感度・特異度の話
みなさん。こんばんは。
本日は、理学所見を取る際に整形外科テストで疾患の洗い出しをすることはみなさん医療に関わるものなら必ず行うと思います。
その際に自分が行っている整形外科テストがどのような意味を持ち、なおかつ、信頼性に足るものなのかを判断できる指標があることはご存知でしょうか?
・感度、特異度という言葉
感度・特異度、、、、聞いたことはあるでしょうか?
教科書や論文を見ていると、このような記載を見たりするかと思います。
そもそも、感度、特異度ってなんぞや?と思う方もいらっしゃるかもしれないので本日はこの辺りを中心に説明を行なっていきます。
・感度
感度とは、病気(疾患を持っている人)が正しく陽性となる割合のことを指します。
感度の高い検査ということは、それだけ疾患を持っているということを明らかにすることができる検査です。
ただし、感度が高い=疾患を引っ掛けやすいということになるので、自分が思い描いている疾患ではない疾患も引っ掛けてしまう可能性があります。
例えば、肩関節のテストでNeerテストというテストがあります。
このテストは、比較的感度が高い検査です。
みなさんも実際に行ったことがある方もいるかと思いますが、思いの患者が痛みを訴えやすい検査です。
ただし、自分がこの組織が原因だ!と思ってテストをしても、それ以外の組織が原因で痛みが出ていることもあるので、陽性が出る割合は高いが、その代わりに『偽陽性』が含まれていることを必ず念頭に置いておかなければいけません。
・特異度
特異度とは、病気(疾患)がない人が検査で正しく陰性となる割合のことを指します。
イメージがつきやすくするなら、警察官が、無罪の人は絶対に捕まえない(冤罪を起こさない)能力が高いといったところでしょうか。
つまり、逆説的に特異度が高い検査を実施し、そこで陽性だった場合は、必ずといっていいほど疾患を特定できるということになります。
(ちょっとわかりづらいですかね??)
例を挙げます。
肩甲下筋の損傷があるか、ないかをみるテストで、Lift Offテストというテストがあります。
このテストは、特異度が100%と言われています。
テストが陰性だった場合は、100%肩甲下筋がないと言えることから、逆にテストをして陽性だった場合には、ほぼ100%の割合で肩甲下筋損傷の疑いがあると判断をしても良いテストだと認識しています。
よって、特異度が高い検査をすることで、疼痛の出現組織や病巣をより明確に判断できます。
ここまでの流れを踏まえると
感度が高くて、なおかつ特異度が高い検査があれば、それはかなり有用な整形外科テストであるような気がします。
例を挙げます。
棘下筋と小円筋の損傷をみるテストで『horn blower’s sign』というものがあります。
肩関節の第3肢位での外旋不全(Lag)もしくは、外転をしながら手を口元まで持っていく動作をした際に手より肘が高く上がって代償してしまう際に陽性と判断されるテストです。
感度100%、特異度93%と非常に数値が高い検査です。
陽性だった場合は、棘下筋と小円筋の損傷を濃く疑います。
このように、それぞれの検査には、特有の感度・特異度があります。
自分の中では、まず、感度が高い検査で疾患を炙り出し、特異度の高い検査で疾患を確定していくようなイメージで検査を実施するように心ががけています。