街頭募金を目にすると思うこと
年末になると、街のあちこちで街頭募金活動を目にします。街頭募金は寄付の一形態です。
寄付の文化について
日本は欧米と比べると、寄付の文化が根づいていないようです。2020年の一人あたりの寄付金額は日本が約9,600円であるのに対し、イギリスは約2万2,000円、アメリカは約10万5,000円だったそうです。U.S.A.!
日本でも、東日本大震災などいくつかの災害を契機に寄付の金額は増加傾向にあるようですが、決して多いとは言えないようです。
身近な寄付の方法「街頭募金」
日本で最も身近な寄付が街頭募金ではないでしょうか。ただし、街頭募金では、寄付者と募集者とが継続的な関係を築けないという問題があり、それを利用した詐欺が話題になることもしばしばです。
募金詐欺は「人の善意を利用した悪質な犯罪」であると捉えられており、マスコミも遠慮なく報道しますし、そのニュースも我々の印象に残りやすいものです。オンラインバンクや電子マネーが普及した現在、街頭募金はあまりかしこい方法ではないのかもしれません。それもあって、街頭募金を目にすると、ちょっとした批判が浮かび、もやもやした気持ちになります。
街頭募金を見たときに頭に浮かぶ批判
小学生以下のこどもの場合
こどものあどけなさ、かわいらしさを利用して、募金活動をさせるなんて。本人は募金の趣旨を理解していないかもしれないのに。
中学生や高校生の場合
募金活動もいいけれど、その間に勉強や部活に取り組んでいる友達もいるのではないか。生徒としての本分を忘れないで欲しい。
大学生の場合
学生の本分は勉学ではないのか。与えてもらった時間をもっと大切に使って欲しい。そもそも思想が強そうな活動に傾倒するのはいかがなものか。
社会人の場合
街頭で半日立つよりも、その時間分自分が働いて、獲得した収入を寄付するほうが効率が良いのではないか。街頭募金の怪しさに気付けないなんて。
高齢者の場合
暇つぶしにボランティア活動をするくらい元気なのであれば、年金をもらうのをやめて働いて欲しい。そもそも高齢者の募金活動は怪しさがつきまとう。
啓蒙のために
このように、すべての年代にケチを付けることができてしまいました。おそらく、いずれの批判も間違っていたり、筋違いであることは理解しています。街頭募金には、実質的にお金を集めることよりも、困っている人がいることや問題があることを知ってもらうなど、啓蒙の意味合いが強いことも知っています。
街頭募金を目にするたびに、上記の批判が頭をよぎり、いやいや、それ以外の意味もあるはずだからと思い至り、もやもやしてしまうこの状態が「寄付の文化が根付いていない」ことのあらわれなのでしょう。