「善なる『若者』と悪しき『老害』」という世界観の危うさ

俺はいわゆる俗流若者論、特に「セカイ系」批判や「最近のラノベ」論争に代表されるようなオタク叩きの文脈において振るわれるものに対して非常にうんざりしています。（ラノベ雑語りなどをする人間が振るう俗流若者論にそのまま当てはまるような人格・人間性をしているが故にそうした人間に激しい怒りを抱いているのが俺ではありますが）
一方で懐古趣味的な話を好んだり近年の流行についていけないと感じている、もしくは現在主流となっている物事や考え方に疑問を呈したり不満を抱いている人を何かにつけ「老害」認定したがる人々とも距離を置きたいです。

若者であること・若さを持っていることが正しく、老人であること・老いることは悪であるかのような主張に対しても俺は一種の恐れを抱いていますが、ネット上においては「我ら善なる『若者』が悪しき『老害』を打倒すべきだ」というように聞こえる主張に触れることが珍しくありません。
上の世代の人々が作り出した規範や社会構造に感じる窮屈さや「老害」への憎しみそのものは理解できないものではありませんが、「老人を社会から排除しろ」というような主張には決して賛同できませんし、それらは別々の軸で考えるべきことです。
ましてや他者の内心に踏み込んで「こういう考え方を持っている者は悪しき『老害』だ」という主張を行いはじめたら、それは俗流若者論となんら変わりありません。
上の世代という大きな括りでヘイトを向けるということは自分達の下の世代が台頭した時にそのまま自分たちがヘイトを向けられる側になりうるということですし、それでは憎しみの連鎖が続くだけです。

世代間の不毛な争いはいつか終わってほしいものですが、恐らくは人類がこれ以上繁殖しなくなるなどの非現実的な事態が起こらない限りはこの争いが終息することもありえないのでしょう。
それでも俺はこうした争いが起こらず平和に過ごせる時が訪れることを望んでいます。