肩関節専門医にならった画像所見②(レントゲンVer)
お久しぶりです。
今回は肩関節のレントゲン所見2回目です。
お付き合いください。
なお、画像は患者様に許可をいただいて転載させてもらっています。
今回は、肩関節のレントゲン撮影の中でも『機能撮影』という種類に焦点を当てて記事を書いていきたいと思います。
機能撮影の種類には、『外旋位撮影』・『内旋位撮影』・『挙上位撮影』と種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
①外旋位撮影
まず、外旋位撮影についてです。この外旋位撮影というのは文字撮り肩関節を正面から撮影した際に、肩甲上腕関節を外旋した状態にしてレントゲンを撮影していきます。
目的としては、上腕骨頭の下垂(下方向に下がっていないか)、また肩鎖関節や鳥口突起周辺の評価にも繋がってきます。
画像の左側が実際に腱板(肩のインナーマッスル)の機能低下を起こしている患者様の画像です。向かって右側の画像は正常の外旋位撮影です。
比較するとどうでしょうか?
『モロニアーズアーチ』と言って『上腕骨の内縁と肩甲骨の外側縁を繋いだ線が、左側の画像だと一致しないのが理解できます。
腱板(インナーマッスル)の機能は、この肩甲上腕関節を安定性させることです。肩関節は浅いお椀(肩甲骨)に大きいボール(上腕骨頭)が乗っているけん玉のような関節です。
いわゆる、『不安定な関節』とされていますので、周囲の筋力に頼ってこの『不安定性』を補っています。
よって、腱板の機能が低下するとこのように、お椀(肩甲骨)とボール(上腕骨頭)の関係性に影響が出てきます。
②内旋位撮影
次に、『内旋位撮影』についてです。
目的は、肩甲上腕関節の機能的な問題の評価と、『ヒルサックス損傷(病変)』の評価です。
ヒルサックス損傷とは、肩関節が前方に脱臼した際に合併する上腕骨頭の後外側の骨欠損を意味しています。
実際の『ヒルサックス損傷』がある患者のレントゲン画像です。
画像の右側のように本来であれば赤点線のラインで上腕骨の後外側の骨頭のラインが連続しているはずですが、陥没しているのがなんとなくお分かりになられるでしょうか?
このように骨頭の後外側に『ヒルサックス損傷』が起こるため肩甲上腕関節を『内旋』させてレントゲンを撮影しなければ損傷部位が判断できないのです。
次回は、『挙上位撮影』について記事を書いていきたいと思います。