町内で新規事業や事業拡大に取り組む方を対象に、「具体例から紐解く新規事業開発セミナー」を開催しました!
2023年9月21日に地域活性化センター神川のコワーキングルームで「新規事業開発セミナー」を開催しました!
このセミナーは、牧大介(株式会社エーゼログループ代表取締役CEO)と松崎光弘(同地域共創事業部長)が講師を務めました。 錦江町内で活躍されている事業者さんを対象にお話しさせていただいた当日の様子をご紹介します!
「具体例から紐解く新規事業開発セミナー」とは
エーゼログループの牧がこれまで手がけてきた数々の事業の事例を紐解きながら、「地域の自然資本を活かしたビジネスアイデアの創出のヒント」や「ビジネスアイデア創出のヒント」についてお話ししました。
前日に行われた講演会ではお伝えできなかった具体的な事業に関する話を盛り込んだ内容となり、参加者からもたくさんのご質問やご感想をいただき、盛況のうちにセミナーは終了しました。
前日に行われた講演会の様子はこちらをご覧ください!
https://note.com/azero_kinko/n/nadde84846713
参加者自己紹介
錦江町内からさまざまなバックグラウンドを持つ方々が集まり、それぞれの事業やプロジェクトに関する疑問や課題を共有しました。
参加者からでた疑問や課題の一部をご紹介します。
⚫︎収益性を向上させる方法が知りたい。
⚫︎事業の社会的な意義を高め、収益向上に繋げたい。
⚫︎地方創生に適したビジネス体系に関するヒントを見つけたい。
⚫︎地域に根差した経営を強化し、規模の拡大をしていきたい。
⚫︎人口減少による人材不足の課題を解決し、技術を継承していきたい。
⚫︎事業継承をし、規模の拡大をしたい。
⚫︎移住者として地域に根付き、適応していくアドバイスが欲しい。
⚫︎補助金に頼りすぎず、会社を運営する方法を知りたい。
⚫︎社員のモチベーション向上の方法を学びたい。
⚫︎地域の文化を大切にしながら、繋がりを作っていきたい。
⚫︎新規事業のプロセスと意思決定方法を知りたい。
等々
この中でも、今回のセミナーでは特に「新規事業や商品をどう作るか」「ビジネスの仕組みをどう作るか」の2つの観点をメインに、西粟倉村での具体例を用いてお話させていただきました。
具体例①西粟倉森の学校(ユカハリ・タイル)
具体例の1つ目は牧が西粟倉村で最初に始めた「西粟倉森の学校」の商品づくりについてです。
西粟倉村は面積の93%が森林。そのうち86%をヒノキ・スギの人工林が占めています。
西粟倉森の学校では、人工林を整備する過程で出てくる間伐材を加工することで、高付加価値の商品作りを進めてきました。
その取り組みは、今では林業の6次産業化のモデルケースとして全国から注目を集めており、その代表ともいえる商品が「ユカハリ・タイル」です。
「ユカハリ・タイル」とは、スギやヒノキの間伐材で組んだ50cm×50cmの正方形の板裏に遮音シートを貼り付けたもので、賃貸アパートやマンション等の原状回復が必要な住まいでのDIYキットとして人気があります。未熟な木を伐採した間伐材は、太さや長さが不揃いだったり、節だったりと癖のある木材ばかりです。建材としては評価の低い木材の価値を最大限引き出そうと試みた結果、細かいパーツで構成される「ユカハリ・タイル」が生まれました。
また、商品開発や売上の増加には工場で働く方々の環境整備も大きく関わっています。
オペレーションや機械化等の工夫をしたことで従来の木材加工工場に比べ、時間効率や身体的負担を軽減してきました。地域のお母さんたちが働きやすい工場を目指し、融通が利く職場作りを強く意識したことで、現在も多くの女性社員の方々に活躍をしていただいています。
【参考】
西粟倉森の学校ホームページ
https://morinogakko.jp/
具体例②森のうなぎ・森のジビエ
具体例の2つ目は森のうなぎ & 森のジビエです。
林業の6次産業化を進める中で「地域全体に多様な価値が眠っているなか、木材や木材製品を売るだけでいいのだろうか。農業、林業、水産業という枠を超えて、自然資本として価値をつなげていかなければならないのでは」という考えが強くなっていきました。
この時、西粟倉・森の学校で捨てられている木くずを活用できると考えたことが、ウナギの養殖に取り組むきっかけとなりました。
ウナギの養殖では、水を約30 度に温め、キープする必要があります。灯油に加えて、西粟倉村の林業で大量に出る木くずを燃料として使用することで、燃料費の削減と、産業廃棄物となるはずだった木くずに燃料としての価値が生まれました。
また、森のうなぎは、ヒネと呼ばれる”成長の遅かったウナギ”から育てているのも特徴です。
それに加えて獣害対策として捕獲されたシカやイノシシ等の加工も同時に行い、森のジビエという商品を展開しています。
森のうなぎ・森のジビエ、それぞれ単独の収益は大きいものではありませんが、2つの仕事を1つのチームで効率的に行うことで、チームを多能工化し、一人当たりの生産性を高めることができました。
具体例③森のいちご
森のいちごもうなぎと同様、林業で出た木くずや皮を活用し、栽培を行っています。
いちごを単に販売するのではなく、いちご狩りやオリジナル商品を提供し、顧客に喜んでもらうことに焦点を当てています。
いちご狩りは「BASE101%」という2022年3月にオープンしたカフェに併設しており、カフェとの相乗効果も生んでいます。
【参考】
BASE101%
https://morinogakko.jp/base101/
このように、エーゼログループでの各事業が連動し、資源の循環をビジネスに取り入れることで新しい事業モデルが生み出されました。
こういったストーリーを発信することで商品にさらなる高付加価値をつけ、新しい事業モデルは起業研修等のサービス・体験価値の創出に繋げることとなり、結果として会社のファンを多く作ってきました。
参加者からの質問
質問1
アイデアを引き出すためのミーティングは毎月行われていますか?それとも牧さんからのトップダウンのアプローチですか?
牧:アイデアを引き出す方法は様々です。トップダウンのアプローチだけではありませんが、私自身がやりたくなったから、やってみようよと提案することもあります。木材加工チームでは毎月一回、経営戦略会議を開催しています。この会議では、管理職メンバー、販売責任者、製造責任者が集まり、アイデアを出し合い、議論します。
創業初期は私がアイデアを提供することが多かったですが、最近では私が直接商品開発に関与することは少なくなり、スタッフが自主的に製品を制作しています。
質問2
従業員のモチベーションについてどう考えていますか?難しい仕事に取り組む際、モチベーションが低下しないようにする方法はありますか?
牧:難しい仕事を乗り越えることで仕事を作ってきました。そのため、難しい案件が来た際には、それをチャンスだと考える社員が多いのが特徴です。
難しい案件に対しては、自分たちの存在価値を発揮できるチャンスであり、利益を上げる機会だと意識しています。
まとめ「新規事業や商品をどう作るか・商品開発のキモ」
今回ご紹介した具体例では、共通して商品の「意味」や「価値」を変えることで、価格の相場を超えた商品を開発することの重要性をお伝えいたしました。従来捨てているものや価値がないとされているものに新しい価値を付加することが、高付加価値の商品や徹底したコストマネジメントにつながることが新規事業や商品を生み出す時の「商品開発のキモ」です。
今回のセミナーが錦江町内で新規事業や事業拡大に取り組む方の一助となれば幸いです。
今後の事業開発に関わるセミナー等の予定
今後も事業開発に関わるセミナー等を行っていく予定です。
現時点で確定している予定は以下となります。
ご参加お待ちしております!
1、地域での採用に関する講演会 の開催
【内容】
新規事業開発・拡大には「人材」が不可欠です。
地方における採用について、実践&成果を挙げてきた講師をお呼びし、これまでの取り組みと地方部での採用のヒントを伺います。
【時期】
11月中旬〜下旬 ※決まり次第ご案内予定です。
2、事業ブラッシュアップ&人材募集支援
【内容】
新規事業開発・拡大に向けて、事業内容を磨き、必要に応じて人材募集までできる体制づくりを目指して、錦江町の事業者さん同士で互いの事業について意見交換の機会を設ける予定です。
【時期】
12月以降複数回実施 ※決まり次第ご案内予定です。
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