか悪い未来を予見させる単語ですし以前の記事でネタにしたとおり王の持つ先見性(洞察力)を利用して自分達を襲うであろう不都合な未来に備えようとしていたのかもしれません。支配されているように見えて利用する気満々という強かさを感じさせますね。
碑文④・キノキン族
設置場所:足を喰らう者がいるとこの一つ下の通路の天井隠し部屋
共有された身体には力が宿る。
統合された精神には力が宿る。
しかし我らの道を歩くムシたちの中にあるのは、独立した個体ゆえの哀しみだけ。
いささか碑文的過ぎて、わかったようでわからない。
これらは「我ら」の道、という表現とスポアシュルーム装備でないと読めないことからキノキン族が記述した文言だろう。デカキノキンの夢見の釘台詞とあわせて解釈するに主語が明らかなので省略してあるのだと考えられる。
デカキノキン・夢見の釘
…われわれはひとつ…
…われわれは強い…
…われわれは破壊する…
というわけで省略された主語を補ってみるとー・・
(我らキノキン族の)共有された身体には力が宿る。
(我らキノキン族の)統合された精神には力が宿る。
しかし我ら(キノキン族の)の道を歩くムシたちの中にあるのは、独立した個体ゆえの哀しみだけ。
彼らは「個」を持たない、種族全体で一つの存在ということに。統合された精神との表現から真社会生物というより一族全体の集合意識があるようです。ハイヴ・マインド概念っぽい(フェストゥムとかELSみたいなやつ)。
我々の世界でも見えている「キノコ」部分は本体じゃなくて、菌糸体こそが本体なので山ひとつが1個体なんだぞーなんて話もありました。種族全体が一つの意思のもとに活動している(ように見える)真社会性生物としては昆虫でもハチ・アリが有名ですね。
ただ、昆虫は全てが真社会性生物ではありません。ハロウネストの国民ムシたちも同様で、どちらかと言えば人間的に個を重んじる印象の文化感。キノキン族が彼らと自分たちを比べての文章といったところでしょうか。
ムシたちからすれば哀れまれるいわれないので大きなお世話ですけど。
そういえばキノキン族そのものについて狩猟者の書・キノキン戦士の項に気になる一文がありました。
奇妙な空気の影響で心と精神と顔まで持つようになった、とあります。奇妙な空気=ラディアンスの汚染拡大だとすれば王国初期~中期くらいまでキノキン族は心と精神と顔を持たないと思われていたということになります。
今のように動き回っていたかは言及されていませんので当時から歩くキノコとかはいたかもしれませんが、少なくとも顔はなかった。
「ダンジョン飯」1巻より©九井諒子 / KADOKAWA
ただ、これは狩猟者さん目線での話なので最近になって顔・発声器官・人格ならぬキノコ格?を持っているように見えてきただけで、かつてから既に会話できないけど意志を持つ存在だった、という解釈も出来ます。
碑文にあった「我らは注意深くウィルムの意思を受け入れる」これは明らかに王国の領土拡大期の話ですから胞子の森エリアに侵攻/支配が及んだとき、下っ端ムシはともかく王とは対話があったはず。でないとウィルムが予見した未来を伝えてもらえないです。
ウィルムとしての力でキノキン族との意思疎通を行っていたのでしょうか?
そして逆に下っ端の国民ムシたちは胞子の森のキノキン族のことを会話できる存在とは思ってなかった可能性があります。ひょっとしたら食料として収穫していたかもしれない。キノキンも末端の破片一つ一つが個体意識を持つわけじゃないので、ちょっと伸びてきたから切って持ってっていいヨ。と
現実にもハキリアリみたいなキノコを育てる虫がいるので不思議ではない。ただ一方でアリタケ(寄生)のようなムシにとっては危険なキノコもいます。
キノコムシなんて存在がいる以上はハロウネストのムシたちにも危険はあったはずですから、かつては危険地帯だったが王様の力で多少安全に収穫できる食糧が増えたー・・・という認識だったかもしれません。
涙の都にいるポギー・ソラックスの台詞やマゴットの記述を見るに肉食は間違いなくされていたハロウネストの食糧事情ですが、付け合わせの野菜(キノコ)が彩りを添える可能性が出てきました。
料理人とかもいたみたいですし、ちょっと面白い想像が広がりますね。