補助金の効果的な使い方 その1
AZAPAでは補助金コンサルティング、支援サービスも行っていますが、そもそも補助金ってどう使ったらよいか分からない。何かハードルが高いかもしれない。と言う印象をお持ちの方もいるかもしれません。
また、補助金と一口にいっても色々あるので何が使えるのか、何を使えば良いのかわからない方も多いかもしれません。
ここでは、補助金を100億円以上採択を受けてきた私の経験から、助成金の効果的な使い方について説明していきたいと思います。
補助金と助成金の違いですが、採択を受けないと貰えない補助金と応募すれば原則支給される助成金、と言う違いがあるそうですが、名前がそうでなかったり、中間的な位置づけのものも存在するので、ここでは補助金としてひとまとめで記事にさせてもらいたいと思います。
そもそも補助金って?
補助金とは、国や地方公共団体から支給されるお金のことです。それ以外に、財団法人のようなところから出るようなケースもあります。
一般的な解説については、こちらのリンク先のようなところに記載されているので、確認してみてください。ここでは、もうちょっと実務寄りで、本気で応募する際に読んで役に立つ内容にしたいと思います。
金額で言うと100万円程度のものから、国が出す数十億~数百億のものまであります。基本的に補助金は一旦支払いをして、事業が終了した後に実績報告をするとその中の全部もしくは一部が支払われる。と言う仕組みなので、一旦事前に資金を準備する必要があります。ただ、そんなにお金が無いよ。と言うことであれば、銀行がブリッジローンのような形でお金を貸してくれる可能性もあります。
補助金を取るのは難しいの?
これは、一概にいうのはとても難しいです。以下の条件で物凄く変わります。
①時期
補助金は基本的に国や自治体、公共団体から出てくるものですので、4月にスタートして翌3月に終わるものです。ですので、3~5月くらいに募集がかかり、5~7月くらいに採択が決定し、6~翌3月で事業を実施するというのが多いです。なので、記事執筆時点では9月なので、今からすぐに応募できるかと言うと選択肢は限られています。もちろん、年に複数回公募がかかるものや、一年中応募ができるものもあります。
②業種(事業領域)
補助金は、大まかに言うと、「国や自治体が推進したいけど民間の力が必要、かつ、市場原理だけではコストの問題で推進されないもの」を推し進めるためのものです。
なので、国や自治体が推進したくなるような事業でないとそもそも申し込めないです。具体的には、近年で言うとEV充電機の設置などのEV推進や、国土強靭化、経済安全保障強化やDX推進に関する補助金はたくさんありますが、ガソリン車や次世代型でない火力発電に関する技術開発だとか、普通のネジや板金加工に関するものは直接的にはほとんどありません。ただし、後者のようなものも、地方に工場を立地したり、増産したりなどという目的、枯れた技術に見えても革新的な開発要素があればその限りではありません。
また、既に過当競争状態にあったり普通に市場が成熟していて市場原理だけで商品開発や販売が進んでいくようなジャンルだと難しいです。例えば、ラーメン屋やパン屋を新しく建てるための補助金を探すのは難しいです。一昔前には事業再構築補助金などを使うことができましたが、今はもう使えません。地域創造的起業補助金などのようなものもあるのですが、地方じゃないといけないとか、一定期間で収益が確保されると返金義務がある(つまり、収益性がそもそも高い業種はあまり対象ではない)など、限定的ではあります。
但し、裏を返すと、新しい革新的な技術のものではないが地方創生に関わる(地域創造的起業補助金)とか、業種はトラディショナルなものだがアプローチがデジタル化されてる(IT導入補助金)とか、自身の中で新しいジャンルに飛び込んでいる(キャリアアップ補助金)とか、見方を変えると何かしらの補助金が使える可能性が高まります。この辺りは、頭を柔らかくしてご自身の取り組みを別の角度から見てみると良いかもしれません。ご相談いただければ、このあたりの相談もお受けできます。
③会社の概要、沿革
例えば、補助金の中では中小企業のみを、対象としたものや、創業何年以内のみを対象としたものがあります。大企業や、中小企業でも第二創業のような新規事業開発の場合応募できないこともあります。また、大企業の連結/完全子会社のような形で、「みなし大企業」とされてしまうと、応募できない可能性もあります。
また、そう言った問題は無くても、委託先として子会社や役員の所有する別会社を使えないなどの縛りがあったりするので、普段の取引形態次第ではうまく補助金に組み込めない可能性もあります。中古品で相場価格が無いようなものを購入できない場合もあるので、新品ではなく中古品を使ってコストダウンをしている場合、結局費用が嵩んでしまう可能性あります。この場合、"経費一覧表"的なものや、応募時に必要な見積が揃えられず、応募できない可能性があります。
④内部統制、体制
これは、採択させるかどうかというより、採択後に補助金を受け取れるかどうかに関わる部分ですが見落としがちな大事なことです。
補助金を受け取るには、採択後にもいろいろな作業が待っています。報告書の作成、領収書の整理や集計、人件費や旅費を計上するためには社規を更新したり新設したり、運用を見直したりしなければいけなあ場合もあります。
このような労力に対して、受け取れる金額が少ない場合、結局やらない方がお得だったね。となってしまうこともあり得るので、事務処理マニュアルや交付規定のようなものをよく読んで確認する必要があります。逆に、補助金採択をきっかけに内部統制を一気にしっかりさせる、と言う作戦もあります。これができればまさに一石二鳥です。
どんな費用を補助してもらえるの?
実際どのような費用に対して補助してもらえるのかを説明します。これは、補助金の種類にもよって対象となるかどうかが大きく変わるので、個別に確認が必要です。
人件費
人件費はスタートアップ、ベンチャーでかなりのボリュームを占めるので、補助してもらいたいランキングで言うと結構高いものになります。
一方で、いくつかの注意点があります。
まず、一つ目は人件費が補助対象となっていない補助金が結構あるということです。ここは要綱を確認してください。また、取締役は対象ではないこともあるので、一人会社だとそこも気を付けてください。
二つ目は、人件費を計上するために、厳密な労務管理をしなければならないことです。補助事業と補助事業ではない事業に従事している場合、勤務記録などの提出が必要になります。開発メインのフェーズだとあまり原価管理を厳密にやらないのでこのあたりが曖昧になっている場合も多いかと思いますが、そのままだと補助金が貰えません。
旅費・交通費
旅費・交通費は、補助事業を遂行するために利用した交通機関の費用やホテル代、ガソリン代などが対象となるものです。これも意外と費用が嵩むので、支給してもらうとありがたい項目ですが、補助対象となっていない補助金もありますので、気を付けてください。
また、旅費交通費を計上するために、旅費規定が必要であったり、出張申請の仕組みやその書類の保管を求められることもあります。一つの出張に複数の書類、領収書が求められることもあるので、数百円程度の出張をいちいち計上するのは大変ですのでそもそも申請しない選択肢もあるかと思います。
部品費、購入費、消耗品費
これは色々な名前があるのですが、要するに何かの材料費のようなものです。車を改造するための部品であったり、何か試験をする時の供試品を購入するための費用です。研究開発系のものであれば、大抵は対象になっています。但し、事業をすることのみに使用するものに限られること、他のものに簡単に転用できないことが条件になっていることが多いので、例えば、自動車やスマホ、PCのようなものを購入するのは対象にならないことが多いです。
外注費、委託費
これは、一体になっている場合もあれば別々になっている場合もあるのですが、要するに外部の業者にお願いして実施してもらう作業費です。例えば、何かを設計する作業や、試験をしてもらう作業などです。太陽光パネルの設置工事やその前の建築確認申請、測量なども入ります。
これは対象となる費用が比較的区別しやすいので、計上しやすい項目ですが。
賃料、レンタル費
これは家賃や設備のレンタル費などです。家賃が計上できるケースは割と少なめなのと、事業にのみ使っている証明が難しいケースがあるのが注意です。レンタル費やリース料も同様に事業のみに使っている必要性があります。
設備費
消耗品以外の長期的に使用する設備を購入する費用です。再エネ導入補助金であれば太陽光パネルやPCSですし、開発系であれば実験設備や生産設備などです。これも計上できるケースが多いですが、購入後実証期間後も一定期間保有し続けなければいけない、売却などに制限がかかる、などの制限があるので注意です。
あと、大抵合い見積もりを求められるので事前準備が大事になります。
その他
それ以外にも、セミナーやイベントの参加費、広告目的で出展するイベント出展費用、有識者や大学教授などを招致してアドバイスを受ける費用、アルバイトの費用、商品性調査のため顧客候補にアンケートの対価として商品券などをプレゼントする費用などが計上できるものがあります。
まとめ
ここまで、補助金を使えるのか、使うとしたら何が使えるのかなどを説明しました。次は、補助金を取る上でどのように書類を書いたら良いかなどを説明したいと思います。
よろしければサポートお願い致します!