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百寺巡礼 (009) 柴又帝釈天 (東京・葛飾) 2022年5月6日

柴又帝釈天。寅さんの故郷として有名なこの地。虎屋の前を通り過ぎ、歩みを進めると、目の前にひっそりと佇むこの古刹が現れます。山門の横からは、まるで蛾次郎さん(数年前に他界)が飛び出してきそうな、懐かしい雰囲気が漂っています。ここは、長閑で穏やかな時間が流れる場所。

最初に訪れたのは、数年前の葛飾花火大会の日でした。花火が空を染める中で、帝釈天の本堂がひっそりとその姿を見守っていたのが印象的でした。その後、再び訪れるたびに、ここで感じる静けさと荘厳さが心に深く刻まれます。

帝釈天には、日蓮宗の宗祖・日蓮聖人の板本尊が伝えられており、その由来はなかなか興味深いものです。板本尊の所在が長らくわからなくなっていたのですが、帝釈天の改築の際、棟の上から発見されたという話。しかも、その発見された日が、安永8年(1779年)の春、庚申(かのえさる)の日だったのです。日敬上人がその板本尊を背負い、飢饉や疫病に悩む人々に拝ませたところ、奇跡的なご利益があったと言われ、そのことが「庚申」の縁日を生んだのです。

この話を聞きながら、私は静かに手を合わせ、改めて人生の節目を感じるのでした。


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