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温室育ちの息子

私は中学位まで ものすごく貧乏暮らしで、運動部の部活のみんなでお揃いで買う上下のジャージをズボンだけ買ったり、ラケットは(大手メーカーのは手が出ず)近くの大型スーパーで格安で無銘柄の量産品を買ったりと、とにかくなんでもかんでもは買ってもらえず、学校に制服と制カバンがあって良かったとしみじみ思いながら思春期を過ごしました。

高校入学後すぐにアルバイトを始めて、自分のものは全て自分で買うようになったのでそれ以降は金銭的に困る事はなくなりましたが、それまで、特に小学校では貧しさを理由に同級生に揶揄われたり絡まれたりしていて、そういえばなんか言われてたなぁと、たまに何かのきっかけでぼんやり思い出したりします。

今は結婚して、全然裕福ではないけれど、衣食住には困らず、平凡に暮らしています。

現在中学1年生の息子は、学校で運動部の部活に励んでいます。私がかつて経験した、みんなでお揃いのジャージを購入、ラケットを購入、という機会もやってきたわけですが、ジャージは上下セットで、ラケットは有名スポーツ用品店で大手メーカーのちゃんとした丈夫なものを買いました。

その時「ああ良かった」と心の底から思いました。私の苦い経験をこの子がしなくて良かったと。

ただ、満たされてばかりだと、満たされない事に耐えられなかったり、満たされていない人の気持ちに寄り添えなかったりするので、与えてばかりでもダメだなとは思っています。

習い事や、体験学習、家族で行く旅行なんかもそうですが、生命維持に必要なもの以外の事にお金を使える贅沢というのは、生まれた時から与えられていると、それらが出来ない人の事は想像するのが難しく、みんなやってるんじゃないの?という感覚に陥りがちな気がします。

生まれた時から衣食住が整えられている彼に、君は恵まれてるんだよといくら言葉で伝えた所でなかなか伝わるものでもなく、かと言って、敢えて貧しく何かが欠けた暮らしをさせたいなんて事は絶対になく、親としてはやっぱり子供には健康で心に余裕を持って生活してほしいので、難しい所です。

この間「人志松本の酒のツマミになる話」の中で、子供のおねだりをどこまで聞くかというお話がありました。うちは書籍や文具など、この子に必要だと思ったものは親の判断で普段から買ってるので、彼から物をねだられる事があまりありません。

でもなんでもかんでも買い与えている訳ではなく、ゲームソフトや攻略本、ゲーム内での課金など、彼自身がどうしても趣味で欲しいものは、貯めたお年玉で彼が自分で買っています。

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ごくたまに一緒に買い物に行った時に、アイス買ってもいい?って言われる位で、それは親が買います。これを甘やかしと捉えるのかが賛否両論な訳ですが、100円で心が満たされるなら安いものだし、アイスが次第にエスカレートして高価な物をねだるようになるなんて事は全くないので、まぁ、うちは良しとしています。

若い時の苦労は買ってでもしろなんて言葉がありますが、しなくていい苦労は出来ればさせたくないのが親心。でも、人として、苦労してる他者の気持ちを理解できるようになってほしいというのも親心。

温室で彼を育てながら外の寒さを想像しろというのは難しいかも知れませんが、それでも、いずれ彼は親元を離れて生きていく訳ですから、世の中にはいろんな人がいるんだという事を、徐々にでいいから、知っていってほしいなと思います。

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