DENIM
ドラマを観て根拠のない希望がもてるあの現象は何だろう。宝物のように大切にしていた爪先を落とさなければいけなかったことも、『ごくせん』シーズン2でヤンクミとタイマンをはる、赤西仁さん演じる矢吹隼人くんのおかげで平気だった。私はどうもその希望を作り出してみたかったらしい。図野象さんのように何度も開いて折りつづける。その1個目の鶴。
原ゆたか先生のサイン会に出かけた。むかしの子どもにも分け隔てなく接してくれ、ゆっくりと話をして、プロットまで見せてくれた。
海へ出かけた。傘を握りしめてどんどん海に入っていく友達を見ていた。最後の最後で油断して砂浜を歩いていたら、その後の夏休みに靴下を脱いでサンダルを履けなくなった。
友人ともよく会った。もう一度バレーボールがしたくなったし、高い買い物もした。働くのも笑ってもらうのも、まだまだこれからだった。
本も映画も極力読まなかった。少なくとも初見のものは絶対に。ものにならぬだろうに、ふだんはつい自分に量を課してしまうところがあって、結局自分のための記憶にとどめることができなかった。うっかりランジャタイに寄り道した。いやハロプロはずっと通っていたなぁ。漫画はわくわくと想像したわりに読まなかった。『リアル』16巻のみ。楳図かずおさんはまた先送りだ。
デニム履きの日々でもあった。持ち運べて、制限をかけてくれる体重計だった。
とにかく今、いいから黙々とひとりでがんばってみるといい。労働とそれ以外の、息継ぎがどちらかだけ見失わないように、視座を高く、願わくば遠くに。