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胡乱なバーで飲んだくれる山高帽と口髭

「つまり俺が言いたいのは」胡乱なバーで山高帽を被った酔っ払いが続けた。「どうやってもアイアンマンはキャップに勝てないってことだ」「うるせえぞてめえ」向かいに座っていた口髭の酔っ払いがさらに顔を真っ赤にして噛みついた。「あんな盾しか持っていないダサスーツ野郎にトニーが負けるわけないだろ」「なんだとファック野郎」山高帽は立ち上がって口髭の襟元を掴んだ。「乱暴はおやめください、お客様」グラスを磨き続けているマスターが口をはさんだ。「じゃあてめえはどっちの味方だ?」山高帽は口髭から手を放し問いかけた。「チーム・キャプテンアメリカか、チーム・アイアンマン、おまえはどっちを選ぶ?」―シビル・ウォー/キャプテン・アメリカこれまでのあらすじより

胡乱なバーで飲んだくれる山高帽と口髭とは?それはかつておれが書いたアベンジャーズ紹介記事で唐突に思いついた、どうしようもない男たちである。

これを書いたときは完全にポッと出で思いついたスカムあらすじ設定だったので、その後しばらくは忘れていたのだが、最近になって概念風景のように詳細な描写が浮かびようになってきた。

山高帽はその名の通り山高帽を被り、ワシ鼻の険しい顔つきであり、常に悪態をついている。その表情は常に苦々しい色を浮かべており、身長は高く体格も良い。好きな酒は果実系の蒸留酒だ。椅子には背もたれにもたれかかるように座り、前のめりな姿勢にはならない。ここまで書いておいてアレだが脳内モデルは妖怪処刑人ハーンだ。

口髭は太っちょな体格で身長も低い。喋りもどもりがちだが一度火が付くと延々と一人で喋っており(しかし周りの奴は適当に流すだけだ)、その瞳はどこか子供っぽさを残している。ちなみにバーの入り浸り歴は山高帽より上で賞金稼ぎ歴も彼より長い(そう、彼らは賞金稼ぎなのだ)。

彼らの意見や考えが一致することは決してなく、永遠にその議論は平行線のままだ。それの風景はまさしく、おれが現実において2択の選択を迫られた時に脳裏に浮かぶ存在であり、アニメとかで見かける「頭の中で天使と悪魔が葛藤する」アレである。天使と悪魔の代わりに山高帽と口髭 in 胡乱なバー。

彼らの関係は光と闇、陰と陽、ロウとカオス、ドリーとブロギーだ。2人の意見の衝突が拮抗し、完全なトモエ的調和を産み出されたとき(トモエとは法と混沌が拮抗する神秘的瞬間の呼び名である)、二元論からでは導き出されない第3の選択肢が姿を現すのだ。ゆえにこの胡乱なバーはおれの心の王国である。

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azitarou
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