映画『忍びの国』感想メモ
やや、いざ観ようと思ったら観たい映画がみんな終わってて、「花火なんちゃら」とか「膵臓なんちゃら」とかとりあえずしゃらくさいなあと思ってw(ファンの方々悪気はないんだ。すまんw や、悪気しかないかw 観てないのにいうのは反則だが、それほど忍びの国推したいって意味で許したもれw)消去法でこれにしたんだけど。めっさ当たりだった。
原作は出た頃に読了済みで話は知ってたんだけど、いやあ、ユーモアとシリアスの絶妙なバランス。深イイ映画に落とし込まれてた。配役もはまってたし、中村 義洋監督ってやりおるな。どのシーンも映画がすべってないし、現代と地続きにさせる人間模様と受け継がれる神話的構造も入ってて、一本の娯楽映画として実に質の高いレベルに持っていってた。
内容には触れないけど、伊賀で一番の忍者役だった主役の大野君のあの独特の何考えてるかよくわからない味わいや不穏な奥行き、アイドルとして踊ってきた身体能力がこれみよがしに活かされた映画になってた。妻のお国役の石原さとみがまた凛として映画を引き締めていたし、裏切りものの忍者下山平兵衛役の鈴木亮平がまた熱くてアクションもできるから、きちっと拮抗出来ていてテンションを生み出してた。あとやっぱり伊勢谷友介がやった弓の名手・豪傑日置大膳(へきたいぜん)が存在感醸してて悪くなかったのね。
笑えるし、じんとくるし、わらわら忍者たちがワクワク醸してくれる見ごたえのある映画だった。虎狼のやからといわれた、金にしか目がない、命の軽い、忍者たち。金さえもらえば本気を出すひょうひょうとしたサイコパスな凄腕の殺し屋たち……下忍だった弟が忍者たちの小競り合いで死んだのに、そのことの誰も悲しまないところから、伊賀忍とい存在の是非に疑問をもった最初のひとり――下山平兵衛――その裏切りから始まるドラマ……しかしその裏切りすらも……
――とネタバレするのはやめといてw その葛藤からたちのぼってくるヒューマニズムも、あくまで笑って泣ける物語の中で訴えかけてくることだからけしてうっとおしくない。説教臭さが抑えられる。原作もまあ楽しいが、映画のほうが娯楽としてその旨みを引き立てて味わえるかもしれない。
どれだけヒットしてるかわからないけど、もっと話題になっていいくらい、よくできた映画だった。ウェルメイドっていうレベルじゃなくて。永遠に心に残るって意味でもなくてw 娯楽映画としてきちんとした一級品として味わえるものに仕上がってます。この監督、今あぶらのってるんじゃないかな。
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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。