あざみん

モシャス男子でもあります。 短編小説書いたり、声出したり。 そんな生き方

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最近の記事

3ワード小説「海、幽霊、ソーダ」

「今年はどこに行こっかー」 茹だるような夏の日差しを一身に受け止めてくれるテラス席のパラソルはジリジリと音を立てるかの如く下にいる僕らのアイスコーヒーの氷を溶かしていた。 記録的猛暑が続き毎日天気予報が赤く日本を染めていて、外でスマホをいじろうものならすぐに熱暴走で操作不能になるような夏。 ガラスの向こうの涼しいテーブルを羨ましげに眺めながら彼女の計画にうんうんと相槌を打っていた。 こんな暑さなのだ、山に行こうが海に行こうが暑いのは変わらないので僕としてはクーラーの効いたとこ

    • 【短編小説】23時30分

      他人の夢の断片短編小説23時30分を永遠と繰り返す夢も見たよ。より 毎日が同じ日の繰り返し。 こういうフレーズをよく目にするが、実際は何かしらの変化があり 全く同じ日ということは無いのが現実だ。 しかし同じ仕事を毎日こなし、毎日同じご飯を食べているとそう思えてしまうのは目標が無いからなのか。 仕事を始めてからおよそ30年ほど経っただろうか。 毎日毎日そこそこ重い銅でできた製品を運び、まとめている。 かなり大きな会社に勤めているのだが下で働く人間たちは奴隷とさして

      • 【短編小説】今日は食べる日

        他人の夢の断片短編小説一瞬うたた寝した夢で、コートを脱いでそのまま煮て食べる夢だった。より 私は高校生の頃から男性物の服を好んで着ていた。 もともとサバサバしていた性格も、ショートカットにしていた髪もその服装によく似合っていた。 私が働く会社の違う部署に私が着ているコートと同じコートを着る男性がいる。 私はあの人をよく知っている。 だが、あの人は私を知らない。 そして、私はあの人を知らないふりをする。 女の更衣室はファッションショーとまではいかないものの、ブラン

        • 【他人の夢の断片短編小説】ニコレットの夢

          ニコレットを喫煙者の後輩にあげて 数回噛み噛みしたら ものすごい嫌そうな顔で見られて 悲しくなった夢を昨日見ました より 「タバコが好きだからニコレット噛んでる」 それが後輩の質問への答えだった。 なんてことはない後輩の「ニコレットって美味いんすか?なんで噛んでるんですか?」という質問にそう答えた。 人生の最後の最後に吸うタバコは格別だろうな。 そう思ったから最後まで我慢することに決めていた。 気が付けば吸ったタバコよりニコレットの数の方が上回っているなんてことも気付き

          【短編小説】読むと成る日記

          ワタシは知っている。 この日記の内容を。 物心ついた時から鍵のついた日記を持っていた。 この日記に何が書いてあるのかは一度も見たことが無いのだけれど、内容を知っている。 この日記を読むと気づいてしまうことを知っていた。 普通に大学生として生活する毎日に飽き飽きしながらワクワクしている。 なぜなら私の世界は毎日が新しいのだ。 誰にだって変わらず訪れる昨日とは違う日々。 今日は何が起きるのか、もしくは何も起きないのか それだけを考えていてもワクワクしている。 そんな毎日を送

          【短編小説】読むと成る日記

          【短編】絵の気持ち

          少し前の思い出。 惹かれる理由はなんだっけ。 前に進んで、後ろを見たら。 どこかに答えがあるかもね。 俺はある人が好きだ。 クラスでそんなに目立ってないのに、俺はその人から目を離せない。 仲間と誰がクラスで1番可愛いかという話題になると、陸上部のあの子や吹奏楽のポニーテールの子。 その辺りが話題になる。 そして1人の女子の話題になり 「あいつは目がキツいから無いな〜」 他の仲間が口に出し、周りも賛同する。 でも俺にはあの透き通った目、冷たい中に優しさが垣間見えるあの目に

          【短編】絵の気持ち

          不思議雑貨店薊屋「変わるパック」

          2. 変わるパック 「今日は楽しかったねー、ってか本当にタクシー呼ばなくて大丈夫?」 大丈夫、と手を振り数人の男女のグループに背を向け歩き出す。 人数合わせで呼ばれた飲み会である。 男性陣が、送らなくて大丈夫?と言わなかったところを見るとやはり今回も選ばれなかったんだと実感した。 何も今回だけではない、毎回人数合わせ、他のメンバーの引き立て役、いじられ役などの損な役回り それでも毎回参加してしまうのは、やはり仲間はずれが嫌だとかもしかしたらこんな私でも…などと淡い期待を

          不思議雑貨店薊屋「変わるパック」

          不思議雑貨店薊屋「当たるボタン」

          いつも見かけているようで、気にも留めない景色の中に 不思議なお店はありますか? たまに気まぐれしてみませんか?  当たるボタン 「今日のプレゼンも何が伝えたいのか、そして目的もめちゃくちゃで全然ダメだったよ、毎回毎回…」 まただめだった、今回の企画は自分的には当たりだと思ったのだが 自分の人生で当たったのはこの会社に就職できたことくらいだろうか、まぁ実際の所当たりかどうかも危うい。 そして後輩に愚痴をこぼせば 「先輩は実際会社に貢献してませんもんね」と苦笑いで返され、人当

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