ジェネレーションギャップと「人生はセルフ」
韓国ドラマ「九尾の狐と危険な同居」の中で、主人公の女の子の実家の家訓が「人生はセルフ」だった。
このドラマに出てくるチャン・ギヨン様が素敵すぎて繰り返し2回観た。このドラマを勧めてくれた友達にそう言うと、彼女は「私なんて6回観たよ」!笑
55歳という年齢になると、自分の上の世代とも下の世代ともジェネレーションギャップを感じる事が多い。これは話し合って分かり合う様なものではなく、どっちが正しいもなく、ただそこにはギャップがあるという事だけだ。
具体的に言い出すとキリがないので、いちいち例は挙げない。でも、中間よりちょっと上にいる私は両方の気持ちが分からないでもなく、でも自分はそうは思えないという事が多々ある。かと言って、同じ世代の人とバッチリ分かり合えるかというとそうとも限らず、要するに私と全く同じ考えの人などこの世には一人もいないという事なのだった。人生はセルフ。
夫や子供、親兄弟といった自分に近い関係にある家族でも、同じ出来事に対する考え方や感情はそれぞれ全く別だとしても不思議ではない。この事が納得できる以前は、夫に対して、なんでそういう考え方をするんだろうとか、私の気持ちを全然分かってくれないとか思った事もあった。というか、ずっとそう思っていた。
そして、私の気持ちを分かってもらおうとか、意見をすり合わせるために話し合おうとして失敗し、余計に拗らせて疲弊したりした。
今思うと、いい歳をして幼稚だった。
「人生はセルフ」なので、人がどう思うかは自由で、そこに擦り合わせは必要ない。
私がどう思うかは私の自由であると同時に、他の人がどう思うかもその人の自由。一番近い関係の夫だとしても。
今までは、全くの他人であれば気にならないけど、自分に近い人が自分と違う意見だと気になっていた。
でも、「人生はセルフ」なので、どんなに自分と近い人とも別の人格だという事を念頭においておけば良い。
ほとんど共通点が無いのが前提なら、ちょっとでも共通点があれば、「そうだよね!」と喜べる。
近い関係の人とは価値観を共有したいという勝手な思い込みの他に、もう一つ思い込みがあった。
年上の人が偉いわけでも何でもないということに、この年になってようやく気づいた。
認知症の義母や、理解力判断力が段々衰えている実家の父、定年してかなりズレてきている夫、彼らのスペックが世の中的に相当落ちているにも関わらず、心のどこかで彼ら先輩のいう事が正しいと思っていた。昔はそうだった事もあるし、途中で定説が覆ったりもしているので、仕方がないとも言えるが、彼らの知識が全然アップデートされてないのに何故か年上人の言う事を聞かなくてはいけない気がしていた。それは、年功序列社会で生きてきた50代の私たちにかかっている呪いの様な気がしないでもない。
最近、病院にかかる事があって、地域で割と評判が良い医院にかかった。でも、なんか全てが旧式な感じで、通院し終わってから、若い先生に見て貰えば良かったかもと思った。地域で評判が良かったのも息子が中学生の頃だったので、よく考えれば15年程前の事だった。今通っている接骨院の先生にそっと聞いてみたら、「先生もだいぶ年取られましたよね、今は〇〇医院がいいと思います。」と教えてもらった。私自身がひと昔以上の知識で固まっていた証拠だ。
年寄り先生を軽んじるわけではないが、医療も長年の蓄積で最新の情報が最良であるならば、なるべく若い先生にかかった方が良さそうだ。経験を積んだ年配の先生もいいけど、その経験と新しい知識とどっちがいいのか微妙ではある。人による。
55歳という自分の年齢を考えると、これからお世話になるなら、少なくとも自分より若い先生にしよう。
自分の中でどこか、先輩は偉くて後輩は可愛いけど頼りないという思い込みがあった。
例えば、高校生の部活だったら、三年生の先輩が強いし偉い、新入生の一年生はまだまだヒヨッ子という図式もそんなに間違ってもないと思う。
でも、長い目で見ると、その代の三年生よりも、ヒヨッコだった新入部員が三年生になった時、最強かも知れない。
三年生は自分が三年生の時に威張り散らさないで、一年生の伸び代に敬意を払わないといけないなと思った。そんな事出来る高校生三年生なかなかいないと思うけど。
実際に、赤ちゃんだった自分の子供達が30代に突入し、頼りになる存在だった親の代がヨレヨレになってきているのをみると、中間世代の私は、これからは若い人の方が頼りになるなと狡く考えてしまう。ヨレヨレなのに威張っている先輩よりも、頼もしい後輩に擦り寄っていきたくなる。
でも、若い世代の人には言いたい。
私達がやけに若い人を頼りにして、もたれかかってきても、適当にあしらっていいからね。
気が向く範囲でつきあってくれればいいよ。
私達の死屍を乗り越えていってね。
そこは「人生はセルフ」なので、それぞれが頑張りましょうという事でよい。
今は、威張る三年生と伸び代だらけの一年生に挟まれた頼りない二年生みたいな中年世代の私達だが、上にも下にも媚びる事なく、セルフで頑張ろう。
下の世代が、あの人たち結構逞しく楽しくやってるね!と思ってくれるといいなと思う。