決戦は17時【#狂おしいほど君が好き】
大切な人に対してちゃんと「好き」と伝えられる人って、一体どれくらいいるんだろう?これが小さい子供に対してならまだしも。付き合いたてのカップルでもない限り、多くの大人は容易に相手に対して「好き」とは言わない気がします。少なくとも私はそうでした。
確かに付き合いたての頃はそれなりに相手に対する好意を言葉にして伝えていたような気もしますが、今ではそれも遠い昔。長い付き合いを経て結婚した今となっては、相手に「好き」と言う機会など皆無に等しく。時たま冗談混じりに「惚れるわ〜(笑)」と言う程度。そもそも。付き合いが長い相手に対して、今さら面と向かって「好き」と言えるほどの度胸が私にはないのです。
なのですが。
私のパートナーは全く逆のタイプで。付き合い出した頃はほとんど「好き」とは言ってくれなかったのに、付き合いが長くなってくるにつれて少しずつ変化が。徐々に彼の方から「好き」と言ってくれる頻度が増え、結婚した今となっては毎日、何かの拍子にさらりと告白してくるようになりました。流れが自然すぎて「彼って外国人だっけ?」と疑ってしまうレベル。本当に、息するように「好き」と言える彼がある意味羨ましい…。
さて、そんな私ですが。先日、なんだか楽しそうな企画に出逢いました。
ルールは簡単。普段あまり好きと伝えていない人に「好き」と伝えて、返ってきた反応を元に自由に記事を書くというこちらの企画。
「これは良い機会かもしれない。」
直感的にそう思いました。普段は素直に「好き」と伝えられないけど、「これは企画だ」と思えば案外サラリとクリアできるかもしれない。ということで、さっそくチャレンジ!
しようとしたのですが…。前述した通り、彼に面と向かって「好き」と伝えられるほどの度胸が私にはありませんでした。「これは企画だ」と思っていても、面と向かうと気恥ずかしさが勝って言葉にならない。結局、チャレンジ初日は「好き」の一言を言えぬまま終了してしまいました。
そうして迎えた二日目は、前日の反省を踏まえ作戦を変更。面と向かってではなく、電話越しに「好き」と伝えることにしました。彼が仕事終わりに電話をくれたタイミングで作戦を決行しようと考えたのです。決戦は平日、17時過ぎ。
夕方、時計を気にしつつ待つことしばし。いつものように、仕事終わりの彼から電話がかかってきました。
彼「もしもし。お疲れ。いま電話大丈夫?」
私『お疲れ様。うん、大丈夫だよ。』
そんな、いつも通りの会話を交わす私たち。こっちとしてはいつ作戦を決行しようか心臓バクバクなわけですが、彼はそんなこと知る由もなく。淡々と必要事項の連絡を済ませ、「じゃあ」と電話を切るタイミングに差し掛かったその時。私は意を決しました。
『ねぇ。ありがとう、好きだよ、じゃあね。』
それだけ一気に捲し立てると、そのまま通話を切り。ついでにスマホの電源も切り。ひとまず言い逃げ作戦成功。本当はあのまま通話を続けて彼の反応を見たかったけど、恥ずかし過ぎて私が保たない。ということで、私にできるギリギリのラインを攻めてみました。あとは帰ってきた彼に感想を聞けば任務完了、と思っていた矢先。彼が帰ってきました。いつもとは比べ物にならないくらい尋常じゃない速さで。
「ねぇ、ちょっと!何かあった!?家出てかないよね!?」
帰った途端、必死の形相で問いただす彼。どうやら私は先の作戦で大きなミスを犯したようです。私は「好きだよ」にフォーカスしてあのセリフを吐いたのですが、彼は「じゃあね」にフォーカスしてしまったようで…。
「え、普段好きなんて言わないのに急に何!?じゃあねって、もしかして家出てくつもり!?」
と勘違いさせてしまったようです。おまけにスマホの電源切ってるから連絡もつかないし。彼からすれば、先の私の言動は不安要素の塊でしかなかったみたいですね。今こうやって書いてても、なかなかに誤解を招く行動だったなと私自身反省しています。
取り急ぎ事の真相を話すと、半ば呆れ顔で納得はしてくれたものの「頼むから電源は切らないで。本当に怖いから。」と釘を刺されてしまいました。本当に申し訳ない。
でも、私は今回の企画に挑戦して良かったと思っています。彼には少し迷惑をかけてしまったけど、あの後改めて面と向かって「好き」と伝えることができたし、良い思い出になりました。
彼ほど自然と「好き」を伝えることはできないけど。これからは少しだけ意識して、一週間に一度は「好き」を伝えられるようになりたいと思います。
最後になりましたが、3児のパパさん。素敵な企画をありがとうございました。