30歳で死にたかった
高校時代
高校時代はまだ青春で
校内を歩きながら制服を着て
授業に通い、毎日同じような日常だった。
そんな青春時代に私は思った
30歳までに死ねばいい。ちょうどいいとね。
特に当時は死にたい気持ちもなく
鬱でもなくただただ勝手な欲望
から来たものだった。
汚れない美しいままでいられる欲望。
30歳だと人生ある程度達成していて
世間からは大人として見られていて
女性として一番綺麗でそれ以上な
幸せな時期なんてない
そう思っていた。
私は何気にその当時に
「美しく死にたい。幸せな死をしたい。後悔したくない。」
そう考えていた。シワも嫌で、
記憶なくすのも嫌で、とにかく
年を取ることが恐怖でしかなかった。
30歳だと人生をやりきっていて、
強いまま死ねると思った。
心も体も誰からも自分からも
壊されずに死ねると思った。
30歳までだと自分に人生の期限
というものをつけたら
それが原動力になり人生を
もっと楽しめると思った
なんて子供だったんだろう。
なんて世間知らずだったんだろう。
恐怖と欲望しか見えてなかった
17歳の少女だった。
10年後
その青春時代から10年がすぎ
その約束の30歳が近くなった今。
ふっと思った。
死にたくない。
そんな30歳を身近にして気づいたんだ。
何一つやりきれてない。達成していない。
夢なんてまだまだ終わっていない。
そして私が思っていた美しい
大人になんて全然なってない。
子供のままで10年がすぎ
歳なんてただの数字だった。
成長した部分もあれば子供
のままのところも。
未完成な人間で未来は大きくて、
明るくて高校時代から思っていた
よりもずっと可能性溢れてた。
だから今はやっぱり死にたくない。
美しくいたいには変わりなくて
腐る果物としてじゃなくて歳を重ねる
品格の高いワインとして捉えればいい。
いずれ人間は死ぬんだから
何歳になっても子供のままでいたい
そして人生というのは恐怖
なんかじゃなくて貴重な経験、
歳をとるなんて恐怖じゃなくて
貴重なプレゼントだ。
与えられたプレゼントは
今あるうちに大切にする。
そう決めた。
期限を作る必要もなく、
怖がる必要もない。
早く死ぬ必要もない。
私もあなたも皆死ぬべき時に死ぬんだから。
美しく死んだってそんなの
全然美しくなくて与えられた命
への裏切りにしか過ぎない。
だから当時の17歳の少女に言いたい。
美しい死なんてないんだから自然に生きて、
汚れて転んでそこからまた乗り越えて
感謝を覚え、思いやりを覚え
人生の良し悪しも含めて
楽しいって知るようになるから
美しい死に方なんてないって知るから
生きれるだけ全力で生きようね
私もあなたも皆。息が自然と絶える日まで。
27歳の大人でも子供でもなく
山も谷も歩んだ人間だけど
それもあって10年という時間の早さ
に気づき命というもの
をもっと大切にしたいと思った。
歳なんてただの数字で
いつ死ぬかなんてわからないから
自分で決めずに今を大切にしていこう。
ワインみたいに美味しく美しく時に連れ
品格も知識も人間力を上げていこう。
どのみちいつか死ぬ運命だから。