参加者&メンターの生の声を大公開!「錦江町ローカルベンチャースクール2023」の最終選考会を実施しました
今年度、鹿児島県錦江町で初開催した起業支援プログラム「ローカルベンチャースクール(以下、LVS)」。2023年1月に実施した一次選考合宿から1か月後の2023年2月11日に最終選考会が行われ、町内外から3名の方にご参加いただきました(一次選考合宿の開催レポートはこちら)。
本記事では、当日のプログラム内容や場の空気感、参加者やメンターの顔触れや生の声についてご紹介します。参加者たちの挑戦や変化、葛藤、つくりたい未来への想いや願いを感じていただけますと幸いです!
迎えた最終プレゼンテーション、参加者たちの想い
最終選考会は、事業のプレゼンテーションから開幕しました。
一次選考合宿では、1名の参加者が地域おこし協力隊の審査を通過されましたが、ご自身の事情で辞退をされたため、審査対象者がいない最終選考会となりました。
参加されたメンバーは、事業のブラッシュアップを目的にプレゼンテーションとフィードバックを希望された皆さんです。
1人目にプレゼンをされたのは、脇田直希さん。
錦江町で生まれ育ち、現在は町外で整体院に勤めている整体師さんです。
自身の強みや得意なことを活かし、大好きな錦江町に戻って事業を起こしたい、人の集まる場づくりがしたいという想いから、“コミュニティ整体事業”を提案されました。
プレゼンの中でも「錦江町が好き」と度々口にされていて、本当にこの町が大好きなんだなということが伝わってきます。
質疑応答の時間では、他の整体院とは異なる脇田さんらしさを、事業を通じてどのように表現していくのかについて、熱く意見交換が交わされました。
(今年度は一部のプログラムのみご参加いただいたため、選考対象にはなりませんでしたが、来年度は正式にエントリーしますと意気込んでいらっしゃいました!)
2人目は、特定非営利活動法人たがやすの代表であり、錦江町地域おこし協力隊のOGでもある山田みなみさん。2022年よりみんなの図書館「本と一筆」をオープンし、本棚オーナーや読書イベント等を運営する事業を主宰されています。
本と一筆の取り組みによって、自己表現やその人らしい豊かな生き方をサポートしたいという思いから、「関わる人が大切にしたいことを大切にできる」場づくりを模索されています。山田さんが事業において大事にしたいことは明確で、だからこそ、今後の活動として何をするのか前向きに模索されていることが伝わってくるプレゼンでした。
3人目は、町内で「Natural dye tuzu.」という“草木染めブランド”を事業にされている吉屋和鼓さん。これまではバッグやストールといった小物から、ドレス等のオーダーメイドまで、様々な製品づくりを進められていました。
ローカルベンチャースクールを通じて事業の軸が明確になり、今後は「ハレの日を彩る」をコンセプトに、着物をリメイクした製品を展開をしていきたい!と具体化されていたプレゼンでした。
想いを分かち合った全体フィードバック会
今回は審査会の代わりに、プレゼン後には参加者の感想やメンターからのフィードバックを全体で分かち合う時間を設けました。
反省やアドバイスを一方的にするのではなく、参加者とメンターが個々人の視点で感じたことを伝え合い、分かち合う場を目指しました。
ここでは、メンターからのフィードバックの一部をご紹介します。
「かけられる期待やプレッシャーのある中で、勇気をもってこの場に立ち、事業のプレゼンテーションを行った挑戦自体がとてもすごいことでリスペクトしている。選択しないことも、逃げることもできることに挑戦し続けていくと、きっと道は開けると思う。」
「いろんな人がいろんなことを言っても選ぶのは自分。いろんな人の言葉を受けつつ、自分はどうしたいか。自分の信じた道を正直に進んでいただきたい。」
「感情の浮き沈みがあったり、もっと稼いだ方がいいのかなと思ったり、人の意見に影響を受けることは当たり前。その中で、自分が信じている見に行きたい場所まで突き進もう、行こうという意図があれば大丈夫。」
「自分の中に、高額だから商品やサービスを利用してもらえないのではという壁がないか。ネガティブなエビデンスだけでは、困っていない人にとって利用したいと思う動機になりにくく、他店との違いも見えづらくなる。その壁を乗り越えるくらいわくわくする、これをやりたいという欲求があれば、壁が気にならなくなると思う。どういう世界を創りたくて、どういうものを皆と分かち合いたいかという視点で考えてみてはどうか。」
「売値100万円で、自分の最高のものづくりをしてみるのはどうか。儲かるイメージがなくても、今すぐではなくて3年後、5年後、10年後になるかもしれなくても、イメージがあれば確実にそこに近づいていくことができる。現実の足下のこともあるが、こんなことができたらいいなと思い続けることは大事。」
開催後の参加者アンケートでは、「みんなで輪を囲んで感じたものを共有し、応援し合うことができて良かった」「参加者の自分からも他の参加者に感想を伝えることができ、役場の方とも本音ベースで話すことができた場でありがたかった」といった感想をいただくことができました。
全体フィードバック会を通して、プレゼンと質疑応答だけでは互いに伝えきれなかったことを伝え合えた場面も。会の後半になるにしたがって、参加者に笑顔が増えた様子が印象的でした。
参加者に温かくまっすぐな眼差しを向けるメンター陣(町内編)
そして、ローカルベンチャースクールに参加しているメンターの皆さんは、教える側と教えられる側、与える側と与えられる側といった上下の関係ではなく、人として対等な立場で参加者に向き合い、応援する姿勢を大切にしています。
次は最終選考会に参加されたメンターのご紹介と、そして会終了後にいただいたメンター側の感想をお伝えしたいと思います。
まずは錦江町役場から参加された町内メンター5名の皆さんです。
1人目は池之上和隆さん。錦江町のローカルベンチャー事業を所管する、産業振興課の課長を務めていらっしゃいます。朗らかな笑顔と真摯な応援の言葉が印象的なメンターです。
「私たち役場職員も現在事業づくりに関する研修を受けているが、自分がやりたいことや実現したいことは何か、自分と向き合うことが非常にきつかった。ローカルベンチャースクールの参加者はきちんとそこに向き合い、私はこうしたいと人前で発表できている。僕たちよりも一歩も二歩も三歩も先を行っている人たちなんだなとリスペクトして聞いていた。もっと応援する力をつけて、さらに温かくエネルギーあふれる町にしていきたい。」
2人目は、同じく産業振興課で係長を務める小川純一さん。柔軟かつしなやかな姿勢と相手の心をほぐす優しい笑顔で、参加者に向き合ってくれるメンターです。
「ローカルベンチャースクールの参加者をもっと探したかったのですが、自分には集められなかったことが一番悔しかった。今年度開催してみて参加前の関係性づくりが重要だと感じたので、来年は頑張りたい。」
続いてご紹介するのは、役場で地域おこし協力隊に関する業務を担当されている政策企画課の坪内なな子さん(写真・左)と、産業振興課の坂口美智代さん(写真・右)。緊張されたご様子ながらも目の前の参加者のことを真剣に考え、ご自身の業務についても振り返っていらっしゃる姿が印象的でした。
「参加前はどのような感じかドキドキしていた。これまで協力隊の方とこのように対話する機会がなく、貴重な経験になった。この場に関われてよかった。(坪内さん)」
「これまで仕事で直接関わらない協力隊の方たちと、このように話をする機会を持てていなかった。役場職員として、こちらから話をしなければいけなかったのに、申し訳ない気持ち。素直な気持ちで町民の方たちともっと接していきたいと感じた。(坂口さん)」
最後にご紹介するのは、笹貫新一郎さん。普段は介護福祉課の課長を務めていらっしゃいます。いつも穏やかな表情ですが、一次選考会では紙がぼろぼろになるまで参加者の資料を読み込んでいた熱意あふれるメンターです。
「ローカルベンチャーって何だろう?というところから、メンターとして加わった。特別なことはできないけれども、錦江町に生まれ育ち、いいところ、悪いところを知っている。その中で自分にできることがあればという気持ちで臨んだ。他の方のお話を聞いて、自分もこのままじゃいけないと思った。一町民として町でできることや、今から始められることがいっぱいあるという気づきがあった。」
参加者に温かくまっすぐな眼差しを向けるメンター陣(町外編)
続いては、町外から参加されたメンター5名をご紹介していきます!
まずは、岡山県西粟倉村や北海道厚真町のローカルベンチャースクールでもチーフメンターを務められた勝屋久さん・祐子さんご夫妻。
場をぱっと明るい雰囲気に変える力のある久さんと、悩みなどの個人の領域にぐっと入り込む力のある祐子さん。今では上場しているベンチャー企業の経営者や起業家の支援を数多く担って来られたお二人です。(お二人の魅力については、こちらの記事もぜひご覧ください!)
「新田町長を含めて、役場の皆さんがこれだけ時間を使うプログラムはここにしかないと思う。参加者だけでなく、メンター一人ひとりもチャレンジングな仕事に挑戦しているチャレンジャー。参加者を介して町の人やその人の人生が変わっていくことに、ローカルベンチャースクールの可能性を感じた。(久さん)」
「一次選考合宿に引き続き、皆で温かくいい場を作ることができた。この場に参加させてもらったことがありがたい。挑戦者を募る上で、役場の皆さんのあり方やエネルギーは非常に重要だと思う。次につながる大きな1年目になったと改めてお礼を申し上げたい。(祐子さん)」
次にご紹介するのは、最終選考会からご参加いただいた須部貴之さん。鹿児島市内でNPO法人薩摩リーダーシップフォーラムSELFの代表理事として、年齢・性別・国籍・職業・組織などの垣根を越えた学びの場づくりを進められています。
鹿児島市で培われた経験や関係性から、関わりたい人との接点づくりや事業の突破口の拓き方等についてわかりやすくアドバイスをいただきました。
「すごく熱い現場だった。町長や役場職員の方がこうした現場にいることはあまりなく、町を思う人が多いのだと感じた。総力戦でこの3名の若者を応援する場が体験できたことが刺激になった。これが錦江町の魅力だと改めて感じる。続けていくことで、総力戦で若者を育てる機運を作ることができると思う。また関わりたいと思った。」
続いては、株式会社エーゼログループ代表取締役の牧大介。西粟倉村、厚真町、錦江町を始めとした各拠点で自ら事業を立ち上げてきた経験をもとにした、経営者目線のフィードバックが特徴です。
「新田町長を中心とした錦江町役場の強い熱源を火種に、この町に火を起こしていくことができると感じた。全体フィードバック会でそれぞれに思うことを話せている空気がすごく良かった。この場の空気をどうやって役場内や町内に広げていけるかがすごく前向きな課題。」
最後に、株式会社エーゼログループのCROを務める松﨑光弘。大学や自治体、公官庁と人材育成のカリキュラム開発等を行ってきました。一次選考合宿では、講師としてプレゼンテーションの振り返りと事業を考えるポイントの講義を担当しています。
「挑戦が連鎖するコミュニティを作る上で大事なポイントは、応援する人たち自身がチャレンジャーであり、コミュニティになっていること。こうした温かい場を作ることができる町であり続けられるように、やれる限りのことを進めていく。」
※メンターの皆さんについては、こちらの記事もぜひご覧ください!
ちなみに、メンターの皆さんのコメントにもあったように、新田敏郎町長にもゲストという形で最終選考会に終日ご参加いただきました。一次選考合宿に引き続き、ご参加いただいて本当にありがたい限りです!
来年度の募集・実施に向けて
最後に、エーゼログループ錦江町オフィスでローカルベンチャースクールの企画・運営を担当してきた、現地担当者の大井健史をご紹介。
錦江町ローカルベンチャースクールの司会進行を務め、一次選考合宿ではメンタリングにも参加しました。2023年春より西粟倉村から錦江町に赴任し、町民の一員としてローカルベンチャー事業に情熱を捧げ、奮闘しているチャレンジャーの一人です。
「ローカルベンチャースクールがどのようなものかは西粟倉村、厚真町での関わりを通じて知っていたが、錦江町では初めての開催でどうなるかと緊張もあった。皆さんのご協力のおかげでとてもいい場を作ることができ、来年度はさらにいい場にできると確信を持てた。もっと多くの人に関わっていただき、この場を広げていけるように頑張っていきたい。」
今年度の錦江町ローカルベンチャースクールは最終選考会の開催をもって終了となりますが、すでに来年度のエントリー希望やお問い合わせを受付中です!
少しでも関心を持っていただけた方は、お気軽に公式サイトよりお問い合わせください。
来年度もメンター・運営スタッフ一同、参加者の皆さんにとって、その場にいる全員にとっていい場にできるよう準備を進めていきますので、あなたにもぜひご参加いただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!
錦江町ローカルベンチャースクール公式サイト
※2023年度のプログラムは終了しましたが、現在、2024年度のエントリー希望やお問い合わせを受付中です。サイトよりお気軽にお問い合わせください。