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いつか、たったそれだけの理由で、誰かに何かを与えられる人になろう

こんばんは、あずき(夫)です。

とある場所で出会った、素敵な方のお話をしようと思います。いつか、あんなふうになれたらな、ときなこと話をします。

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彼女は、おそらく友人と呼ぶべき存在なのだと思うけれど、20歳以上歳が離れているし、友人と呼ぶには尊敬の念がだいぶ強い。恩師というわけではないけれど、僕と妻の人生を豊かにしてくれたとても印象的な方のひとりだ。

彼女は、あるワインセミナーでたまたま正面に座っていた。

品の良さそうな方だなと思っていると、むこうから話しかけてくれた。

「あなたたちもはじめて?」
「ええ、そうです」
「ワインはよく飲まれるの?」
「ええ、詳しくはないですが、好きで、いまちょっとずつ勉強してます」
「どちらのワインを?」
「うーん・・・ナパとか好きですね」
「あら、嬉しいわ。私もナパは大好きよ」

出会いといえば、こんな感じであった。

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彼女はとてもチャーミングで、誰でも惹きつける力がある。

人によってチャーミングさの根源みたいなのは異なると思うけれど、彼女の場合は「好奇心旺盛で、新しいことが大好きなこと」がその原動力だと思う。彼女からは常に「人生って楽しくってハッピーなのよ。だって、まだまだ知らないことがたくさんあるじゃない!」みたいなエネルギーが伝わってくる。

いわく、田舎から好奇心だけ抱えて飛び出し、「世界ってこんなに広いんだ」ということを身をもって体験した人生だったそうだ。だから僕らの話も興味を持って聴いてくれるし、フラットに接してくれる。僕らも彼女の話を聞くのはとても楽しいし、聞くたびに「こういう大人になりたいな」とつくづく思う。

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ワインセミナーが終わると、彼女が「ナパが好きなら、いいワインバーがあるのよ。一緒に行かない?」と誘ってくれた。

ワインはどれも素敵で、彼女の話もとても面白かった。ワインでいい気分になった僕らは3時間ほど喋りまくった。仕事のこと、ライフスタイルのこと、彼女の旦那様のこと、これまでの人生のこと。

そして僕たちは初対面の彼女にごちそうになることになる。

率直なところ、ワインも今までで一番美味しかったし、一番贅沢な飲み方をした。その上話も興味深いことばかりで、彼女の行きつけのその店も素敵で、顔なじみの店員も親切にワインの話をしてくれた。いいワインは、飲むだけでなく「過ごす」ものなのだと知った。同時に、「愛される大人」を目の当たりにした。

あまりによくしてもらったので、驚きながらも「なぜ初対面なのにこんなによくしてくれるんですか」と聞いてみた。

すると、彼女の答えはこうだった。

「今まで色んな人に会ってきたけど、オープンマインドな人ってすぐわかるのよ。だからよ」

僕と妻は帰り道、「いつか、それだけの理由で年下の誰かによくしてあげられる人になりたいね」と話していた。なぜなら僕らは、ワインセミナーが終わって、ワインバーに向かうタクシーに乗るまでお互いの名前すら知らなかったのだ。

そして、言うまでもなく、それだけのものを持っていないと、与えることはできない、と思ったものだった。

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彼女は今、アメリカに住んでいる。時折LINEで連絡を取る。僕たちの子供が生まれたこともとても喜んでくれたし、コロナで封鎖されたことや、Black Lives Matterで混乱した街の様子を教えてくれたりした。

いつか、彼女と一緒にナパのワイナリーを巡ろう、と思っているのだけれど、もう少し先になりそうだ。

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