PWPWP
椎名もたというアーティストがいる。ぽわぽわPという名義でボカロPをしている人だ。正確には、いた。
彼は2015年に亡くなった。
当時、僕は就活の真っ最中だった。そんな時に飛び込んできたニュースに打ちのめされた。彼はまだ20歳だった。
彼とのお別れ会として開催された2015年の「PWPWP」は、残念ながら就活のスケジュールで行けずじまいで、僕は心のしこりを残したまま社会人になった。
4年が過ぎ、すっかり新卒のラベルが剥がれた頃、Twitterのタイムラインに突然「故に、PWPWP」という文字が現れた。椎名もたの新作だって?このタイミングで?迷うことは無かった。迷わずcampfireのアカウントを作成し、支援をクリックした。
それからPWPWP当日まではあっという間に過ぎていった。前日の夜行バスに乗っている間、椎名もたの曲をずっとシャッフル再生していた。そもそも、ボーカロイドのクラブイベントに行くこと自体久しぶりだ。2012年のジョイポリスのオールナイト以来かもしれない。
会場のバチカは参加者でごったがえしていた。メインフロアはライブ会場もかくやというすし詰め状態。だけど、興奮している訳ではなく、みんな静かに始まるのを待っていた。そしてほとんどアドリブだったという前説を挟んで、イベントが始まった。
出演者は思い思いにぽわぽわPとの思い出を振り返ったり、音を鳴らしていた。全員が全然違うやり方でDJをやっていたのが面白かった。1曲1曲丁寧に展開させていくsasakure.UK、最高にスタイリッシュだった黒魔、ホイッスルを咥えたTETARE、素敵な弾き語りのWonderlandica、ゴリッゴリのメタルの鬱P、全てが最高だったピノキオP、そしてそねさん、Yuma Saitoさん。今も余韻が残っているので記憶がふわふわしている。1階はあまり顔を出せなかったのが申し訳ない。
印象的なのは、騒ぎたい、盛り上がりたいと始まったこのイベントで、みんな静かに傾聴したり、鼻をすする音や目を拭う人が少なくない人数いたことだ。自分も人のことは言えない。
4年である。
まさかこういう機会がまた来るなんて思ってもみなかった。なので、「故に、PWPWP」を企画してくださったGINGAの皆さん、本当にありがとうございます。チョー楽しかったです。超サンキューグラシアス謝謝ありがとうございました。