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春が、また来る④(2018.3)

 2年前の春に、一番目についた問題は、次男も娘も、おもに怒りの感情の抑制がまったくできない、ということだった。  でもそれは、今だから振り返ってそう分析できるのであって、当時は、その2人の問題の根っこが同じだとは思っていなかったし、ましてやそれが「私自身が怒りをきちんと扱えていないせいだ」なんて、そこに繋がるなんてまったく思いもしないことだった。  春休みの間に、妹と、私と、子供たち5人で、友達に会いに行こうと出かけたことがあった。  バスに乗り、電車を乗り継いで、新宿御苑

    • 春が、また来る③(2018.3)

       1年生の3学期をほとんど登校できないまま、次男は春休みを迎えた。  担任が何度か家庭訪問をしてくれたり、クラスの子たちから誕生日の寄せ書きを貰ったり(次男は3月生まれ)、そのたびに次男は「明日は行く」「明日は頑張る」と言うものの、朝になると泣いて嫌がり、そのたびに親も混乱し、怯え、怒り、どうにもならないままぐちゃぐちゃに春休みになだれ込んで一息ついた、という感じだった。  そしてこの春休みが、大きな転換期だった。    落ち着いて書けるかどうかまだわからない。でも書いてみ

      • 春が、また来る②(2018.3)

         次男は、何の問題もなく1年生になり、毎日、本当に楽しそうに学校に通っていた。  3月生まれのせいか、喋り方も舌っ足らずで、ちっちゃい身体をランドセルに潰されそうになりながら、頑張っていた。  長男の毎日が相変わらず問題ばかりで、目を離せないのに比べて、1年生の次男の方は、学校の準備も一人で出来、忘れ物もしない、宿題もちゃんとやる、テストも満点、何も心配いらなかった。  授業参観に行っても、次男はきちんと座り、真面目に授業を聞き、よけいなおしゃべりもしない(3年生の長男を見に

        • 春が、また来る①(2018.3)

          娘が、春から1年生になる。  そして1年生という区切りの年齢は、私と子供たちにとって、ひとつの大きな試練になるんだと思う。  長男のときも、次男のときも、「1年生」という時期はものすごい嵐だった。  心臓が握り潰されるような感覚を忘れることはない。生きながら死んでるみたいだった。  きっと、私が、手を放すのが早かったんだ。  それは「時期尚早」という意味ではなくて、子供の準備が整う前に、親子の共通認識が出来上がる前に、同時に「いい?じゃあ、放すよ!せーの!」ということをせず

          モブキャラがラオウを産んだ話

          小学校3年生になった末っ子の娘は、とにかくキャラが強烈で、「強(ツヨシ)」とか「剛(タケシ)」とか「猛(タケル)」とか、そっち方面なんである。女子だけど。 この子がこの世に登場したとき、私は2人の男子の母としてすでにだいぶ鍛えられていた。何しろただでさえも男子2人なのに、いや〜まぁ〜手がかかる子たちだったので。確実に寿命縮んだし、何度も裸足で子どもを追っかけて走った日々だったので(靴を履いていたら間に合わない、誰かが死ぬ)、サザエさんの歌を聴くと「みんなが笑ってるゥ〜お日様も

          モブキャラがラオウを産んだ話

          憑き物を落とす話

           何を奇矯な、と思われるかもしれないが、私にはいろんなものが憑いている。  それは、「価値観」というオバケだ。しかも、自分で身に着けたもの、選び取ってきたもの、好ましく思って取り入れたもの、ではなく、いつの間にか気づいたら頭蓋の周りにびっしりかぶさっていたような、肩のあたりから背中全体をずっしり押し潰すような、しかも、そうなっていることに自分自身で気づかずに、「ああ、なんだか苦しい、辛い、怒りでおかしくなりそう」とつねにうっすらと感じ続けている、まさに「憑き物」としかいいよ

          憑き物を落とす話

          全日本うっかり選手権

            かなり上位に食い込む自信はある。  「不注意が服を着て歩いている」と言われたこともある。でも服を着てる時点であんまり不注意じゃなくない?って思う程度には基準が狂ってる私だ。  産休に入るとき、上司に「赤ん坊を産むの忘れてました~!とか言うなよ~ハッハッハ」って言われて、何たるハラスメント!と憤慨したけど、思い返してみても何のハラスメントでもなかった。ほんとに心配されてた。  家の鍵を落とす、切符を失くす、このあたりになると数えきれなさ過ぎて、もはや誰も動じない。  今ま

          全日本うっかり選手権

          「自分で」

           若い頃、「座右の銘は『不可抗力』でーす!」なんつってニヤニヤしていたのだが、それが自覚していたよりもっともっと根深く暗いところまで食い込んでいて、今その問題に向き合わざるを得ない、という現実にぷるぷるしている。  決めるのが怖い。どんな小さなことも、もちろん、大きなことも。  全部決めてもらってたからね!  自分で決めたように見えたこともすべて、「こうする『べき』だろう」という内なる声、内在化している規範に決めてもらっていたのだ。  ああ、ラクだったなあ。  囚われの身は

          「自分で」

          絵本「河童」

           お友達が「いい」と言っていたので、すぐさま購入。  こんな河童河童したかっぱ、最近の絵本でなかなかお目にかかれない…!  内容は、途中「えーっ!」ってなるくらい、怖い。  絵も話の展開も怖い!    でも、最後はハッピーエンドで、この下げて上がる落差にクラクラ。いい絵本を読んだ!読後の安心感ほんとに大事。  あらすじとしては「河童がお父さんを沼に引きずり込み、自分が父親に化けて家に上がり込んでくる」というもので、その描写が本当に怖い。  先に読み終えた娘が、お風呂

          絵本「河童」

          文字の成り立ち

           「むしる」って、漢字で書いた時の酷さがあまりにも酷すぎない?  「毟る」だよ…「毟る」。  むしるのは毛とは限らないのに…なんでこんな漢字になった…?  それともやっぱり、古より伝わる「むしると言えば!?」「毛!!」みたいなコール&レスポンスがあるのだろうか。  この漢字が生まれるまでには、多くの人々が毛をむしりまくる状況が積み重なっていて、そのうち「毛って、むしると少なくなるよね」みたいな共通認識が生まれ、誰かがそれを「毟」の一文字で可視化して、ワアアアア!みたいに満場一

          文字の成り立ち

          夫婦でドラマ鑑賞の巻

           「逃げ恥」を見始めた。  なぜリアルタイムで視聴しなかったかって、そんなことしたら、人生の何もかもが手につかなくなることがわかりきっていたからである。  わかりきっているじゃないですか?  眼鏡の星野源さま。こじらせ男子。最&高!!  もう日々の家事とかやれなくなる。子供にごはんとか作ってる場合じゃなくなる!!  ってわかりきっていたので、あえて、リアルタイムでは見なかった。英断。  というわけで、ようやくいろんなことがひと段落した夏休みに、夜な夜な夫婦で鑑賞しているんだ

          夫婦でドラマ鑑賞の巻

          「人魚の眠る家」レビュー

           お友達が激しくおすすめしていた…いや、「おすすめ」というより、「ものすごい混乱していた」といったほうがより近いか、東野圭吾の「人魚の眠る家」読了。  いったい、人をあんな混乱に叩き落す小説ってどんな??って思って、レビューを読んだのが昨日で、昨日の夜には買いに行き、さっき読み終わった。  東野圭吾は…もう…巧すぎるんだよ!巧すぎ!!  ひょいと襟首をつかまれたまま、ぐいんぐいん振り回されて急降下させられて、何度も「ひゅんっ」って感じになった。  一気に読ませすぎる。何なの

          「人魚の眠る家」レビュー

          大切な気持ち

           「ママ閉店」、見たとき、へーいいじゃんいいじゃん、ありじゃん、という気持ちと同時に、胸の奥底で「ザワッ」としたのは事実。  炎上するだろうな、っていう気はした。ただ、くだらないから追っかけてはいない。難癖つける方がおかしいし、認知が歪んでいるのだということは 自分でもわかる。  でも、その悲鳴のような怨念もわかる。  根深いのよ。  「育てやすい子」(※「いい子」ではない)を、たまたま育ててきた人たちに、「子育て大変だよねー」を語られると、相手の口をふさぎたくなる衝動は

          大切な気持ち

          炊飯器調理という沼

           炊飯器調理は!!  ハンバーグを炊いてる最中に、な、な、なんと、お風呂に入れます…!!  しかも!  美味しい!!もういや!!    くっ…炊飯器め…なんで今までその実力を隠してた…俺の10年を返せ…!(※もう10年以上、炊飯器を持たない暮らしをしていた)  今日は、炊飯器でポテトサラダとハンバーグを作った。  「あぁもう何も作りたくない、買い物もこれから行かなきゃならないのに〜だるくて死ぬ…ワシはもうダメじゃ…」からの、ポテトサラダとハンバーグ。  すごいな!炊飯器!

          炊飯器調理という沼

          部屋と炊飯器と私

           今さらながら、「炊飯器調理」という知見を得た。そして、その遊びに夢中になっている。  牛すじと蒟蒻の煮物を作ったら、すじがプニプニに煮上がった。うーん、もう圧力鍋要らないのでは…?  令和の時代、無理に圧力をかけるようなパワハラめいた鍋は合わないのでは…?(圧力鍋に失礼)  いや、でも、炊飯器って、スイッチ入れたあと淡々としてて、えっ働いてんのどうなの?ってくらいアピールが少ないのに、蓋を開けたらしっかり味がしみしみに煮上がってたのを見たら、圧力鍋が「俺!今!圧力かけてる!

          部屋と炊飯器と私

          夫が名誉職を返上した話

           私には子供が3人いる。私が産みました。  ところが、「産んだ覚えのない大きなお兄ちゃん」が、突如出現し、長らく、子供ヒエラルキーのトップに君臨していた。  それは、対外的には、「夫」と呼ばれている者。  しかし、家庭内では完全に「大きなお兄ちゃん」だったので、私は称号を授けた。  名誉長男。  名誉職なので、実権はない。  名誉長男は、家のことは、何もできない。電子レンジも使えない。ごはんも炊けない(うちは土鍋派なので、なおさら覚えない)。  洗濯もしない。掃除機もかけな

          夫が名誉職を返上した話