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無ときどき読書
ここ数年、年に1冊か2冊しか本を読んでいない。
無職なので時間はあるが、金がないため話題の新刊をノーモーションで買うことは難しく、健康も遠いため図書館で借りた本を返却期限までに読めない上に延滞し続ける最悪の利用者だ。
電子書籍はデバイスがインターネットに繋がっている誘惑に勝てず読み続けられないので、もっぱら漫画用になっている。人と定期的に会うことがないので、あれ読んだ?という話題についていきたいという動機もなくなった。
まとまって本を読んだのは、シェルターに入ったときと入院したときという外界との隔離があったときだけだが、この話はまあいいや。
ちょっとは達成感が欲しくて図書館から延滞しまくっていた本を最後まで捲って、返してきた。
周司あきら・高井ゆと里『トランスジェンダー入門』集英社新書
去年半分くらい読んだまま数ヶ月放置してたので、内容を細かくは覚えていない。
日本のトランスジェンダーに関する法律や医療などの制度、性別移行の具体的なプロセスがまとまっていて、インターネットに散らばる言説の正誤が分からず混乱している人が「入門」するには良いと思う。
本書は2023年7月に出たので、それ以降に日本であった大きいニュースは、
・手術要件の違憲判決
https://www.bbc.com/japanese/67224466
・同性婚訴訟の違憲判決
とか。他にもあるかも。
入門書としては価値があるが、トランスジェンダーは一枚岩ではなく、多様な実態があるという姿勢を取りつつ、善良な存在であり社会の混乱を願っていないという主張も読み取れて、別に……善良でなくても社会の混乱を願っていても良くない?という気持ちにもなった。
あとノンバイナリーに関しては単純に日本におけるデータが少ないので外国の調査結果とか事例を持ってきているのは仕方ないとはいえ、記述で捉えている範囲が漠然としていておまけ感がある。
私自身が卑屈な当事者だからそう思ってしまうのか分からないが、理想を強く主張しすぎていないか?と不安になるところがあった。(日本)社会がこうあるべき、こうなっていくべき、という記述がところどころあったが、自分は賛同しないな、と思うところが多かった。前段で善良でなくても良くない?と言いつつ、厚かましい少数者として多数派の支持が得られないことに怯えてもいるし、怯えていると示すことで、私は無力で無害ですよ権力の傘に入れてくださいとこびへつらってもいる。一枚岩ではないから。
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