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コロナとベーシックインカム

おはようございます。

コロナによる経済打撃、収入激減によって、なにやら、巷ではベーシックインカムについて話が出ているようですね。ベーシック・インカム(Basic Income,以下BI)について簡単に説明すると、最低限の生活を送るために必要とされる基本的(ベーシック)な所得(インカム)を現金給付の形で保障する制度。年齢、所得、資産、勤労の意志などに関係なく、国民なら誰でも毎月一律の給付金を受けられるのが特徴です。生活保護よりも広い受け皿かもしれません。給付金の額は国や自治体などによって異なるようですが、BIの試験的な導入を行っている地域では、概ね生活保護よりも額が多く、現実的に生活がきちんとできる額に設定されているようです。

BIは、確かに国民の収入の底上げをするのに、素晴らしいアイデアだと思います。今現在、カナダではコロナ対策として、生活保護や失業保険とは別個の義援金のような制度でコロナの影響によって収入が月1,000カナダドル以下に減った、または、コロナによって収入が無くなった方を対象に、一人当たり月2,000カナダドルの支給を最大6カ月までしています。そのため、BIのテストのように捉えている人もいますし、BI推し派は喜んでいるようです。コロナ以前の収入金額に関係なく前年度に5,000ドル以上の収入があれば申請でき、皆一律の支給額です。家族形態によっては、コロナ以前よりも義援金により収入が増えたお宅もあるようです。

支給を始めて4-5カ月経った今、少し問題になっていきているのが従業員の就労拒否です。特に中小企業は代わりになる従業員が居ない会社も多いので、ビジネスを再開させようと従業員を呼び戻そうとして従業員が拒否すると大変です。ロックダウンによる規制が緩和されだしたのは良いのですが、必要な人員を確保できずに思ったようにビジネスを再開できないでいる会社も増えてきているようです。月2,000カナダドルというと、日本円で16万円ほどです。それが、働かずにして銀行口座に入金されてくるので、その額で生活していける場合、働かない事を選ぶ人が出てきたという事です。ビジネス再開のチャンスを逃した中小企業は破綻しているところも出てきているようです。人員確保ができずにビジネスが破綻していては、元も子もありません。コロナによる影響の長期化がみられる今後、カナダ政府がどのような政策保修をしていくのか注目していきたいです。

BIは生活保護の良いバージョンというとられ方がされたりもしますが、既存経済との関係をよく見てバランスをとっていかないと、なかなか難しい物だと思います。カナダのコロナ義援金の例で見て取れるように、使い方によっては自分の首を絞める事にしかなりかねません。企業が破綻すれば、それだけ国の税収は減ってしまうわけですから。

個人的な意見としては、BIよりも、最低賃金を上げて、従業員給与に対する企業への補助金を手厚く手早くする方が効果はあると思います。そして、費用もコントロールしやすいでしょう。実際、カナダではコロナ対策で従業員給与への補助金というものも出ているのですが、職員一人当たりの限度額や色々な制限があって、手続きの難易度、手間、手続きにかかる時間などから、受け取れても、そこまで企業の助けになっていないように思います。もちろんないよりマシですが、BIのような義援金のばら撒きよりも、企業への補助を手厚くしたほうが経済活性と一般市民の収入上昇に繋がり易いのではないかと思います。あくまで個人的な意見ですが、BIは生活保護の拡張版だと思っています。生活保護受給者の生活保護からの離脱、自立の成功例が少ない今、生活保護の拡張をしてもメリットがあるように思えません。BIを受け取った上で仕事をして収入を更に増やそうとする人と、全く働かずBIだけで生活する人とで別れ、格差が更に広がる気がします。また、カナダのコロナ義援金のような形の補助では、長期的に見て、国も国民も共倒れになるように思います。違う形の、長期的に国も国民も伸びるような補助でないと、補助による赤字を補えなくなる未来が待っているだけです。(実際、カナダでは義援金による財政赤字が広がっており、心配する声も出てきています。)社会主義国へ移行するのならまだしも、民主主義国で自由思想を推進している自由経済国家でのBIは諸刃の刃のような気もします。

追記ですが、カナダのコロナ義援金の申請には、現主力政党の方針に同意する事を認めないといけない項目が申請書の中にあって、思想の自由に反するという意見も出ています。逆に言うと、現主力政党に賛成しないのならば、義援金は支給されません、という事です。差別的だし、確かに思想の自由をお金で取り上げている感があって、好感が持てないのは否めません。選挙の投票内容や主義、思想に関係なく国民全体を助けるのが国家だとしたら、カナダはそうでは無くなってきているのかもしれません。

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