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アニメ『Re:CREATORS』がおれのためのアニメすぎて泣ける

『Re:CREATORS』が面白い。本当に面白い。この面白いは「ストーリーに惹かれる」「作画が凄い」「キャラが魅力的」とかいう客観的普遍的な面白さじゃなくて、ここまで楽しんで観られるのはこの世でおれだけじゃないかと錯覚するほどだ。つまり完全におれの主観視点での評価だ。この面白さが一体どれだけの人に伝えられるかわからない。それでも書かずにいられない。『Re:CREATORS』はマジで面白い。

Re:CREATORSこれまでのあらすじ:「フハハハハ!勇者よ!ここまでのようだな!」魔王が高らかに哄笑する。「くッ…!」勇者はボロボロに傷つき、立っているのもやっとだ。「もはやこの世界は貴様の心の王国ではない!メソメソ泣きながらリアルワールドに逃げ帰るがいい!」勇者の心を絶望が覆いつくさんとしたその時!「待て!」崖上から眼下の魔王を見下ろす者たちあり!
「貴様ら、何者だ!」逆光でシルエットになっているその姿はそれぞれ、「忍」「殺」の文字が彫られたメンポ!偉大なる古代インドの王!頭に鋼鉄の額当てを当てた将校!小柄で青い髪の魔法少女!大型バイクに跨る鉄仮面の女子高生!蛇をモチーフにしたスーツとバックル付ベルトを纏った男!黒い帯状の眼帯で両目を隠した漆黒のドレスの少女!その腕に天を衝くドリルを掲げたロボット!「あ、あなたたちは…!」勇者の目に圧倒的な雄姿が焼き付き、あの鮮烈なシーンがフラッシュバックする!

クリエイターが主役のアニメだ

『Re:CREATORS』とは?それは作中に存在する架空のアニメ、漫画、ゲームのキャラクターが現実世界に召喚され、アクションしバトルするアニメだ。つまりファンタジー世界のヒロイン、異世界の魔術師、不良ヤンキースタンド使い悪役、巨大槍持ち女騎士、ニチアサ系魔法少女、巨大ロボット乗りの少年パイロット、ハードボイルド拳銃使い探偵、クレイジーサイコパス女子高生がそれぞれの出典世界の能力そのままにリアルトーキョーで殺しあう最高のエンターテイメントだ。だがそれはこの作品の一側面でしかない。

彼らはフィクションとして生み出されたキャラクターであり、当然彼らを創作した者も現実世界に存在する。それは禿げかかったおっさんラノベ作家であったり、肥満体型のアニメ脚本家であったり、どうしようもない腰抜け漫画家だったりでおれたちに毛が生えたようなやつらだ。だが、こいつらはまさしくそれら魅力的なキャラクター、世界観、作品をビルドした真の男であり、己の作品にマジで必死をこいて心血を注いでいる。それはまさにこの世に自身の爪痕を残すべく刀鍛冶をしているに等しい行為だ。

こいつらは世界が存亡の危機に瀕しているのに納期に間に合わせるため死にそうな顔で自作品を執筆している。何故か?それこそがこいつらが世界を救うためにできる唯一の、しかし誰にも代替できないことだからだ。漫画が、ライトノベルが、アニメが、ゲームがより多くの人に届き、強い印象が刻まれることでキャラクターはより強く、より重層的な存在となる。そこには冷たいマーケティングは存在しない世界だ。

きれいに整理されたオフィスでバターコーヒーを啜りながら得意げに横文字を並び立てるスリッポン野郎がペンタブやMIDIキーボードを触ったことがあると思うか?おれはそういう話をしている。「Yes」「No」のフローチャートでプロダクツされたエンターテイメントは存在しない。ここにいるのは締め切りに追われ、監督者から「(納期に間に合わせるために)死ね」と言われながら汗をダラダラ流して原稿を書いている万物の創造主たちだ。

おまえの小学生の頃の夢は何だったか

おまえの小学生の頃の夢は何だったか?中学生の頃は?おれはいまだに覚えている。おれは小学生のときはゲームクリエイターになりたいと思っていたし、中学生の頃は小説家だ。

かつてのおまえはスケッチブックに絵を描き、ペンタブを購入し、シーケンサソフトをインストールし、自由帳にファンタジー世界を書き綴ったことがあるだろう。だが結局、おまえは描いたイラストを途中で放り出し 、Aメロどころかイントロを作る段階で挫折し、あらすじを140字に纏めることすらできずに筆を置き、しがないサラリーマンとして上司から承認印を捺されるためだけの書類を作る男となりやがて……家族三代に看取られて死ぬ……。「おれはおまえたちを立派に育て上げたが、ついにおれ自身の心の王国にたどり着くことができなかった……」そう言い残してだ。

かつてのおまえは『PRO or DIE』の考え方に支配されていた。つまり、その道のプロにならなければおれの人生は意味がない……そういうことだ。だがインターネットが発達した現代ではプロとアマチュアの境界は曖昧になり、だれもが自分の創作を発表できる世界だ。なんと素晴らしい世界だろう。それならプロとアマの違いは?仕事の熱意?メイクマネー能力?称賛と承認欲求?おまえがウジウジ悩んでいたのはその程度のことだったのか?さあ、おまえの心の王国への道は再び姿を現した。おまえはおまえのあるべき姿を取り戻すため、この荒野の道を歩いていけ。

フィクションはおれを構成する血肉だ

『Re:CREATORS』は創作そのものをテーマとした作品だ。アニメというエンターテイメントである前におまえたちに「あの頃おまえが抱いた熱量は本物だったか?」を問いかける。それだけでおれにとってこのアニメは観るに値するものであり、フィクションという舞台から降りた魔法少女に重い十字架を背負わせ過酷な道を歩ませるクソみたいな展開も、興ざめするくらいチート能力マシマシで属性盛り過ぎな二次創作キャラクターも、ご都合主義的に収束するエンディングですら愛おしい。なぜなら、それらもかつておれが自由帳に空想した世界であったからだ。

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azitarou
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