2次元系公式キャラグッズの絵を描いていたマンがプリキュアの炎上した公式グッズについて思うことを書く

※生成AIかどうかは大変不毛なので議題にしません

今回のグッズは無関係だけど、2次元系公式キャラグッズの絵を描いていたマンなので購買層よりは出来上がるまでが具体的に想像できる
公式キャラグッズができるまでを(自分が知ってる範囲で)ひとまず書きます
なんだか根が深そう!!!

公式キャラグッズができるまでをふんわり箇条書き

  1. 企画が立ち上がる

  2. IP(著作権)を持っているところにビジネス的に話が行く

  3. IP保有元から同意を得て、グッズ制作会社がイラストを外注するor制作会社内部で制作する

  4. 発注されたイラストをグッズ制作会社が一次監修する(ないところもある)

  5. IP保有元の版元監修が行われる

  6. 版元監修で修正指示があれば修正して再度提出

  7. 修正指示がなくなるまで繰り返し

  8. 版元監修が完全に通って印刷など工場での作製が行われ、グッズになる

これを前提にいろんな立場から見たときの主観が以下なのですが
(組織的なビジネスなので沢山の人が関わっているのは当たり前ですね)

絵描き・グラフィッカーとしての目線だと「版元監修で修正指示が来そうなところがちらほらある。版元監修マンの基準ゆるくね」って感想

ビジネスする側の目線だと「20周年記念の一環としてのビジネス施策なのに原作アニメの絵柄じゃない&イラストレーターの名義が非公開なのでイラストレーターの知名度との相乗効果を狙った施策でもない…妙だな…」って感想

原作アニメ視聴元女児側の目線だと「原作とデザインが違う、キャラクター間の身長差が原作と違う…」って感想

で、以下からこの感想になった理由をもっと詳しく説明します。

絵描き・グラフィッカーとしての目線

「版元監修で修正指示が来そうなところがちらほらある。
 版元監修マンの基準ゆるくね」

よそが持ってる版権を許可をもらって使用する場合、基本的には絶対に版元監修が入ります。
コラボもグッズもメディアミックスするときもです。
ただ、版元監修の影響力は都度変わってくるので厳しい版元ゆるい版元がいたりします。
今回の件ではおそらく版元監修が激甘ユルユルです。

ふたりはプリキュア Max Heartはアニメ作品でアニメが原作なので厳密な設定資料が確実にあると思っていいです。
確実にあると思っていい理由がわからない人はテレビアニメをどうやって作っているのかググってください。

厳密な設定資料の内情ですが、

  • 各キャラクターの三面図

  • アニメに登場する各キャラクターを並べた身長差がわかる資料(1話毎に更新されがち)

  • 各キャラクターがする表情変化の例の資料

今回のグッズで描かれたキャラは全員ストーリーに密接に関わるメインキャラクターですので上記の3つは確実に存在していることでしょう。

公式キャラグッズの作画を受注した絵描きの元にも上記のような設定画が配布されることが多いのですが、版元によっては配布されないこともあります。
配布されなかったら自分で原作を鑑賞してデザイン資料を集める作業が発生することもあります。

今回はどっちのパターンかわかりませんが、このグッズの版元監修マンはあんまり原作設定を基準にしてない雰囲気はありますね。

ビジネスする側としての目線

「20周年記念の一環としてのビジネス施策なのに原作アニメの絵柄じゃない&イラストレーターの名義が非公開なのでイラストレーターの知名度との相乗効果を狙った施策でもない…妙だな…」

20周年記念の一環としてのビジネス施策なので当時のメインターゲット層に刺さる方がビジネス的にお得なわけです。

そのメインターゲット層はおそらくリアタイ勢になるでしょう。
ふたりはプリキュア Max Heartは2005年に放送開始(同キャラが出てくる無印初代は2004年)なので、時が流れてメインターゲットの大多数は成人済み、自分で稼いだ所得があると予想できます。

ビジネス的に初代プリキュアグッズを作るのは間違ってないわけですが、公式は原作アニメテイストで作画発注しなかったのです。

原作アニメテイストに寄せない作画をするメリットがないわけではないですが、そのパターンだと描き下ろしイラストレーターの知名度との相乗効果を狙うという方針のもとにテイストを変えることが多いので、イラストレーターの名義が非公開の今回は当てはまらないです。

当時見ていたが非オタの方にも購入してもらいたいという方針なら今回の作画は合わないのでは…という感想になります。
美少女コンテンツの作画寄りなんですよね…。
完全に主観なんですが、作画のテイスト変えるならもっと大きく変えてほしい。テイスト変えて変化球という方針にしても中途半端なのでメリットが薄いように思えます。

若い非オタにこの作画は刺さるのか…?私オタクなのでワカラナイ…。

原作アニメ視聴元女児側の目線

「原作とデザインが違う、キャラクター間の身長差が原作と違う…」

原作とデザイン違う問題全部は解説しないんですけども、
Xの引用などで多めに見えたのが「キュアブラックのベルトの構造が原作と違う」ってことですかね。

自分も公式とグッズを改めて見比べて「あ、違うな」と思ったので。

具体的に説明しますと原作のキュアブラックのベルトの構造はピンクの帯にハートの金具が挟み込んである状態の作画なんですよ。

今回のグッズの方は原作とは違って金縁の濃いピンクハートの飾りが帯の上に載っている作画なんです。

あとポルン(緑のマスコット)の口の形。
原作は猫の口(ω)デザイン。
ωのほうがかわいかろう

あとは3人の身長差。
原作だとルミナスが一番身長が小さい。(ツインテールのせいで差は少なく見えますが)
グッズの方ではルミナスは座ってるのでバランス取れてますけども、立ち上がったら遠近感排除してもブラックと同じくらいではないでしょうか。

身長もデザインなので設定画から逸脱すると他のIPでは版元監修で修正指示がバンバン来ます。実際来て修正作業で死ぬかと思った。

「版元監修マンの基準ゆるくね」にもつながるんですが、周年記念グッズ買う層向けの商品って懐かしい当時のモノであった方がファンとしては嬉しいと思うんですよね。

原作アニメテイストでないのはいいんですけども、それって原作デザインを踏襲したうえでやることだと思うので。

原作デザインを蔑ろにしたものを公式からお出しされると「公式やる気がないのかも」と思ってファンとしては士気が下がります。
しかも周年グッズで。

豚骨ラーメンを頼んだら豚骨ラーメンが出てきてほしいのです。
プリキュアのグッズなんだから原作のプリキュアが出てくると思うじゃん

最後に

購買層へ

刺さらないなら購入する必要はないし、刺さったなら購入するといい。
他人に流されてはいけない。自分の所得で買うものなので自分で判断してください。
公式はボランティアではなく、ビジネス目的でやってるので、正直な結果(絶対に変わらない売上という数字)で殴ったほうがお互いのためです。

版元へ

売れようが売れまいがメインターゲット層が欲しくないならビジネス設計ミスなので、ちゃんと売上の数字と購買層のデータ見て分析して振り返りまでしっかりしてくださいね。
コンテンツビジネスの基本ですよ。

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