ゲーム実況動画に思うこと

どうも、あずきです。

さて、最近Xを騒がすこちらの話題

「ゲーム実況動画」についての論考をさせていただきたいと思います。

このポストや一連の騒動に関しては「そら(そういう言い方したら)そう(実況アンチと目をつけられて燃やされる)よ」としか言えないんですが・・・笑

このポストの論点を整理していくと

・ゲーム実況者が小規模開発者よりも儲けている問題
・ゲームのジャンルによっては実況によって著しく利益を損ねる問題(そこから発展するジャンルが衰退する問題)
・ゲーム実況者と開発者が利益を分けても小売店に還元されない問題

の3点に分けられていると思います。

この3点について論考をまとめていこうと思いますが、まず結論として「ゲーム実況が開発者にとって悪で全てダメというなら、その他のマスメディア(テレビ)に露出することも事実上全てダメとなる。根本から矛盾している思想。」ということです。

論点①「ゲーム実況者が開発者よりも儲けている問題」

これに関しては実際のところはわかりませんが、流行りのゲームを次から次へと生配信実況している大手の配信者は小規模開発者よりも儲けているでしょうが特定のジャンルばかり実況している人や動画制作をしている人とかは多分トントンか時間に対する労力を考えるとあまり小規模な開発者とかと変わらないんじゃないかと思ってます。副業でやってる人も多いと思いますし。

なので、それこそ大手の配信者や投稿者【だけ】をみて、「ゲーム実況というジャンル自体が悪だ!俺たち小規模なディベロッパーは追い詰められてる!」という言い方や論考は成立しないと思います。

そもそもゲーム実況ってそんなに簡単なジャンルではなく、基本的には実況者に求められるのはいずれも「ずば抜けた」が接頭語につくトークスキルか企画力、ゲーム自体のうまさ(スーパープレイ等)のどれかが求められます。

これとは別に「ゲーム画面を背景として関係ないことを話す。ゲーム雑談動画」というジャンルが別にありますが、あれは固定画面の配信や固定背景動画を複数動画で検知するとAI複製を疑って弾くYouTubeくんが悪いとしか言いようがないんです。

ゲーム雑談系のYouTuberもやりたくてやってるわけではないというか固定背景とかにするとYouTubeくんが弾くから仕方なく「変化を作りやすいPVPやPVEのゲーム画面」を背景にしているという事情も理解してください。閑話休題。

で、ゲーム実況にも本当に大手以外は安定した収入とかは望めないと思っていて作る動機は基本的に「そのゲームが好きだから」って場合が多いです。そう言う人たちの愛に溢れた動画はプレイ済みでも未プレイでも結構面白いですよ。迷惑かかるとアレなので具体名はやめておきます。

その人たちを全て一緒くたにして「ゲーム実況が悪!」という論調に持っていくのはいかがなものかと思います。

論点②「ゲーム実況と特定ジャンルのゲームが相性最悪問題」

で、実況動画がここまで隆盛を極めると正直「完全に止める」ということは難しい中で特定のジャンルのゲームと著しく相性が悪いというものがあります。

パッと思いつく形で言えば
①RPG
②ノベルゲー
③恋愛SLG
④ムービーが中心のゲーム

全部に共通して言えることとしては「ゲームの魅力=すでに用意された報酬を解禁していくこと」なんですよ。

つまり開発者の立場から言うと「その報酬をプレイしていない人間に渡す泥棒行為」と言う図式は成り立ちます。

スマブラの開発者の桜井さんだって過去にこういった発言をしています。

「『スマブラ』はほかでは見られないコラボをしている企画ですから、その絡みをより具体的に、魅力的に見せることは楽しそうです。また、アドベンチャーモード『亜空の使者』を進めるごほうび、先への期待にもつながると思いまして、それなりのコストをかけ懸命に作ったつもりです」と桜井は語っている。
「だけど、発売する前からネットにバンバン上げられてしまいました。ROMを貸し出した海外メディアがやっていたぐらいで、これではごほうびたり得ません。なので、ゲーム途中で挟まるムービーを作る方針はやめました。ストーリー主導の作品は大変な時代ですよね……」

https://jp.ign.com/smash-brothers-special/71762/news/  太字は筆者によるもの

そのため今は大手のゲームなどは「ストーリー部分のネタバレに配慮するようにお願いをしている状態」です。

ただ、現状は「観る⚪︎⚪︎」と称してムービーシーンを繋ぎ合わせただけの動画が蔓延っている状態でもあります。

これは明確にアウトでありますし、ゲームの魅力を損なわせるものですし、逆にゲーム実況時代だからといってこういったゲームが全く作られないと言うのもおかしい話だと思います。

共存を図るためには「ストーリー自体の魅力も大切だが、過程を楽しめるようなゲームを意識する」以外にないかなと思います。

それを実況者に楽しそうに配信してもらうことで差し引きはプラスになるかなと思います。

例えば先日配信でブームになったバニーガーデンなども「ネタバレするなら配慮してね」「(力を入れた)ASMR部分は配信しないでね」などストーリー+αの何かを用意することが肝要かなと思います。

もう一度エロゲに回帰するのも手かもしれないと思ってます。(必要ないエロを強引に捩じ込むといってはアレだがそうすることによって配信を力技で出来なくすると言う技)

ただここまで書いてて「開発したことがないからこんなことが言えるんだ」と憤る開発者の方もいるかもしれません。

それに対してぶっちゃけたことを言わせて貰えば「実況動画で満足する層はそもそもゲームなんて買わない」ってことです。

実況動画で満足する層って言うのは基本的に「(そのゲームを配信している)配信者を見に来ているか」or「自分でやるスキルや時間はないがそのゲームの結末を知りたい(知ってなんになるんだとも思うけども)」の理由が大半です。

そのゲームに【ストーリーとビジュアルだけ】しか魅力がないと言うのであれば、実況動画で満足する層としては正直な話「それドラマとかで良くね?なんで自分で勝手にゲーム作って文句言われなきゃいかんの?」となるわけです。

ゲームの魅力って果たしてそこなのでしょうか。だったらゲームとか作らずに自分でシナリオ書いたり、音が欲しいならボイスドラマやもっと人集めて演劇や映像作品作った方がよっぽど守られていると思います。

ゲームの楽しさは「自分がそのプレイヤーになって操作していると言う没入感」なわけで、受動的にやるのではなく自分で切り開くそして報酬としてムービーを観るのがゲーマーとしては嬉しいわけで、報酬である実況動画だけを見て満足する層とそれに対して実況者がが見せている様を盗人だと騒ぎ立て、ブチギレて規制をしたところで、あなたのゲームは透明化されて話題にもならないってだけです。だって実況動画だけ見て満足する層はそもそもあなたのゲームにそれを求めていないんだから。

その自分で切り開く楽しさを製作者として与える努力をした上で「重要な最後のネタバレは(これからやる人のために)やめてね。」と言うのであればまだ話は通じますが、「はじめから実況者が嫌がるようなゲームを作ってやればやらないんじゃないのか」と言うのは言い方としても思考としても性格が悪すぎるとは個人的に思います。

閑話休題「ゲーマーが思うほど一般人ってコントローラー操作できない」

その昔、母がどうしても「どうぶつの森e+」をやりたいといって、教えたことありますが、私が「ここでAボタンを押すんだよ」といったら「えーっと」といって立ち止まってコントローラーを見て、「このデカい青色のボタンでいいんだよね?」(当時GC)と確認しながら進めていき、それを何日か私が隣で伴走してようやく自分で操作できるようになっていました。

その後、期間をおいて母はスマホのポケ森にハマり、それを知っていたのでどうせならとSwitchごとあつ森をプレゼントしたことがありますが間10年以上ブランクがあったせいで母は「もう無理や・・・あんたに伴走してもらえないから私にはもう操作できん」と諦めてしまいました。(すでに独立して一人暮らしをしていたので)ただ、ゲームができないわけではなくポケ森はゴリゴリに無課金でキャンプ場を作り込んでいました。

(ちなみにもう母は亡くなっているのでなくなる直前のイベントの装飾がそのまま放置されている。サ終で見られなくなるのでスクショだけでも撮っておこうかな・・・)

なので、「ゲームはやりたいけどできないって層はかなりいる」と思うんですよ。その層の一部が「ゲーム実況だけで満足する層」になるし、知名度だけでも獲得しておけば「いつかお客さんになる」可能性だってあるわけです。

なので、一律に実況動画が悪とはやはり私は言えません。

論点③ゲーム実況者と開発者が利益を分けても小売店に還元されない問題

これはあっさりいきますが・・・

「いつの時代の話をしていらっしゃるんですか・・・?」

と、言う感じです。

小売店に関して言えば最近はダウンロード版の普及に伴ってPOSAカードを店頭で取り扱っていたりするのでゲーム実況者と開発者が利益を分けたところでと言う批判はあまり通用しないと思います。

というか繰り返しますが「実況だけ見て満足する層」はそもそも買わないし、実況動画がなければ他のコンテンツに可処分時間を使うだけです。

ただ、その中のほんの一部が「だったら買ってみるか」と言って将来のお客さんになる可能性があるというだけです。

その可能性を自ら潰すのはどうなのかなぁと思います。

結論「メディア露出をコントロールすることは事実上無理なので付き合っていくしかない」

で、ここまで色々語ってきましたが、今の時代は「発信すること」が一部の人間がスキルを磨いて行う特権や成果ではなく、一般人が気軽にできるものとなってしまった以上「ゲームのメディア露出について開発者がコントロールできないのが嫌だ」と言うのはもはや今の時代は通用しないと思います。

ただ、それこそ完全受動でネタバレが全ての価値を損なってしまうと言っていいドラマやアニメ、映画でもネタバレに悩まされているし、テレビのバラエティやドラマとかだって無断転載等に悩まされています。

それに対して強固な姿勢を取るのは別に止めませんが、「今の時代に実況動画に取り上げられるのが嫌だと言うのであれば他のメディア露出やSNS共有も全てNGを出さなきゃ態度として一貫性がないな」と思います。ほぼ無加工垂れ流しのものは別として、実況動画には実況動画なりの考えがあると思うので、そんなに自分の作ったゲームが自分の思い通りに世間の中で動いて欲しいならメディア露出は全部承認制にして条件を全部詰めるべきだとは思います。それ以外のものは片っ端から訴えると公言してしまえばいい。

それが個人開発者には絶対に無理なことはわかってると思うので、この手の話って結局は「どこかのラインで自分の思想とも折り合いをつけることを考えなくてはいけない。」と言う話です。

Xはどうしても極論がバズるし、言い切ってしまった方が共感を得やすいのでそれに飲まれがちになるのですが、お互いの利益や損を計算に入れた上で「みんなが楽しく生きられる着地点」を見つける努力をしていかないといけないと思います。

少し長くなりました。止まらなくなっちまったぜ・・・・

それではまた。

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