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柔道整復師も知っておきたい医療面接〜OPQRSTモデルの深掘り②〜
こんばんは。
先日書いた記事の続きです。
本日は、R・S・Tについて記載します。
・R:region/radiation(部位/放散の有無)
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・S:associated symptons(随伴症状)
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RとSを同時に説明していきます。
まずは、医療面接において、患者さんの『痛みの部位』を把握することが重要です。
問診票などのボディーチャートに実際に患者さん本人に記載してもらい、『痛み・症状の部位、範囲』を把握していきます。
一般的に『痛み』の多くは、病巣(症状の原因組織のある部分)に一致することが多いです。
しかしながら、時々、問診をしていると、話だけでは『肩が痛いんですよね』と患者さんが訴えていても、我々医療者側から診ると頚部付近の症状だったりすることも往々にしてあります。
(我々は、肩と言われると,肩甲上腕関節を思い浮かべますよね?)
また、整形外科内ではよくあることなのですが、医師からは腱板断裂(損傷)などの疾患名でリハビリの指示が出ていても、患者さんの訴えとしては『上腕や前腕あたりが痛い!』とおっしゃる方も多いかと思います。
これは『関連痛=referred pain』と言って、病巣より離れた部位に症状が出ることもあるので、主要な病態と関連痛の関係をしっかりと理解して患者さんの問診をする必要性があると考えています。
疾患特有の関連痛もあるため、論文などを調べると非常に面白いです。
https://cdn.mdedge.com/files/s3fs-public/Document/September-2017/040070353.pdf
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疼痛の部位や範囲をより客観的に患者さんに示してもらうための、評価方法
があります。
・One finger testとPalmar sign
one finger test:患者が指先一本で疼痛部位を表現します。
指で示した部位に疼痛の病巣が潜んでいることが多いです。
→例を挙げると、仙腸関節障害の診断の中に、このOne finger signが含まれています。
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Palmar sign:患者が疼痛部位を手掌で示すこと。患者自身が疼痛の局在を
はっきりと認識できていない場合が多い。
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・T:Time Course(時間経過)
症状が発生してからの時間経過を把握します。(病期を理解する)
病期と痛みは関連性が強いと考えています。外傷であれば、急性期と呼ばれる2~3日は、炎症が強く、痛みも伴います。
逆に時間が経っていき、慢性期に移行していくと、痛みは軽くなっていくことが多いです。
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疾患において病期を把握・理解することで治療方法を選択していきます。例を挙げますが、肩関節周囲炎には、病期(Stage)分類があります。
最初のうちは、痛みが強く、基本的に動作で痛みが出る『炎症期』があります。夜も眠れないくらいの痛みが出ることもあります。
そのうち、徐々に痛みは軽減してきますが、今度は逆に可動域制限が著明に出現してきます。(これを拘縮期と言います)
その後は、徐々に時間をかけて可動域制限も改善していく『緩解期』に移行していきます。(ここまで個体差はありますが、半年から2年、論文によっては4年かかるなどの報告もあります。また、可動域の左右差が残ると言った報告も多いです。)
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よって、疾患の病態・病期を判断する上でもTime Course(時間経過)を把握することは非常に重要だと考えます。
症状発生から時間が経っているのにも関わらず、尋常じゃない痛みが出ているケースは、『神経障害性疼痛や、慢性疼痛』を疑います。
このような状態の場合には、医師の先生方に処置(投薬や、注射など)をお願い(進言)することも多々ありますので、我々セラピスト側がしっかりと病期と痛みを理解して、患者さんにより良い治療を提供できるように努力していくことが重要だと考えます。