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ヨガと自律神経・ポリヴェーガル理論②

こんにちは!前回は、ポリヴェーガル理論とヨガ哲学の3つのグナについてお話ししました。

ヨガの目的は、自分の中のサットヴァの性質を育てていくこと、つまり社会交流のための神経系、腹側迷走神経を育てていくことであるというお話をしました。

そして、回を重ねていくことで、その成長が大きくなるということにも少し触れました。今回は、なぜ回を重ねていくことで、その成長が大きくなるのかについて簡単にまとめていきます。

耐性の窓

ストレスの許容範囲をあらわす考え方で、「耐性の窓」というものがあります。これはダニエル・シーゲル博士という精神医学の先生が作られた造語です。

耐性の窓とは、ストレスとなるものがあっても、過度に反応せず、自然に落ち着いた状態に戻れるような最適な状態の範囲を示しています。

何かびっくりするようなことが起きても、落ち着く状態に調整できる、心理・身体的能力で、この耐性の窓の大きさは人によって様々です。

そして、この耐性の窓が示す、ストレスに対して自己調整が働き、落ち着いた状態に戻れるというのは自律神経の副交感神経の一つ、「腹側迷走神経」の機能に支えられています。


交感神経が優位になりやすい状態で、ストレスが加わり「過覚醒」となると、怒りやすくなったり、不安・落ち着きのなさ、攻撃的になったり、圧倒されたり、耐えきれずに泣いてしまいます。
耐性の窓から外れた場合は、落ち着かせるために積極的な方法を取らざる終えなくなります。

また、背側迷走神経が優位になりやすい状態で、ストレスが加わると「低覚醒」となります。この状態になると、疲労感が大きかったり、切り離された感覚や、無力感、無感覚、憂鬱、もしくは従順になります。

過覚醒も低覚醒も、どちらも私たちの身体が生き延びるための生理学的反応で、その後、耐性の窓に戻そうと、何か行動を起こそうとしたりします。

多少の負荷が日常生活にあっても、神経系が耐性の窓の領域にいれれば、それを大きなストレスと感じることなく柔軟に対処していけますが、耐性の窓の範囲が狭いと、極端な過覚醒・低覚醒になりやすくなります。過覚醒だと過度に警戒する状態となり落ち着きません。低覚醒だと、凍りつき反応が起き、他者と関わろうとすることが難しく、どちらにしても生きづらさを感じます。

腹側迷走神経優位で、耐性の窓の中にいると、他者と繋がろうとしながら、明瞭かつ論理的に思考する能力を持ち、グラウンディングできている感覚があり、穏やかで意識がはっきりしている状態でいられます。


私たちの自律神経はどの状態にも良い・悪いはなく、全ては私たちの経験から学習し、私たちを守ってくれるために反応してくれています。そんな、私には身に覚えがない!と思っても、あなたが昔経験した時に感じた感情や身体感覚を身体は記憶し、同じことが起きていなくても、脳は「以前と同じことがやってきた!」とストレスに対して反応して、同じ感情をもう感じたくないぞ!と自分を守るために防衛します。それが、交感神経や背側迷走神経に大きく振れていくのです。

耐性の窓が狭いとあらゆることを\ストレス/と感じて、防衛し出し、生きづらくなってしまいます。楽しいと感じることも少なくなっていきます。人と健全に穏やかに関わることも困難となります。

なので、柔軟な自律神経の調整が自分の中で出来るようにするため、幸福をたくさん感じる人生のため、夢に向かって進んでいくため・行動を続けていくためには、耐性の窓を広げることが大切になっていきます。

耐性の窓を広げるには?

耐性の窓を広げる要素は様々あります。
ここには4つあげさせていただきます。

●安心・安全を感じることで、自分の耐性の窓の中にとどまり、その回路を深めていくこと。

→→腹側迷走神経が優位になる体験を通して、そこにとどまっていきます。人は恐怖や脅威に感じることは、わずか40ミリ秒というすごいスピードで脳に伝わり反応するのですが、安全や安心を感じるスピードはこれよりももっとゆっくりなのです。。世代にまたがり受け継がれたストレス、自分の人生で感じたストレスの蓄積が多いと、その分、脅威や恐怖に過敏に反応し、沢山の心地よく無い情報が脳に伝達されます。私たちの感覚が、恐怖や脅威を察知するのは私たちの身を守る為に大切なことですが、それがもう今の私たちにとっては恐ろしいものでは無いことも沢山あるのです。恐怖よりも「安心・安全」をより多くキャッチできる力を育めるように、「つながり」を感じる中で、安心・安全を感じていくことは、耐性の窓に自身をとどめていきます。とどめると書くと、そこに固定するかのようですが、私の感覚としては、程よく力が抜け、バランスが取れている状態にただ「在る」という感じです。

それは、ほんとに些細な人とのやり取りや、自分の命の繋がりから育んでいくことが可能です。

また、チャクラの観点から言うと、第1・第2チャクラがそこに大きく関わっています。もちろん他の全チャクラも関わっていますが、1・2チャクラの役割はとても大きいです。ここはまた別の記事に書きます!ここのチャクラが静かに癒されていくようにも「命の繋がりを感じるヨガ」では導いていきます。

●内受容感覚を育む

→→内受容感覚とは、自分の内的状態に気付くプロセスです。安全か、安全ではないか、お腹が空いてるか、風邪気味かなぁ?と感じることも内受容感覚にあたります。もっと深いものだと、自分は何者なのかを語ってくれることもあります。
これは、自分自身が耐性の窓の外にいる時にはそのことに気付き、自己調整を育んでくれます。自分の感情の渦にハマることなく、自分を観照することができてきます。

命の繋がりを感じるヨガの際は、特に、私はポーズの完成度や誘導に従ってもらうことよりも、その時その時、“どんなふうに感じるか”ということに意識を向けていただきたくクラスを行なっています。

日常よりも丁寧に丁寧に自分の身体の感覚に耳を澄ましていきます。
はじめのころは、その声は小さく聞こえるかもしれませんが、身体に耳を澄ませる回数を増やしていけばいくほど、より明確に鮮明に聞こえるようになってくると思います。

●耐性の窓の辺縁を感じる

→→安心安全の中で、少し自分に負荷をかけていくことで、耐性の窓の辺縁ギリギリをキープして少しずつ窓を広げていきます。これはヨガのアーサナをキープすることや呼吸法からも可能なのです。
でもまずは、耐性の窓にしっかりとどまれることが大切なので、心地よさをたくさん感じていける、という状況の時、少しずつ辺縁を伸ばせるようにしていきます。

●感性を育てる

→→これは私の持論なのです。
私たちは、社会でも学校でも家庭内でも、沢山の〈外側の環境〉を感じながら、反応して行動していると思います。外側を感じることに意識を向けすぎることで、自分を放棄し、周りを優先したり、こうしなければ私はケアされない存在であると感じたり、本来の望むストーリーではない思い込みや習性が身につき、自分だけの好みや感性が薄れていってしまいます。

でもあなたの内側に生まれたものに何一つ間違いはなく、外側ではなく、自分を優先する時間を持つことで感性を育み、自分の想像を超えた新しい物語りを体験していきます。

私のヨガでは、今までの学校の教科書で習った知識から正しさを判断するのではなく、自分はどう感じるのか?ということを繊細に見つめることで、自分が色々なことを感じられる、ご自身の感性の豊かさを内側で感じていただけると思います。心の庭を育てるような、子供の感覚に戻るような、自分の中のきらめきを感じてもらうことが、自分自身という存在そのものの見方が変わっていくと思っています。

1+1=2ですが、
この感性という魔法がイキイキとしていることで、
知識・学習として存在しているものが、何倍にも増していくと思います。

感性の扉がまったく閉じている状態だと、
1+1=0になってしまう可能性だってあるかもしれません。

でも扉が大きく開き出したら、
1+1が4にも8にも16にもなるかもしれないのです。

ちょっと意味不明ですかね?(*´-`)

簡単に言えばパフォーマンスが上がる、潜在意識に働きかけるということです。

その為に、植物のアロマによる香りで脳への刺激を与えたり、ハーブカイロの温もりを感じていただいたり、ハーブティーで味覚と嗅覚を一気に刺激したり、、ヨガ以外にも私たちの自己調整が育まれるようにしています。

このように、腹側迷走神経を育て、耐性の窓を広げるには、温かな繋がりの中で、少しずつ進んでいきます。安心・安全を感じる、自分の内側を感じていく、辺縁を伸ばしていく、感性を育む、、これらはとても繊細な私たちの身体の中で起きていくには焦らず、少しずつ進めていくことがいちばんの近道だと自分を癒す過程でも経験しています。

なので、1回でこれだけの事を身体に完了させるのは難しく、回を重ねていく事で、新しい地図を身体が作り、進めていくことが出来るのです。回数を重ねて、自分自身に愛を伝えていく過程でもあります。

一回に大量に与えるよりも、少しずつ回数を多くした方が有効なのです。これを重ね効果と言います。


今の自分を乗り越えたい時、新しい事を始めたい時も、自律神経に働きかけておくことは、何よりも強い味方を自分の中に手に入れるような感覚です♡


また書きます。

続く

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