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【風雲ガチンコ文章指南録!?】『真に受ける力』~はじめに~

※連載開始にあたり、「真に受ける力」マガジンを開設しました。

まだ1ページめのコラム『真に受ける力』を読んでない方は、まずそちらを一読し、ご確認いただきたい。これはそれありきではじまる作品となるゆえに。

これから大○芸大受験を目指す少女と私との二人三脚の文章修業(十年前の)の日々が実際のメールに基づいて綴られていくことになるわけだが、開始する前に言っておくことがある。

それは彼女――西山リカ(仮名)が、あきらかに類まれなる才能の持ち主ではなかったということだ。
また、この“真に受ける”というテーマに即していえば、実は才能がなかったことが才能だったとも言えるのでは?と思わざるを得なかったことも前もって述べておきたい。

彼女の武器は、とにかく掛け値なしの素直さ、そして人としての純粋さと優しさだったと思う。もしも彼女にヘタな自信があったなら、6年かそこらの文芸経験しかないペーペーの言うことなんか何一つ信用できなかったろうし、逆に腹の底で笑いながら、結局すべて自分流にやり通して完結した可能性だってあっただろう。

ところが彼女は――残念ながら彼女自身が自覚していた通り――自分が思ったことやイメージしたことを文章に落とし込んでいくことが実際苦手で……だのに周りには、文章を生業とする者で話を聞いてくれそうなのがこの私くらいしかおらず、自分の夢に向かって一歩踏み出すために、彼女は私を全面的に信頼し、それを真に受けるしか選択の余地がなかった。

果たしてこれが吉と出るか凶と出るか。
私を信じたばっかりに残念な結果になる可能性も十分にありえる。

読んでる人の中には、どうせ合格させたんでしょ? と勝手に早合点している人もいるかもしれないが、私はうたがわきしみである。諸君らをざらっとさせるためにえげつない結幕を用意していることも十分予想すべきではないだろうか。むしろ、そのための仕掛けとしてこの一幕を用意した可能性すらある。もしくは、実はすべてが虚構でしたということもあながちないとはいえないのである。(おい、じゃあ一体なにを信じりゃいんだよ(笑))

ゆえにこれは、私の言葉を真に受けなさいという話ではない。西山リカさんには選択の余地はなかったが、これを読む諸君には、真に受けるか受けないかの選択の余地はあり、それは常に自分に委ねられている。すなわち自由だ。

大事なことは、誰の言葉を真に受けるかということ。それでその人の人生が変わってしまうかもしれないからだ。

それゆえ、私はとりあえず「10」年という指標を持っている。
実績としてまず10年その世界で、その道だけで生活できてる人――それなら話を聞く気にもなる。あなたならどうするか? 何を羅針盤にクリエイトして生きていくのか。自分の実人生に思いを馳せながら少しの間お付き合いいただければと思う。

追記:あ、最古参の悠凛さんと雨さんは強制的に私の言葉を真に受けるように、お願いしますね←(笑)というのは冗談だが、どうしてあの二人にはこんな軽口が叩けるかというと、悠凛さんと雨さんだけには本当に私の言葉を真に受けてほしいから……というわけじゃない(笑)彼らなら、こんなことをいくらほざいても、何一つ揺るがず、自分の信念において、誰の言葉を真に受けて生きていけばいいかくらい自分で考え、行動する人だと信じているからだ。彼らは普段からそうしているし、自分の信じる道を行くしかないとわかっている人だと思う。そういう人にはいくらでも軽口を叩いていいものなのだ(笑)

さて、戯言はこれくらいにして、それでは明日から短い間になるかもしれないが、本文連載を開始するとしよう。

なお、メールの文中には、西山リカさんを私に紹介した張本人であるピアノの女教師Sさんもたびたび登場するので、その方のことも覚えておいていただければと思う。ではではお楽しみ。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。